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シュチュエーション(恋愛)

作者: 傘重芥子

 シュチュエーション1:仕事中にかまえかまえしてくる彼女、または彼


≪刺貫≫

 生徒会の仕事だと言うのに、wordが使えないからって俺に任せるな。

 おかげで今夜眠れそうにない。

 しかも佐々梨が隣で挙動不審過ぎる。

 話しかけようとして止めるし、近づこうとして止めるし、明らかにおかしい。

 ま、なんとなく理由はわかるが。

 とりあえず十分ほどそれを堪能させてもらったから、そろそろ許してあげようか。

「ちょっと来て佐々梨」

「は、はひぃ!?」

 何でそんなに驚くかね。

 僕の椅子の隣に来て、何故かオドオドとしている。

「な、なんですか?何をするんですか挺さん?」

 そんな佐々梨の頭を左手で撫でながら、右手でキーボードを打ちはじめる。

 心なしか、さっきより捗っているような気がするが、ま、気のせいではないと思う。

 佐々梨は困惑しているようだな。

 解りやすすぎなんだよ、君は。


≪器≫

「構って!」

「ストレートだな!」

 隣の敬語彼女を少しは見習ってほしい。

 どう見ても仕事中じゃん。むしろ手伝ってよ。

 目茶苦茶不条理な理由で仕事押し付けられた彼氏をすこしは労ってほしい。

「良いじゃん!かまってよ!」

「悪いけどちょっと待ってよ。委員長から押し付けられたとはいえ、やらない訳にはいかないからさ」

「いいじゃん!かまってよ!」

「僕の話聞いてたか!?」

「構ってよぅ、構ってよお」

 まじかよこいつ。泣き出した。

 さすがに泣かれたら構わない訳にはいかないだろう。

 一旦保存し、デスクから離れて、硝子を抱きしめる。

「うぅ~、」

 嬉泣くなよ。まったく、可愛すぎるだろ。


≪響鳴≫

 最近できたばかりの彼女が、まったく構ってくれない。

 今日も部活のプリントを作っている。

 パソコンのディスプレイに向き合って凛とした雰囲気でキーボードを叩く姿は目茶苦茶カッコいいし、とても絵になっていて、これが僕の彼女だと思うととても誇らしい気分にはなるけれども、

 それでも寂しいものは寂しい。

 どこかの涙腺崩壊彼女よろしく一言目から「構って」とか言いたいけども、さすがに僕には無理だよな。

「ねえ寂奈」

「…なに?…」

「何で僕と付き合おうと思ったの?」

「………」

 黙ってしまった。普段からかなり無口な人だけども、しかし今回は普通に黙っただけらしい。

「ごめん、変なこと聞いた」

 目茶苦茶空気が悪い。余計なこと聞かなければよかった。

「…音哉が、…」

「え?」

「…音哉が、音哉だから。それだけ…」

 それが僕と付き合ったわけだという訳なんだろうか。

 なんというか、可愛い。

 さっきまでの凛とした雰囲気が無くなって、ひたすらに可愛い。

「ていっ」

 後ろから抱きついてみた。

「…ん、…」

 思ってたより反応が薄い。

 けど、僕が満足したからそれでいい。


≪上下≫

「ねえ結下」

「ん?」

「どうやら他の皆はいちゃついてるみたいなんだけどさ、私たちはどうしよっか」

「は?どういう事だ?」

「いや今回のお題はさ、忙しい人に甘えるって言う物らしいんだけどさ、私たち別に忙しくないじゃん?」

「俺も賀上も生徒会やら部活動やらに属してないからな」

「そう。だから暇で暇で仕方ないし、企画の趣旨にそぐえないんだよ」

「だからって無理に何かしなくてもいいだろ。いつも通りしてりゃあいいんだ」

「いつも通りね、言われてすぐにできるような物じゃないと思うけど」

「そうか、俺はいつも通り寝転がりながら本でも読ませてもらうか」

「じゃあ私はその横で添い寝しようかな」

「これがいつも通りっていう時点で、カップルの中では俺たちがとびっきりでおかしいよな」

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