ケイトと殴り合い
私とケイトは自軍の総隊長の元に戦勝報告のために馳せていた。
「セレナ。見事であった」
「私だけの手柄ではありません。私の隊から騎馬を追い払って頂き感謝しております。軍師様の陣触れも見事なものでした。我が軍全員の勝利です」
「よくぞ申した。全軍の勝利である。さらに、軍師の陣は見事だったな。ワハハ」
「私は、敵本陣を囲む陣は引いておりませぬ。その方、始めから、ワシを出し抜くつもりであったろう!」
「すみません!」
「良い良い。実に爽快だった。戦ってる兵が軍師の策を出し抜くとは実に愉快。セレナ、天晴れであった。儂はこれほど爽快な勝利は初めてだ。本国にはお前の手柄、大きく報告したす故、そのつもりでおれ」
「有り難き幸せでございます」
総隊長の報告は終わったが、軍師は言い足りないらしい。
「貴様には、やられたな。前回の搦め手の戦といい今度の敵本陣への突撃。私の策を上回ってくれた。貴殿のお陰で我が軍が勝利できた。悔しいが礼を言うぞ!」
「とんでもない事です。皆の勝利です」
「それにしても、貴殿の隊は強い。囮役が、敵を押し返しそのまま敵本陣に突撃するなどとは前代未聞。今後もこの様な戦はないであろうし、そんな策を弄した軍師はキチガイだと思われるだろうよ。どうやったんだ!」
「はい。軍師様から頂いた『女神の旗』これを敵本陣に立てたいと皆の前でワガママを言いました。目標は高い方が士気が上がるものですね」
「やっぱり、お前、はじめから私を出し抜くつもりだったな!心の中では私を見返してやる!とか思っていたのか!」
「すみません!」
「いいぞ。いいぞ。清々しい気分だ。お前に負けぬ様、私も精進しなければならないな」
「す、すみません」
私は早々に本陣を後にした。
私は次に衛生テントを訪れた。怪我人で溢れてる。早速、手当を始めたけど、すぐクラって来て、3人目で意識を失い倒れてしまった。
「女神は何しに来たんだ?」
「そこが良いところだよ。怪我人ほっとけないんだ」
「自分が倒れちゃ世話ない。馬鹿なのか?」
「馬鹿なんだろ。ホントに馬鹿だ。だから、みんな守りたいって思うんだろう。」
ケイトがズカズカ入って来て寝ている私に問答無用で水をかける。意識朦朧としたまま、連れ出される。
「やっぱりここにいたか。お前がいなけりゃ、祝賀会が成り立たない。サボるなよ」
病棟のみんながボソボソつぶやいている。
「鬼神って鬼だな。女神が可哀想になったぞ」
祝賀会では、割れんばかりの歓声に包まれた。この雰囲気意識が遠のく。また、山ほど苦いクスリを貰ったよ。生き返るよ。これ。今度製法を教えてもらいたい。
おっ!殴り合いの喧嘩だ。なんだ。決闘か?好きだね。喜びは我が隊では決闘するらしい。
ケイトが参加した。しこたま飲んでるのに強いね。誰も相手にならないぞ!
(え?私。いやいや、ないよ。それ。そいつはバケモノだ)
「主人。我に任せよ。勝てるかもしれない」
プリちゃん余計なこと言わないで!
断りきれない。「女神VS鬼神」が敢行された。
賭け金が飛び交う。私ならケイトに賭けるよ。八百長じゃないよ。
「おい、来たぞ。右ストレートだ。もろったら終わりだぞ!」プリフィンガーに従い、避ける避ける。
「おい、ヤツの左は威力がないが牽制で使ってくる。右手でガードだ。」プリちゃん、痛いんだけど。削られてるよ。
「次の右ストレートを避けつつ、顔面に牽制の拳を入れろ」ケイトの顔面に牽制のパンチが綺麗に入った。
ケイト怒った。これ超怖いモードだよ。
「胸ぐらを掴んでくる。逃げる様にしゃがみ込んでヤツの顎目がげて渾身の拳を入れろ!今だ!」
下から上へ、渾身の拳がケイトの顎に綺麗に当たった。
ケイトは、酔い潰れた様に倒れた。
「鬼神め、女神に摑みかかるとは無礼千万。みんな鬼神を押えろ!」
倒れたケイトの上に人の山が出来た。
「ふっ。そんな立派な胸などしてないじゃないか!」
「ふふふ。ケイト君。今、私の地雷踏んだよ。許せない。絶対許さない!」
私はケイトの顔を何度も踏みつけた。
「おい!主人。みんな引いてるぞ!」
「あら。なんて事かしら。つい私ったら」もう遅かった。兵たち、私は優しい女神なんだよ。信じてね。
夜は更け、あとは凱旋だね。パレードか?
ちょっと遠慮したい。こっそり帰りたい。




