帝国王子 現る
さあ!姫も無事に取り戻したし、帰るよ!
「女神。大変だ!敵部隊が現れた!その数、兵2000」
え?2000?何よ!その数って有り得ないよ。
「いや、3000はいるぞ!」
「後方左右に1000づつ、完全に囲まれています」
やられた。巧妙な罠だったのね。砦燃やしたのがいけなかった?いやいや、違うわ。王女誘拐から仕組まれていたと考えるべきだ。これは、絶対に逃げられない。余程、用意周到に準備されている。
「みんな、下手に動かないで。何があっても命令に従うこと。いい?何があっても動いちゃダメよ」
敵軍の大将が私に近づいて来る。
私もひとりで帝国の大将らしき人物に近づく。
「私のために御大層なお出迎え、感謝かな?」
「そうです。かなりの時間と手間をかけさせてもらった」
「目的はなに?」
「君に会いたかった。話がしたかった」
「え?」
「危害を加える積もりはない。そんなことしたら、君の兵はとても恐ろしいからね。僕らは君に興味があるだけなんだ。数人を連れて一緒に来ていただけると助かる。君の兵達は無事に返すと約束するよ」
私は自分の陣に一旦戻る。敵大将はなぜか、ひとりでついて来た。馬鹿なのか?殺されちゃうかもしれないのに。
「ちょっとこの人と一緒に出掛けて来る。みんな帰っていいよ」
「大丈夫なのか?」
「危害を加える積もりはないって。私とお話しをしたいんだって。何人かは残っていいって」
「おまえ一体、誰なんだ!」
「私は帝国代3王子キムベルト。女神のファンです」
「変わったヤツだな。この娘のどこが良いのか?」
ちょっと待った。今は、そこを話すとこじゃないんだよ。ケイト、カズトと数人は残って 、ビリーは兵を率いて帰国して。とりあえず、言う通りにしなきゃだよ。
「私も一緒に行くわ。残らせて!足手纏いにならない様にするから!」
「姫ちゃんはどうかな。身体、大丈夫?」
「王女には大変失礼をしました。責任を持って対応させて頂きます。申し訳ありませんでした」
随分と紳士的だな。帝国の王子って。まあ、この状態じゃ有無は言えないよね。この紳士的態度は逆に恐ろしい。何を企んでいるか、わからないよね。
「近くの町に宿をご用意しています。そこでごゆっくりお休みください。くれぐれも逃げないでくださいね。ここまでするの大変だったんですから」
「どうせ、逃げられない様に万全に準備されているんでしょ」
「どうでしょう?」
私達は、その町の最高の宿の最高級の部屋に案内された。
「凄え!」
ケイトは田舎者だから、とても驚いてるよ。ウチの領土の王女の部屋も結構凄いんだぞ!あまり使ってくれて無いようにだけどさ。
とりあえず、疲れているので寝よう。ふかふかのベッドは気持ち良いよね。
宿の食事もとても美味しい。デザートのケーキまでついていた。帝国の方が文化が進んでいるのか!
食事が終わったら、王子が訪ねて来た。
「お目覚めですか?よろしいでしょうか?」
「おかげで疲れが取れました。ありがとうございます」
「女神は、私の思ってた様な方で安心しました。ゆっくりお話しをしましょう」
「はあ?」
「率直に言いますと、私の興味は女神の街です。あの街並は素晴らしい。我が国を大きく上回っています。」
「王子よ。見た事があるのか?」
「ええ。そこの王女に許可を頂き、入らせてもらいました」
(姫ちゃん。検閲の係はザルだね。姫らしいけど)
「以前、私のスパイを捕まえた事を覚えていますか?あのスパイの話では、女神は街の花壇を荒らした事に腹を立て、更には子供相手に土下座させたと聞き及んでいます。しかも、諜報員に花壇を直させたとも」
「当然です。私と子供で育てた花壇ですもの」
「私はそのことに興味を持ち、確かめに行ったのです。そしたら、素晴らしい街並で、住んでいる人も活気がある。自ら街道の花を育てる領主に興味を持ったのです」
「ねえ、その為に私が誘拐されたの?酷い目にあったんだから!」
「もちろん、それだけじゃないですよ!我が国と貴国は戦争中ではないですか。私はそれに乗っかっただけです」
「私は騎士ゆえ、闘う事を職業としています。ですが、戦争は避けたい。領民が平和に暮らす事が一番の望みです」
「それは返答に困りますが、女神次第で可能かもしれません。私とて、人殺しを好んでいる訳でもないのです」
私に何をしろって?私は街づくり携わってないよ。ピーターが勝手にやってるんだよ。ピーターはただの商人。平民だよ。
花壇だけはピーターに無理にお願いして作って貰った程度なのに。




