勇者さまと駆けっこ 其の一
思いつきで描いてしまいました。
昔々あるところに……。
朝から晩まで騒音を撒き散らして、人々の夢枕に
あぐらをかいて息巻いているような悪ガキ連中の
子分をしこたま率いたお山の大将がいた。
街中の反感を背に受けて、それこそを名誉と覚え
るガキの大将がいた。
環境に有害な排気の煙を平然と立ち上げ、他人の
物は平気でかっぱらい、弱者を配下に治めるため
に、罵声を結集し、暴虐を権利とし、弱肉強食を
絶対ルールとし、弱気を脅し強気を逃れ、暗闇を
安住とし、光明を掃き溜めとする。
そんなどうしようもない輩の前にそのお方は現れた。
道行く者の苦情の声に、勇猛の足音を気高くこだまさせ、
微笑みを営み、春風を身にまとい、月と太陽に詩を捧げ、
ひび割れた大地に歓喜のしずくを。
時と共に走り、流れと共に舞う。
苦境の中でも熱き血潮をたぎらせ、嵐の中で獅子吼の
旋律を奏でる。
そんなイメージを掻き立てる者がひとり、ガキの大将
が率いる暴走族を鼻息ひとつで蹴散らした。
遠くの山まで蹴散らした。
暴走族は、あっという間にちりぢりに……。
読んで下さってありがとう