隊列と模擬戦
地獄の訓練の次は隊列の訓練だ。
一糸乱れない隊列が大事らしい。
隊長の言葉を神様の言葉と誤解して言う通りに動く。
(うん、これは得意だな。私って協調性があるのかも)
やばい疲れて来た。動きについていけない。新人の何人かも隊を乱している。この訓練は見た目以上にキツイぞ!慣れれば、疲れないんだろうけど。新人兵は辛いね。
次は模擬戦か。私は三列目だ。最前線の一列目だけ戦うって訳にも行かないらしい。
「三列目。前へ!」
(来た!最前線。怖いから。凄く怖いから!敵兵に扮した相手の列の人は容赦なく私を棒で攻撃してくる。こちら女子だよ。手加減しないの?女子を殴るなんて最低の男だよ)って思ってもそうはいかないらしい。
やっと宿舎に戻ったが、痣だらけで身体中痛い。
「あーあ、今日は痛かったな。ほら、痣が出来ちゃった」
「慣れれば、皮膚が硬くなり痣が出来る事もなくなる。安心せい!」
「私ってどの兵種になるのかな?やっぱ女子だから、衛生兵?それとも弓兵ってのもカッコいいかな」
「何を馬鹿な事を言っておる。我の出番がないではないか?剣を持って戦うのだ」
「今日、凄く怖かったよ。痣だらけだし、実際、戦えるのかしら?」
「まさか、おまえ、自分の能力知らぬのか?我を傷口に当ててみろ。そして治れと願うのだ」
言われる通りにやってみた。青痣がみるみるなくなっていく。
「程度にもよるが、おまえには多少の治癒能力がある。有効に活用すれば良いではないか」
「早く言ってよね!もう!乙女の肌に傷つけるつもり!」
「おまえ、騎士なのであろう。傷のひとつやふたつは勲章ではないのか?さらに、乙女という言葉も若干相応しいくない言動を我にしているではないか!」
「ふーん。プリちゃんはまた、唾を吐きかけて欲しいのかな?」
「やめてくれ。その攻撃は、剣の攻撃よりも辛い!」
もう、模擬戦なんか怖くないわ!だって、治癒能力でささって直せるんだから!私を叩いた男たちめ、女子をいじめた復讐は怖いのよ。思い知らせてやるわ!
酒場で先輩たちは好き勝手言う。
「おい、あの娘、怖いもの知らずか?普通の女なら泣いてもおかしくない模擬戦だぞ!」
「ああ。不気味な笑顔で攻撃しているところ見たぜ!」
「痛がってる割には怯まず、攻撃しているよな!絶対、危ないタイプだぜ」
「やだやだ。戦場で敵としてあったらゾッとするな!」
「プリちゃん。聞いて!相手の攻撃恐れなくなったら、私の攻撃でも結構当たる様になったんだ。防御も出来る様になった。冷静になれば、私って出来る女なのよ!」
「あたり前だ。敵を恐れてどうする。相手を恐れさせなければ勝利はないぞ!」
「よーし。頑張れそうだわ」