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あべこべ世界で~プロ棋士として生きる~  作者: 田中悠平
第3章 あべこべ世界で~プロ棋士編~
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捕まらない

「先ほどから松村七段の猛攻が続いてますね」

「はい、ですが……」

「ですが?」

「これは上部に脱出出来そうですね」

「入玉ですか?」


入玉とは相手の陣地に王様が逃げる事だ。

将棋の全ての駒は前に進めるが、後ろに進める駒は少ない。

なので相手の陣地に逃げ込めると殆どもう、捕まる事は無いのだ。

局面は桐島歩が入玉出来るか、松村七段が入玉される前にあゆむの玉を捕まえられるかとなっている。


『あゆむ様逃げて!」

「こんな女なんかに捕まらないで」

「私が捕まえたい」


テレビの前で女性ファンもひやひやしながら応援している。


『大丈夫、入玉出来るはず!」

「絶対に捕まえる!」



両者が一進一退の攻防を繰り広げ、現在の盤面は……


桐島歩の王様がと金に囲まれている。

『と金王国』間違いなく将棋の囲いで1番硬い囲いだろう。


実際に『と金王国』なんて言葉は無いが、子供の頃にあゆむが勝手にそう呼んでいた名前だ。この後のインタビューでうっかり言ってしまった為に今後そう呼ばれる様になるのは少し先の話。



(入玉されてしまったやん、あたしのアホ!私の玉は……入玉出来そうに無いな……)


この先、あゆむの駒は絶対に捕まる事が無いので、ゆ~くりと攻める事が出来る為に、負ける事は無いので自分も入玉を目指さなければならないが、松村七段の王様は入玉出来そうに無い。


お茶をゆっくりと一口、口に含み、


「ありません」

「ありがとうございました」

「以上、146手を持ちまして桐島歩四段の勝ちとなりましました」


解説では、


「いやー、見事な逆転勝利でしたね」

「桐島四段の粘りは凄かったですね」

(やったね、あゆむ君!)


棋譜読み上げを担当する奨励会員が、あゆむの勝ちを宣言した時、テレビの前では、


「あああ、初めて神様が居ると信じたわ」

「あゆむ君を見るのは心臓に悪いんだけど……吊り橋効果でもうお姉さん、あゆむ君が好きすぎて震える」

「あゆむ君、凄い疲れた顔している。癒したい、は!そうだ、アロマセラピー勉強しよう」


テレビの前では、日曜日の午前を全力で楽しめた様だ。










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