初陣
私達は戦場に赴いた。一般兵も入れて総勢2000人の援軍だ。
どこの国もそうだが、全部が全部、騎士である軍隊など存在しない。騎士と一般兵の混成部隊が殆どだ。
初陣であり、新米でもある私達は、一般兵に混じって戦うのだ。
部隊は私一人と10人の一般兵。更にそれが10個、100人の小隊となる。さらに500人が中隊とされ、1000人を超えると大隊とされる。
私と一緒にされた10人の一般兵は浮かない顔だ。当然だと思う。仕方ないけど諦めてもらうしかない。騎士と出世はこの兵達と手柄を立てなければならない。ケイト君なら一人で敵をやっつけちゃうけどね。
いざ、初陣だ!
「ほお、落ち着いているな。普通なら吐き気や目眩に襲われるのが初陣なのだが」
空気の読めないお喋りな剣だ。私だって緊張はしているがすでに命のやり取りをしている。泣いたし、吐いたけど。
すでに10人の仲間は名前を把握している。生死をかける人だ。全員無事で帰りたい。私はやってやる。
「私は、やれば出来る子!」って自分で自分に言い聞かせる。
戦闘が始まった。
「ビル、ヤン、ルビ、サリー、ヒロは後方より前線を援護。負傷した場合は交代せよ。生きて帰る。敵は殲滅する」
ルビが肩をやられ、後方のサリーと交代した。私は、剣を当て直す。
「心配ない。思いっきり戦ってくれ」
みんな妙に活気づいて来たぞ!
「サリー右からの来るぞ!リーは二人同時だ。ヤンフォローしろ!」
プリフィンガーが、導いてくれる。私達の隊は俄然活気付いている。私の隊が押し始めた影響は隣のケイト君の隊にも影響した。20人の小隊だけど、明らかに戦果を上げている。
仕方ない。合間にケイト君の兵も治療してやるか!
敵は私達の勢いに呑まれ、崩れた。そうすればもう簡単だ。
「みんな深追いはするな!隊列を守るんだ。次の命令を待てばいい」
余計な戦いする必要無いしね。
次の日、私とケイト君は中隊長に呼ばれた。
ケイト君と一緒に呼ばれるってまた怒られるのか?ケイト君またしでかしたのか?とばっちりなのか?
おまえらの働き、見事であった。兵10級から9級に昇格させ、小隊長とその補佐を命じる。
「小隊長はおまえで俺が補佐だな」
「えっ?なんで。私、それほど敵をやっつけてないよ」
「おい、隊長の面前だぞ!」
やっぱりケイト君のせいで怒られるんじゃないか!
「セレナ。そなたと一緒に働きたいと言う一般兵が続出してな。小隊長にせざるを得なくなってしまった。お前は『戦場の女神』なんだとさ。初陣での活躍、誠に立派であった。今後も期待しているぞ」
「「はっ」」
「おまえには感謝しているぞ!」
ケイト君が、突然言い出した。やばい、殺される!
「決闘は嫌だよ。ケイト君には敵わないから」
「そうでもないだろう。俺に土をつけたのは今のところおまえだけだ」
「勝ってないからね。私。怖くて逃げ出したんだから、再戦とか、絶対に望まないで!」
「ああ。大分、怒られたからな。再戦はしない。よろしく頼むぜ、隊長さん!」
私は早くも小隊長に出世したらしい。
プリフィンガーが私を導いてくれたよ。さすが父上!お喋りな剣だって事は内緒だね。




