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あべこべ世界で~プロ棋士として生きる~  作者: 田中悠平
第2章 あべこべ世界で~奨励会と高校生活~
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最終局

残り一局を残して昇段の可能性を残したのは、桐島歩、秋田一二美、星野キララの三名となった。

そして最終局は秋田三段と星野三段の直接対決となっている。


金城やまとは奨励会退会が決まってしまった。


「金城さん……」

「桐島君、頑張ってね」


それ以上の会話が続かない。


昼休みは重い空気の中過ぎていく。


そして運命の最終局。


勝てば自動昇格、負ければ秋田と星野の負けた方とプレーオフが待っている。


秋田一二美と星野キララの直接対局は勝った方が自動昇格。

負けると桐島歩の結果次第となっている。


約半年間に渡って行われてきた三段リーグの運命の最終局。


昇段の可能性がある者は勿論、昇段の芽が失った者も少しでも来期に向けて勝っておきたいところだ。


「降ってきましたね、天野先生」

「そうですね、天気予報が当たりましたね」

「それにしても今期はレベルが高かったですね」

「彗星の如く現れて、三段リーグに編入して上位争いして桐島君には驚かされていますよ」

「流石、桐島竜玉のお孫さんですね」

「間違いないですね」

「それにしても、金城君は勿体なかったですね」

「ええ、三段リーグの怖さを思い知らされますよ。あれだけの実力で抜けれないのですから」

「将棋辞めないで欲しいですね」

「まったくです」

「秋田君と星野君も対象的ですよね」

「ええ、安定感抜群の秋田君。華々しい星野君。どちらも頑張って欲しいものです」

「天王寺君や武者野君も残念でしたけど、来期は楽しみですね」

「ええ、素晴らしい人材が揃ってますよ」

「将棋界の未来も明るいですね」

「そうだと良いですね」


雨音の聞こえる控え室で奨励会幹事の天野茜八段とベテラン記者が今期の三段リーグを振り返っている。


二人が話していると控え室に別の幹事先生が入って来た。


「天野先生、桐島君の対局が終わりました」

「早いですね。それで対局の結果は?」











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