一章 プレゼント
初めまして七無と申します
ホラーミステリー作品を書いていきます。
少しでも良印象でしたら是非。
「人間は何故に不信感、疑い、違和感を感じるだろう。
自分の中で、暗雲のようなもやがかかる
普通に生活をしているだけのに、何かが頭によぎる。
楽しい事をしていても、不意に思い出す。
このような経験、皆さんも沢山あると思われる。」
私は日々思う、全ては同じ人間が原因だと..。
一章 月城 蓮
2015.6.15 水曜日 AM 6.30
(ジリジリジリ、ジリジリジリ)
アラームの音が鳴り響く
カーテンの隙間から部屋に、太陽の光が溢れる
月城 「もう...こんな時間なのか..」
自分しかいない空間で、独り言を呟いた。
重い身体を起こし、アラームを止め、ボソボソと歩き、リビングへ向かう。
朝の支度を終わらし、昨日残した炒飯を温め、携帯で好きな動画を漁り見始めた。
すると、ピコンッ と音と共に、一件の通知が携帯に届いた。
「おはよー、今日は頼むよ
月城しか頼めなくてよ!
じゃあ、細かい話は学校でな。」
同じ九条ヶ丘高校の、椿 春樹(17)からのメッセージだった。
幼稚園からの同い年の幼馴染で、小中学校時代も一緒だった友だ。喧嘩は全くと言っていいほど無く、俗に言う親友だ。 性格はすごく明るく、コミュニケーションは凄まじい程、外向的だ。
月城「おはよう春樹、また後で。」
春樹にメッセージを返し、温めた炒飯をかきこみ、学校に向かう為、教科書が山のように入った鞄を持ち家を出た。
後10日後に期末テストが控えており、焦りを感じつつ、歩いて10分で着く学校に足を進める。
学校へ向かう道中、歩道で若い女性3人が前方で世間話をしているのを耳にした。
女性a「ところで、例の鈴島さんのお子さんのゆうき君の件やばくない?
6歳の男の子が行方不明になった事件知ってる? この公園で夕方友達遊んでたのを最後に誰も見てないらしいよ。」
と言い横にある公園を指差す。
女性b「ほんと怖いわぁ。 なんていったって遊んでた友達は、誰も遊んだ後は知らないらしいし、その日はいつも通り元気だったっぽいよー。」
女性c「鈴島さんも心配で、警察にすぐ捜索願を出したらしいけど、遊び終わってからの情報が何も無くて、警察も誘拐の可能性を考慮して、手掛かりを探してるらしいけど、何一つ分からくてお手上げだってさ。 もうゆうき君が居なくなって3日も経ってるのにね。」
この謎の行方不明の事件、ここの地域ではニュースに取り上げられる程有名で物騒な話題だ。
3日も経つと、近所もこの事件で話題が絶えない。
皆、早く解決しないかと思っているだろう
月城「朝から暗い話題は、気が落ち込むな」
そんな事を思いながら学校へ足を運んだ。
10分後、九条ヶ丘高校へ到着し、自分のクラスの2年c組の扉を入り、窓側の一番奥の席へ向かい自分の席に座った。
朝のホームルームまでは自由に行動できる為、
クラスは朝から賑やかで、皆友達と好きなゲームや昨日のテレビの事など、色々な会話が飛び交う。
そんな光景を目の前に自分は窓の外に顔を向け、窓から見える街の風景に目をやった。
ここだけの話、俺は人と話すのが嫌いだ。
いや、人に興味が無いと言った方がいいか、
人と遊んでも喜怒哀楽の感情が湧かない。
何事も1人で行動するのが好きで、趣味も人と何かする事ではなく、基本1人で出来る娯楽しかやらない。 友達は作っても面倒毎が増えると思い、春樹以外は会話はするが、その後は関係が続かないようにしている。
人にトラウマや嫌な思いがあった訳では無いが、生まれてからずっとこの考え方は変わらない。
だか、何故か春樹だけは、幼馴染だからなのか、昔から遊んだり、相談などはしている。
親友の春樹とは、真逆といっていいほど内向的な考えだ。
春樹もよくこんな俺と、付き合ってくれていると、不思議に思えるほど関係が長い。
月城(友達なんて...作って楽しいのか?
