大きい!柔らかい!おっぱい! 12
腕を天高く上げて、体を伸ばす。
「ん~~~~~あああっ……!」
ちょっとエッチな声が出てしまった。俺のこんな淫らな喘ぎを聞いたら、「あの声を俺の手で………!」なんて思った男が現れるに違いない。もしそれで俺を押し倒すことのできる男がいるなら、子を孕んでやろう。
とりあえず、早くこの服を脱ぎたいので、更衣室に向かう。
「姉さん!」
その途中で、効き馴染みのある声が聞こえ、振り返ってみると、碧と一緒に巧と茜もこちらに走ってきた。どうしよう?
▶逃げる
逃げない
「じゃあな、碧!俺、着替えてくるから!」
「あー!姉さん!」
効果音はびゅーーんだった。
やっぱり何かに向かって走るより、何かに追われて走る方が速い。あと相手は制服だ。この高性能スーツを着ている今の俺に追いつけやしないだろう。
更衣室到着。
防具を外して、スーツを脱ぐ。
スーツは汗をかいていてもべたつくことなく、意外と軽く脱げる。顔に引っかかって不細工になることもない。ま、俺は人前で不細工になることくらい気にしないのだが。ロッカーに入れた、制服を取り出し―――
「何で逃げたの?」
ワイシャツのボタンを閉めていると、更衣室の中に人が入ってきた。茜だ。
「あーそっか。ここ、一組の更衣室なんだっけ」
「そうだよ。何でいるの?」
「何で逃げたの?何でいるの?どっちを答えてほしい?」
「どっちも!」
「欲張り~」
「私、ふざけてないからね」
茜の視線だけで針の筵になってしまうくらい、鋭い目を向けられる。これは碧のジト目よりも強力か?
「まず何で逃げたのか――碧の説教が面倒くさいから」
スカートを履く。俺は太ももを曝け出す趣味はないので、折らない。シャツは出したまま。
「何でここにいるのか――由香里に案内してもらったから」
ネクタイを締める。首が締まった感じが嫌なのだが、ネクタイをしていると偉そうなのでつける。
「由香里ちゃんに?紅ちゃん、知り合いなの?」
「うん、知り合い」
「そうなんだ~良い子だよね、由香里ちゃん」
「気さくでいいよな。愛されキャラって感じがする」
「そうなの!誰とでも仲がいいの!でもね、すっごく強いんだよ」
「へ~どんくらい?」
「真希ちゃんには劣るけど、私は一回も勝ったことないの」
「楽しそうに戦いそうだよな、由香里って」
「すごい、由香里ちゃんのこと分かっている!あの子と戦うと、私まで楽しい――って、違うよ!そういうことを話したかったわけじゃないよ!」
茜は頬をぷくーっとさせて、怒る。俺も真似して、ぷくーってする。
「真似しないで!」
「だってそれ、可愛いから」
「え、可愛いの?そんなこと言われたら、意識しちゃうじゃん……」
「意識しちゃうといえばさ、茜って巧の事好きなの?」
聞くと、内出血しているんじゃないと心配になるくらい、瞬間的に赤面した。
「ななななな、何言ってるの!?なんでそんな話になるの!」
攻め時だ。
俺は大股すり足で、茜に近づく。彼女の耳に顔を寄せて――
「好きなの?」
と、囁いた。
「~~~~~~~~」
茜はひよこの鳴き声のような、可愛く鳴り響く音を喉から発し、手で顔を覆った。そして一言、
「――すき」
かすれた声でそう言った。
いちいち可愛いなコイツ。おっぱい大きいし。
「好きなの!巧くんのことが!」
「よく言った!ほれほれ、ほれほれほれ~一回座りなさいな、ここに」
「う、うん」
俺は茜の背中を押しながら、紳士風に更衣室の椅子に座らせ、肩をくっつける。
「で、どこが好きなの?」
茜は自分の胸を寄せて、恥ずかしがる。
ブレザーも来ているし、ワイシャツも最後のボタンまで閉めてある。その上にはネクタイまで――しかしその間から見える、端っこの谷間!うん、絶景!
