敵国の人質
領内に戻って道路整備がなんとかなりそうだと報告。いったいどっちが領主なんだかわからないぞ!
商人にピーターという若者を紹介される。かなりのキレ者で街造りをしたいとのこと。
「これから街造りをするなら、最初が肝心です。区画整理等の計画を立てて、上下水道の完備も視野に入れてください。大きな街を作るのでしょう?ならば、計画立案実行しなくてはなりません」
(このピーター。私よりも誰よりも偉そうだぞ)
「お願いします。綺麗でみんなが幸せになれる街を作ってください。全てお任せします」
「私に一任されてよろしいのですか?私はとことん徹底してやりますよ。もちろん、その自信もあります。どこよりも素晴らしい街を作るとお約束いたします」
「私には、外敵から街を守る。治安維持くらいしか出来ないですが、よろしくです。あとお願い。区画やメインの場所に花壇を設けてください。私がお花を育てたいの」
「どうぞ。ご自由に。御自身の領土なのですから。私は都市さえ作れれば、何も要りません」
(せっかくだから、儲ければ良いのに。変わった人だね)
すると、敵地近くの兵から急な知らせが届いた。敵め、とうとう攻めてきたのか!迎え撃とう!
みんな神妙な顔をしていた。
「ビリー以下10名程が敵に見つかり捕虜になった模様」
そんなの敵ごと叩き潰しちゃ良いじゃん?
「敵は女神と捕虜の交換を条件に捕虜を解放するとのこと。軍勢で攻撃してきた場合、即座に捕虜全員を殺すとの事」
「罠だな」
「見え見えの罠だ」
「私は、捕虜交換応じてもいい。ビリーやみんな助かるんでしょ。後からみんなで私を助けに来れば良いじゃん」
「おまえ、殺されるかもしれないぞ!」
「敵さんは女神を殺すって言ってないわ。口約にない事したら、国が黙ってないよ。大丈夫だよ。我慢してれば、みんなが救ってくれるでしょ」
「反対。絶対に反対」
「女神を人質に出すなんてあり得ない。俺たちが国に追われるよ」
「とにかく、女神が人質って線はない!」
話は平行線のまま、進展はなかった。
私は深夜、こっそり抜け出して兵舎を振り返る。
「プリちゃん。私を守って!私、人質になるって決めたんだ」
「大丈夫なのか?」
「凄く怖いよ。プリちゃんがいれば心強いし」
「いくら兵の為でもやり過ぎだと思うぞ!」
「仲間だもん。仕方ないよ。私だけ領主とか良い思いしてるし、貧乏クジも引かなきゃね。でも、みんなとお別れになっちゃうと思うと涙が止まらないんだ」
「泣いて良いぞ!誰も見ておらん」
「ありがと。私って思ったより、みんなが大好きだったみたい。お別れは寂しくて寂しくて」
「主人よ我がいる。今回は役立たずかもしれないが、それでもやれるだけのことはやる。今だけはたくさん泣いておけ」
「うん。たくさん泣く!みんな、ありがとう!」
私は、明け方に敵国の砦の門を叩く。
「おはようございます。女神です。人質の交換に来ました。開けてください」
「え?本物か?一人か?敵が伏兵しているとか?」
「私は約束どおり、兵を連れていません。仲間を解放してください」
「ちょっと待て!」
私は、小隊長らしき人に連れられ、牢に幽閉された。まずまずの牢かな。これなら、しばらく住んでも大丈夫だよ。食事が楽しみだったりする。
ビリー達、解放してもらえるかな。私、来た意味なくなっちゃうのは嫌だよ。




