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24 野球とはいったい!?2

 ここ、ゴブリンズの控室。

 とにかく空気は重たい。

 ギガスウォーリアを囲むように難しい顔で座り込んでいる。

 憤りを隠しきれない様子だ。

 ギガスウォーリアのことを、野球連盟の影の支配者、ゴンザークはそれなりに目をかけて育てていた。その証拠に、店頭に並べていないオーディン入りのボールまで販売してくれるくらいだ。



 それなのに……

 勝ちたいがゆえに、殺さずの野球に切り替えてしまった。

 それでも負けた。

 惨敗だった。

 得点にして8対67。



 沈黙は続く。

 この試合で大きく株を落としたに違いない。



「許せねぇ!」



 膝を叩きそう強く言い放ったギガスウォーリアは、体中にダイナマイトを巻き始めた。

 そして何かを奥歯に詰めた。おそらくそれは青酸カリ。もしダイナマイトにトラブルがあり自分が死ねなかった場合、みっともない醜態を晒さず迷わず自決するつもりなのだろう。

 それほどの覚悟がある。

 ギガスウォーリアの重たく細めた眼差しは、これから起こるだろう惨劇を物語っているかのようだ。



 そして彼の目的地は、言わずと知れたユニカルの陣営。

 玉砕覚悟で奴らを吹き飛ばしてやる。

 俺の命を使ってでも、殺さずの野球に終止符を打ってやる。



「待ってください!」と抑制しようとするチームメンバーを振りほどく。


 例えプロ野球選手といえども、球場以外での殺人は立派な犯罪である。メンバーはそれを懸念しているのだろうか。少なくとも他人の命を心配する輩などいる訳がない。そりゃそうだ。野球は常に死が隣り合わせ。今日初めて会ったメンバーだっている。口ではいろいろ言ったりもするが、ぶっちゃけ仲間の命はそれほど重たくない。それはプロ野球選手にとって常識なのだ。毎日たくさんの同胞が死ぬのだからいちいち気にしていたら身が持たない。仲間の命を道ずれに相手を殺すようなプレイをすると観客が喜び、超ファインプレーと絶賛すらされる。


 それが野球なのだ。


 そう思ったギガスウォーリアは、初めて優しい表情になり「安心しろ。これは俺だけの問題だ。俺は跡形もなく消滅する。最悪俺だけでも。だからお前たちには迷惑をかけない」と漏らした。



 ファーストの大男、爆王のガレンが俯きながら小さく漏らした。


「い、いえ……。そうではありません……。俺は……」


 ガレンは何か言いたそうだが、今のギガスウォーリアにとってそれ自体どうでもよかった。殺さずの野球をしてしまった自分が許せず、またメンバー達にも恥をかかせてしまった。だからその敵もろとも消滅してやる。これでも俺はプロだ。だからけじめはキッチリつける。プロとして生きるには、これしかないのだ。死して名誉を守る。それが真のプロ野球選手なのだから。



 ギガスウォーリアはガレンの肩にそっと手を置くともう一度優しく微笑み、「今までありがとうと」と告げ、控室から出た。



 そこでギガスウォーリアが目にしたのは奴だった。

 ギガスウォーリアは目を疑った。



 どうして奴が。



 仮面の少女アスカが、なぜ?

 

 野球装甲は外しており、普段着のままゆったりと壁に背を預けて手を頭の後ろで組んでいる。そして挑発するかのように仮面から覗く口元で笑った。

 そして人差し指でクイクイと手招きする。



「好きなんだろ? 喧嘩。相手をしてやるよ」



 ――どこまで舐め腐るのだ、この女。絶対に許せねぇ。こいつがすべて壊しやがった。なのに!


 ギガスウォーリアは背中の真空剣を抜刀して、力任せに斬りかかって行った。

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