「巧ってね、いつも頑張り屋さんでね……最初は一組じゃなかったの。でもね、一生懸命努力して、一組になって――そんなところが好き」
「頑張る男ってかっこいいよね~分かる~。それでそれで、他にもあるんでしょ?」
「う、うん、私たち、子供の頃から一緒にいるんだけど、とにかく優しいの。私が辛いときはいつも傍にいてくれるし――あ、子供の時はね、ギュッと抱きしめてくれたこともあったの。それがね、私――私!」
「うんうん、大丈夫だよ。落ち着いて、落ち着いて~。ほら、暑くなってきてない?上着、脱ぎなよ?」
俺は茜の返事を待つ前に、ブレザーの首元を持ち上げて、彼女が脱ぎやすいように補助する。茜は俺のなすがままに、肩、腕の順でゆったりと脱いだ。
「あ、ありがとう」
「どういたしまして」
俺は一瞬、魔人の力を使って空気を操り、傍にあったハンガーに茜の上着をかけた。
「それで~内面だけじゃなくて、外見の好きなところもあるんでしょ?」
「え!?うぅ……もちろん、あるよ?で、でも恥ずかしいよぉ……」
「いいじゃん、このまま話そ~よ~。で、巧のどこが好きなの?」
「あのね、あのねあのね……まずね」
「まず?」
「顔がかっこいいの。巧って髪が野暮ったいでしょ?でも訓練終わりに、前髪を上げることがあるの。それがちょーかっこいいの。い、いつもかっこいいんだけどね?」
「それで、他には?」
「あ、あとは……ん~~~~~~えーーっと、その……筋肉が、すごいの」
「筋肉?」
「そ、そうなの。巧って普通の男子の背格好でしょ?でも脱いだら凄いの……ムキムキなの」
「へ~~見た事あるんだ~~」
「―――――!たまたま!たまたま見ちゃったの!そ、それで――」
「見惚れちゃったんだ?」
「う、うん。凄かったの。うう~~~なんか、恥ずかしくて暑くなっちゃうね!」
茜は自分の火照った顔を手で扇ぎながら、「えへへ」と笑う。
これはチャンスだ!チャンスなんだな!
「じゃあさ、脱いじゃえば?」
「え……」
「想像して。あの日見た、巧のいい体を。見惚れる筋肉を――」
「想像……」
ネクタイをめくって、茜の一番上のボタンを外す。
「想像して。あの日、落ち込んでいた時に、抱きしめられた感触を――」
「感触を……」
ぽつん、ぽつんと二本の指で器用にボタンを外していく。もう胸の部分はだけで、レースのついたピンクのブラジャーが見えている。てか、ブルンって胸が飛び出してきたんだけど……
「上半身裸の巧が~茜が落ち込んでいる時に、『どうしたの、茜?大丈夫?』って――」
「上半身……大丈夫?って……」
「ほら、脱いで。素肌と素肌が擦れて、それが気持ち良くて、病みつきになって――」
「素肌と素肌……病みつきに……」
茜のシャツを脱がせた。
胸が大きい分、お腹がだらしない――なんてことは一切なく、くびれのできたスリムな体形。腹筋も割れそうではあるが、女の子としてそれは嫌なのだろう。
「そういえばね、巧、茜のおっぱい見てたよ?」
「ほ、本当に……?」
「多分、茜のおっぱいが気になるんだよ。茜のおっぱいが好きなんだよ」
「私が……好き?」
「ほらほら、想像して?筋肉がすごい巧が、茜の腰を抱いて――」
「腰を、抱いて」
「茜の大きな胸が、巧の筋肉にふにゅ~~って」
「ふ、ふにゅ~~~?」
俺はそれを実演するように、手を精一杯広げて、茜の胸を前から押すように触った。
ほ~~う、沈む、沈むぞ!下着越しでも、俺の指の間から肉が――肉が!!
「たたたた、巧の胸板に!私の胸が!胸が!これが、巧と触れ合う感覚………」
茜は口をわなわなさせて、ちろっと舌を出す。もしかしたら、妄想の中で巧とキスしようとしているのかもしれない。あ~~このまま押し倒せば、茜とエッチできるぞ!そうする俺!巧に奪われる前に、茜の初めて奪っちまうか!
と、俺が茜の肩を掴んで、椅子の上で押し倒そうとした時――
「あれ?何やってるんだ?二人とも」
由香里が入ってきた。