ルノワールに、なれなくて
本当は絵描きに なりたかった
あのルノワールのように
誰もが見惚れるような
素敵で美しい絵を描きたいと
でも思うようには上手く描けなかった
ようやく新しい夢を みつけたけれど
口にすれば
笑われるばかり
だからいつしか
口にもしなくなった
そんな時
「素敵な夢だね」
「応援している」
そう言ってくれる人がいた
その一言に、救われた
ルノワールが生きた時代は 戦争の時代
彼自身にも悲しい出来事が続いた
悲惨な現実を目の前にした彼は
あえて明るく美しい絵を
描いたという
「絵で、人々を幸せにしたい」
品評会で酷評され 何度も落選しながら
描き続けたその願いは
100年以上経った今も
わたしたちに幸せを届けてくれている
夢を語ったから 叶う訳じゃない
頑張ったから 願ったから 届く訳じゃない
応援したから 実現させられる訳でもない
たとえそうだとしても
言葉が持つ力を 信じてみたい
あの日の誰かのように
それで変わる何かも
あるのなら
たとえ会って話をすることはできなくても
言葉を通じて 出逢うことは出来る
その言葉のひとしずく、ひとしずくに
願いと祈りを込めて
それは、「出逢いの雫」。
ルノワールに、なれなくても。