表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/15

勇者さまと駆けっこ 其の六


 橋が一つ見えて来た。


 風が出て来て「ラッキー、ラッキー」


 追い風に乗って、楽々ちんのワンステージ、クリアー。




「ちょろいもんだ」


 と後ろを向けば、アイツの足音パッコパコ。


 アイツが一つ目の橋を過ぎる頃、おいらの目の中にゃ、


 二個目の橋の勝利の旗が、風に吹かれてソヨソヨさー。




 すると、お日さまカンカン照りで、ちょぴッチ汗かき


 一休みっと。


 だけど、いよいよ最後の橋に差し掛かった。


 三つ目の橋が見えて来る。


 今度は風が逆に吹いている。


 向かい風で心地良く、暑さを逃れてゴールイン!




「楽勝、楽勝」



 鼻歌混じりで汗拭いて、息を整え振り向くと、



「うわっ!」



 アイツが野立てしながら、方手うちわでお茶してやがる!




「なに!? 勝利者きどって、(くつろ)いでやがんの?」


 って、聞いたなら、




「道行く者に聞いてごらん。わたしは彼是(かれこれ)


 三千遍ゴールを決めちゃってるけれども……」




 だってさ。


 言ってくれるよな。


 そーいや、おいらは道草ばかり。


 菓子の欠片が道端に落ちているのを見かけたら、栄養補給


 は大事だぞっと。


 空を行くからチビ助どもが群がって、「大将!よっ大将!」


 ……と、ついつい事の成り行き自慢げに話していたら勝負の


 事などどこ吹く風で、うっちゃらかして、あせあせっ。



「パッコパッコ」の足音耳に急いで飛ばしてゴールイン。




 おや!? 


 だったらおいらが勝ってる筈と、道行く者に訊ねたら、アイ


 ツの言う(こた)ぁ皆ホント!




 腰を落としてガックン来てると、たまたま教えてくれる者がいた。




「それはあなたが相手をね、(あなど)り、見下(みくだ)し、天狗(てんぐ)になって、本気の(ちから)


 惜しんで出さずに居たからよ」っと。




 空の自由……。


 障害物を避けることなく、一直線。


 それがおいらの特権だったわけ。




 4本足のデカいやつ。



「勝負と名の付く天地に立てば、勝ってみせよう!と意気込んで、


 些細な誘惑(かえり)みず、獅子が獲物を狩る如く、全速力で勇み征く!


 それが勇者の生きざまよ」っと。



目を通してくれてありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