俺みたいな捻くれ者には考えつかないな。)
憂鬱な感情が、脳内に蔓延る。
(俺も友達が作りたいと思える感情、友達が居て楽しいと思える考え、 この二つがあれば人生も180℃変わったかもな。)
(キーンコーンカーンコーン)
そんな事を考えているとチャイムが鳴った。
扉が開きクラスの担任が黒板の前に立つ。
「はーい!朝のホームルーム始めるぞー
まず出席確認するぞ。1番田中!よし 2番......」
担任の出席確認が始まり、毎日の学校のルーティーンが始まった。
また、退屈な1日が始まった
朝の授業を終え20分の自由時間が始まった
本でも読もうかと鞄を開けようとした。
すると突然クラスのドアが開き、春樹がこっちに走ってきた。
春樹「おはよう月城! 本なんか読もうとしてないで、あの件の話の続きしにきたぜ。
ここだと相談しづらいから、学校の外のベンチでも行こうや。」
あの件?....あ、そうだ
昨日春樹に携帯のメッセージで、頼みたい事があるって言ってたな。
何故かメッセージじゃ教えてくれなくて、会ったら話すと言われ、少し謎に思いながら聞くと了承した。
月城「分かったよ。 20分しかないから早めに行くぞ。」と言い2人で外のベンチに向かった。
春樹「よしここなら相談しやすいな。
悪いな昨日急に言い出して。」
月城「ああ、大丈夫。 で昨日の要件は何だ?」
春樹「おう、その件なんだが」と言うと少し膨らんだ黒いビニール袋を鞄から取り、目の前に出した。
春樹「このビニール袋に、プレゼントがありまーす!」 と言いその袋を渡してきた。
月城「ん?何この袋?中に何が入ってるの?」と問いかけるとその時少し春樹の頬がピクと動いた。
春樹「いやー、月城が家で暇じゃないかと思ってな笑、俺の家にあった玩具でも渡そうと思って!
これで家で色々遊んでくれよ。」と笑顔で言われた。
何か心の中に違和感を感じ春樹の顔を見つめる。
そしてビニールを開けると、中には手の平よりも少し大きい熊のぬいぐるみが入っていた。
見たことは無いが、至って普通のぬいぐるみだ。
月城「急にぬいぐるみなんて、どうしたんだ?
別に俺ぬいぐるみなんて家にも無いし、趣味でも何でも無いぞ?」
春樹「いやいや、結構ぬいぐるみっていいぞ?
月城が思ってるよりかわいいし、ペットみたいな感覚だぜ? しかも月城1人だし...」
春樹の言葉を聞いて、複雑な気持ちになった。
母親は、俺を産んですぐ容態が急変し亡くなり
父親は、俺を育てる為に、仕事を2つ掛け持ちしており、必死に俺を育ててくれていたんだ
だが、そんな父親も過労により倒れてしまい、
病院で一命を取り留めたが、倒れた時に、仕事場にあった金具に首を打ってしまい、脊髄損傷で寝たきりになってしまった。
それからは父方の祖母に引き取られ住む場所はあったものの普段は1人で生活していた。
祖母も、1ヶ月に一度は来てくれるが、来ない日は孤独であり、その生活に慣れてしまっていた。
春樹は、そんな俺を気にかけ細やかなプレゼントをしてくれたのだろう。
普段、春樹のこんな一面を見る時は少なく、本当に心配してくれているのだろうか。
月城「ぬいぐるみを春樹から貰うとは、思わなかったな。 この歳で家にぬいぐるみ置くのは恥ずかしい気持ちもあるが、ありがとうな。」
俺は、ぬいぐるみを貰った事は、そんなに嬉しくは無いものの、春樹がくれたという情もあり、受け取る事にした。
春樹「じゃあまた明日な!俺これで帰るから。」
月城「え?まだ授業残ってるぞ?」と言う問いかけに
春樹「今日用事がこれからあって、早退するんだ。
用事終わったら、テレビやゲームし放題だぜ!
羨ましいだろ笑」
月城「おう!ありがとうな また明日。」
と言い内心羨ましいと思いつつ手を振った。
そして持ってるビニールの、ぬいぐるみを手に取る。
(くまのぬいぐるみをプレゼントにするなんて、意外と春樹可愛い性格なのか?)
と思ったが貰ったものは嬉しい。ビニールを持ちながらクラスへと戻った。
この時ずっと何か違和感は感じていたが、理由が見当たらない為、そこまで気にしていなかった。
今になればこの違和感こそ分かっていれば...
自分が、ぬいぐるみを受け取った事で、あんな恐ろしい事態になるとは...
次からは2章目を投稿します。