第1話「俺専用」
あれから半年が経ち俺は1歳になった。
1歳になると喋るのはちょっと上手くできないが、立って歩けるようにはなった。
1歳の誕生日に専用のメイドが俺に用意された。
ミラ・クエリオンという名前なんだが、こいつなんと今年で7歳だそうだ。
なんでも、ミラの家系クエリオン家は、代々王族のメイドをしており、母から4歳の頃から厳しい教育をされてきたらしい。
ミラも代々の祖先を凌ぐメイドの素質があったらしく、そこで歳も近いし相談もしやすいだろう。と、いうことで俺の専用メイドに抜擢されたらしい。
ちなみにミラは栗色の髪に、碧眼(この国は碧眼が1番多いらしい)で将来美人確定コースの顔立ちをしている。
そういえば俺の容姿は父親譲りの金髪に母親譲りの緋色の目をしている。そして、なにより重要なことだが、将来はかなりのイケメンが確定している。
ハーレムゲットだぜ!
前世とは比べようがないほど勝ち組だな!
さて、話を戻そう。
美少女専用メイド。なんていい響きだ!
王族で良かったぜ!!
俺は乳児を演じきってミラに甘えると決めた!
「みらぁ、これよんでぇ」
「いいですよ、アルス様。相変わらず可愛いですね、ふふっ」
教養たっぷりのミラさんはこの歳で母性たっぷりらしい。
そして、俺が何を読んでもらうのかというと、もちろん魔法の本である。
あの日から俺は魔法に興味津々で、ミラにたくさんの魔法の本を読んでもらっていた。だが、習得できたのは、
初級火属性魔法の"ファイア"
初級水属性魔法の"ウォーター"
初級風属性魔法の"ウィンド"
中級雷属性魔法の"スパーク"
中級光属性魔法の"シャイン"だけだった。
だけと言ってもこのアースタシアにある魔法は火、水、風、土、雷、光、闇の7つらしいから、7つ中5つも1歳手前で習得できているんだからいい方だろう。
雷が中級なのは俺が雷が好きで他の属性より練習したからで、光は初級が母上に教えてもらった"ライト"で、そしてなぜか他の属性より習得が早かったから中級だ。
ちなみにミラは俺が魔法を使えることを知っている。
そして常々、
「アルス様はきっと神に選ばれし子です!私、アルス様にお仕えできて幸せです!」
と、言っている。
俺も君のような美少女がメイドで幸せだよ。
さて、俺の近況を報告したところで、この世界、アースタシアについて語ろうと思う。
まず1年の周期は360日で1年だ。
前世と似てて良かったな。
そして、アースタシアには、人間、獣人、エルフ、魔人がいる。
人間と獣人とエルフの国々は同盟を結んで戦争はないが、魔人が住む暗黒大国と呼ばれるデスティジア王国とはまだ同盟を結べていないらしい。
ちょっと不安だな。
ちなみにアースタシアには、大きく分けると四大王国があり、まずは、
俺の国であり人間の国であるヴァーミリオン王国。
次に獣人の国であるとアルカディア王国。
次にエルフの国であるシンセシア王国。
最後に暗黒大国と呼ばれるデスティジア王国だ。
こうして見てもらえると分かると思うが、俺の国ヴァーミリオン王国はアースタシアでも1、2を争うくらいの大国である。
どの四大王国も小さく分けるとまだまだ小国はあるんだが、人間の国でその頂点に立つのがヴァーミリオン王国ということだ。
俺って身分高すぎ!!
そうして、魔法の本を読みながら、ミラのまだ寂しいお胸に甘えている日々を過ごしていて2年が経ったある日…。