395話 笑顔、それ誰の?
なんやかんやで家に帰ってきた。なぜか彼女も連れて…
「へぇ、飛翔の家って綺麗なんだね。あ、どの部屋を使えばいいかな?」
「101か103が良いと思うよ。」
「それじゃあここにする!」
彼女が選んだのは…飛翔がいつも寝ている部屋だった。だから厄介なことになると言ったのに。
「飛翔、お粥ができたよ♪」
「あぁ。美味しいな。」
「美味しいでしょ。結花さんの料理とどっちが美味しい?真音ちゃんのとは?京子ちゃんのとは?ねぇ…私が一番だよね?」
「…」
「無言はダメだよ。私、わからせたくなっちゃう。」
「…誰が一番だなんて考えたことはないよ。でも、僕より美味しい料理だと思ったらその人が一番だね。」
「…そんな人、出会ったことあるの?」
「結花さんの料理もそうだけど…由依さんの料理も美味しい。あとは…食べたことはないけど食べてみたい料理がある。」
「それって何だろう。」
「…心を動かすような料理。僕の心を動かして涙を流す料理。」
「それって…食べられないの?」
「今は無理なのかもね。悲しいことにさ。」
飛翔が心を動かす料理というのは…難しい話だ。
「じゃあ私が作るから!」
「じゃあ、で出来るような代物じゃない。」
「そうだよね…でも、私頑張るから!大丈夫!」
「…待って…よければ少し甘えてもいいかな。ちょっと僕は疲れちゃった。」
「え…えぇ…!?」
しばらく寝た後、心愛は飛翔がすごく泣いていたことを見ていたらしい。それも…ごめんといった問いから意識がなかったらしい。薬も盛ってないのに…と思っていたが、実は飛翔…かなり辛かったらしい。
「ごめんね…弱い所見せちゃったね。自分を強く見せようと、少なくとも普通でいようと思っていたけど…本当は一人ってつらいんだよ…あてもない旅に出て、気を紛らわせているけど…本当に辛いんだよ。なんでこうなってしまうんだろう…」
「…飛翔、私もお姉ちゃんと戦って、お姉ちゃんに勝ったけど…それ以降どうしても立ち上がれないときがあってね。私も馬鹿だよね。今とっても苦しいはずだよね…実はね、飛翔を見つけた時嬉しかったんだよ。境遇も何もかもが同じで…もしかしたらわかってくれるのかもって…怖かったよね…追いかけられるの怖かったよね…でも…飛翔がいなくなってしまうのがもっと怖かったんだ。」
「心愛…涙見せちゃったね。泣きたいのは君だってそうだろう。」
「じゃあ、ぎゅっと抱きしめて♪」
抱きしめると…胸のあたりが涙で温かくなった。ずっと抱きしめながら、気が済むまで抱きしめた。
「もう大丈夫だよ。ありがとう。」
「いいんだよ。ところで、卒業論文って何書いたんだっけ…覚えてなくて…」
「あれは今年からだよ。今年から追加されたらしいのね。」
「そうだったんだ…」
「寂しいならそばにいるよ。」
「だったら今日の夜は泊って欲しい。」
「わかったよ。」




