第3話「俺の目標」
セリカが生まれてからというもの、俺は魔法そっちのけでセリカとばかり遊んでいる。
マリアさんも俺がセリカを気に入ってるのが分かったのか、よく俺の部屋にセリカと一緒に遊びに来てくれる。
たまに3人一緒に眠っていたこともある。
俺はドサクサにまぎれてマリアさんの胸マクラで寝たこともある。
気持ちよかった。
母上には少しだけ負けるが。
あぁ、また胸の話になってしまった。
おっぱい好きすぎだろ、俺。
おっぱ…じゃなくて、そう、セリカだ。
セリカがもう可愛いすぎてどうにかなってしまいそうだ。
愛情が溢れてだして止まらない。
前世は兄弟もいなかったし、両親も亡くしたから、家族愛ってのを無意識に欲しているのかもしれない。
母さんに甘えるのが好きなのもそのせいか…?
いや、ミラにも甘えるのが好きだし、これは俺がただの甘えん坊っていう可能性もあるな。
まぁ女の子はいい匂いがするし、仕方ないよな!
そういえば、俺が魔法をないがしろにし始めたのには実は理由がある。
もちろんセリカが可愛すぎるっていうのも理由の一つだが、それと同じくらい大事なこと。
それは…
俺は主人公最強系は好きだが、チートすぎるのは嫌いなんだ!
よくあるラノベでチートで無双するという内容のものがあったが…あれ、バランス崩壊してて面白くなくないか?
まぁ、共感は得れないかもしれないが、とりあえず俺は嫌いなんだ。
おそらく、3歳の時点であれだけの魔法を習得しているやつはこの世にいないだろう。
ということで主人公最強系は好きだがチートは嫌いな俺は、一旦魔法の練習を休止することにした。ということだ。
それに、俺の最終的な目標はハーレムだ。
これを最優先に人生を生きるぜ!
「オギャー、オギャー」
(おっと、セリカが起きてしまったか。ちょうどマリアさんは母さんの部屋に遊びに行ってるっぽいし、俺の神テクでなんとかするかぁ)
「いないいないー、ドッカーン!」
俺は下級火属性魔法の"ファイア"をもう当たり前になってしまった無詠唱で使った。
こんなことをしたら逆効果だと思うかもしれないが、セリカの場合は…。
「キャッキャッ」
なぜか笑うのだ。
俺の天使は大物になるぜ!!
こうして城での平和で楽しい日々が過ぎていく。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
広い豪華な部屋に30歳手前に見える金髪の男と、50代半ばくらいに見える白髪の男がいた。
「父上、話とはなんでしょう?」
「うむ。どうやら、暗黒大国デスティジアで不穏な動きがあるらしくての」
「不穏な動き?」
「そうじゃ。最近魔物も活発になってきている気もするし、それと関係ないといいんじゃがの…」
「そうですか…分かりました。一応気にかけておきます」
「頼んじゃぞ」
「はい」
金髪の男は部屋を後にした。
豪華な部屋を後にした金髪の男はしばらくの間、考え込んでいた。
(デスティジア王国で不穏な動きと魔物の活発化か…無関係に片付けるにはあまりに早計か?)
(まぁでも、関係があるにしろ、ないにしろ、現状では判断できないな。今は考えても仕方ない、か。なんだか暗い気分になったな。 こういう暗い気分のときは家族のことを考えて癒されるか…)
(家族のことと言えば…そうだ、そういえば、アルスはもうすぐ4歳か…。子供の成長は早いもんだ。そろそろあのことを伝えておくか。あいつはあの歳でもう女が好きらしいし、少しは喜ぶかもな)
こうして金髪の男は、すっきりした表情で自分の部屋に帰っていった。