397話 悲しみは雪のように?
「神社でいい話を聞いたところで…バスで帰ってきてしまったけど…やっぱり暇だな。」
1月19日、いつもの日常に戻るのに一週間以上もある。というのに今日も飛翔は外に出た。何もない街、何もない場所から価値を見出すこと。最近はそれをブログに上げることを本業にしていた。大したお金にはならないが、会費ぐらいは稼げる。今日も町を調査する。
「果てしない大空と♪」
「広い大地のその中で♪」
「あれ?誰が歌ってるの?」
「って!飛翔じゃないか!」
「このバスはかなり長いよ?」
「真鈴とはるかかい!」
「そうだよ!実はこのバスは週一で運行しているんだ。」
「へぇ、行先はどこなの?」
「桔梗が丘ってところ。」
「それって…」
「まぁ、特急が一部停まるような場所だ。山本と椋木の間だ。」
「相当遠いですね。ここから何時間ぐらいかかりますか?」
「8時間ぐらい?」
「ははっ!このバスを乗りとおそうと思ってる?」
「いや、いい感じの場所があれば降りる。」
「わかった。まぁ、もう少しすれば出るから乗っといてね。」
その言葉通りバスは出発した。上天、小金森、島崎とテレビで聞き覚えのある場所を通り、終点まで向かっているが、車窓に映るある街にときめきを感じた。ここで降りると告げ、運賃を支払うとその町を見て感じたことがある。
「この住宅街、何かあるな。」
街の名前は新小田井。小田井地区の入り口にあたる場所だ。その地区はあることで有名だ。住宅の多さ、そして今年の転生者の住居が多くなるのでここにも大学を招致する計画があったり、開発が進んだりしている大きな町だ。と言っても、花咲大学がここに移転するということで承知の話は無くなったものの、かなり大きな住宅街であることには変わりがない。
「あれ?飛翔さん?」
「…あなたは…魔王のお嫁さんの…」
「いいじゃないですか。ちゃんと名前で呼んでも。」
「…あぁ、ごめんなさい。」
「敬語じゃなくてもいいんですよ。飛翔さん…あなたのおかげでこの世界は変わったんです。」
「そうでしたか?」
「えぇ。この世界は元々学園同士がギスギスしていたのです。しかし、学食というコンテンツ一つだけで学園同士の交流を増やした結果、この世界は平和となって転生希望者も増えたのです。」
「そうでしたか…それは嬉しかったです。しかし、それならなぜここにいるのですか?」
「…篤史を…魔王を止めないでください。」
「どうしてでしょうか…何か計画があるのか…?」
「実は…彼の実施する施策に対してクーデターを起こす者がいるのです。」
「それを止めちゃダメな理由って何でしょうか?」
「…ここでは話せないのであそこのレストランで話しましょう。」
「あそこって…まさかこの場所にあるだなんてね。」




