戦場へ出立
ケイト君と勝負したのが原因で戦場の前線に送られる事になった。
前線送りは私とケイト君、それにビリーとカズト君も一緒だ。男子どもは喜んでいる。当てのない訓練よりはマシだと思うのか?戦場って死んじゃうことあるんだぞ!
男にとっては戦場で手柄を立て出世すると言う騎士ならではの目的がある。わかるけど、巻き添えを食った私はイヤだよ。だって、死にたくないもの。
憂鬱な気分で過ごしていると、私のオーダーメイドの鎧が届いたという。早速、試着だ。
おう、軽い。今までの半分どころか、5分の1程度か?装甲薄いのかな。身軽に動ける方が助かる。これで生存確率がぐっと上がったわ。まさか、レア金属で出来てないよね。
型は、他の騎士と同じだけど、胸のカップが円形になっていて恥ずかしいかも。
しかも、胸がまだ成長途中の私には隙間がある。決して私の胸が小さい訳じゃない。妙に悪意や禍々しい印象を受けるぞ!胸ばかり強調しやがって。
少しはやる気になって来たぞ!父上に報告して出発だ。
「父上。戦場へ赴くことになった故、ご報告に参りました。
「うむ。おまえに預けた我が家の剣が必ず導いてくれる。安心せよ。生きて帰って来るのだぞ!」
「命を賭して、我が家、我が国のために戦って参ります」
(ぷっ。死にたくないって言っておったろうが!)
「我家名に栄誉を!」
(そんな気もない癖に。よくもまあ言える)
「セレナに栄光を与え給え!」
「ありがとうございます」
私は静かにドアを閉め、忌々しい剣に向かって、「ぺっ」ってやった。
「汚いであろう。唾を我に吐くな」
「せっかくの父上とのご挨拶を台無しにしてくれたわね」
「父は生きて帰れとの命令だ。我が導いてやらんとな」
「偉そうに!よくもまあ」
なんか、わからないけど、自信が出来た。うん、頑張ってみるか!