女神と王女
私は、王女と領内の散歩に出かけた。
王女の歳は、私よりもちょっと若いくらい。仕方ないワガママな妹が出来たつもりでもなってみるか?
「女神様!ぜひ、うちの葡萄を召し上がって下さい」
って農家の人から声がかかる。私と王女は美味しく頂いた。
「瑞々しい。葡萄がこんな美味しい物だったとは!もっとおくれ」
「ハイハイ。お嬢ちゃんもこの美味しさ、わかるんだね」
「美味しい。今まで食べた中で一番美味しい葡萄だ」
「嬉しい事。言ってくれる。また来いよ!」
「人質なんだから、少しは遠慮しなさいよ!」
「まあいいではないか!美味しい物に国境はない」
次は街をぶらついた。
「何もないのぉ。」
「これからだよ。人がごった返して、活気溢れる街になるんだから。絶対に」
「良いのぉ。この花の花言葉を知っておるか?「希望」だ。希望溢れる街は素敵だ。妾もそれを願う」
(この王女なかなか、気は合うかも)
私達は花の話とか、甘い食べ物の話とか盛り上がった。
「なによ!あなた。ケーキとかクッキーとかそんな甘くて美味しいそうな物。私にも食べさせなさいよー」
「仕方ない。今度、妾が作ってしんぜよう」
「あなたが作った物は要らないわ。本国から、専属の料理人を呼び寄せなさい。私は美味しい物が食べたいのよ!」
「だから、妾が作るって言ってるだろう。そこそこ食べられるって城では評判だったぞ」
「そこそこ食べられるって微妙よ。我慢すれば、食べることができる程度じゃないの!」
「そう言う女神だって料理はできるのか?」
「私は食べる専門だから、良いのよ」
「なんか、小賢しいな。女神ってものは」
私と王女はいつのまにか、打ち解けて友達になっていた。
「王女。住むとこなんとかしなきゃだよ!」
「知らぬ土地だからな。女神と一緒に寝泊まりするのはどうだ?女神は館に戻らず、どこで寝泊まりしているんだ?」
「兵士の宿舎とか、宿屋とかだよ。ずっと戦場にいたし、たまに街を見に来るくらいかな。これからは、街の花壇でお花を育てたいなぁって思ってるんだ。だから、街中心になるかも。戦場がひと段落したから」
「当分、領主の館にお世話になるかも。よろしく。祖国に援助してもらって私の家この街に建てたいな。よし。打診してみよう。私はこの街が気にいったぞ!」
「じゃあ王女。兵舎行ってみる?敵国の兵士がたくさんいるからイヤかもだけど。身の安全は保障されるよ。私の部下だから。後ろの護衛さん達は嫌だろうけど」
「お前ら、私は人質だって理解しているよな。最悪の場合、付いて来るなと命令されたく無ければ、言動に気をつけるのだぞ。見た通り女神は私に敵意を持っていない。既に友だ。失礼の無いようにせよ」
「みんな聞いて!」
「敵国の王女のアンだよ!私の友達。仲良くしてね」
しーん。突然すぎて理解出来ないよね。
「私は王女アン。人質になってこの国に来ましたが、女神の人の良さに惚れ、ついさっき、友達の契りを交わしたばかりです。敵国の人間ですが、貴方達を恨んでもいませんし、危害を加えるつもりもありません。」
「私は。私は、女神と友達になりたい!友達ができて嬉しい!それだけなのです」
(さすが、王女だね。私よりも演説が上手いよ)
「女神の友達なら、俺らの仲間だ。敵も味方もない」
「そうだ。アン。仲間だ。よろしくな」
「やった女神に女の友達が出来たのか。良かった」
「女神!良かったな」
「女神の軍勢は猛獣と聞いていたが、温かくて優しいじゃないか」
「うん。私の自慢の仲間だよ」
「これじゃ、我が国は負ける訳だ。女神は幸せものだ」
「王女は胸も立派で、やっぱり王族は美しいんだなぁ」
「まあね。女神のペチャと一緒にされちゃね!」
「ちょっと待った。地雷踏んだよ。私の胸はこれから成長するんだよ。王女のは半分は肉であって胸じゃないから!」
「はあ?私が太ってるって言いたいのかしら?」
「私はペチャじゃないもん。でも王女はポチャだもん」
「はあ?王女に向かって随分な言いようね!」
「だって、人質でしょ」
「言ったな!鼻ぺちゃ!」
「あー〜またペチャって言ったな。このポチャは!」
「おゝい。誰か止めろ!子供の喧嘩だぞ!」
「このふたりって仲悪いのか?」
王女様は、口げんかも初めてのようだね。私に口で叶う訳ないのに。まあ、喧嘩するほど仲が良いってこの事かな。




