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あべこべ世界で~プロ棋士として生きる~  作者: 田中悠平
第2章 あべこべ世界で~奨励会と高校生活~
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苦しいけど、誰も助けてはくれない。

苦しい、苦しい。

誰か助けて。


苦しい?何で苦しい?


知っている。

頑張っているからだ、逃げ出さないからだ。

誰も助けてはくれない。

自分で何とかするしか無い。


子供の頃の水泳の授業に似ている。

あと何メートル?ゴールは見えている。

間違いなく進んでいる。このままなら必ずゴール出来る。

ゴールする前に苦しさに足をつかなければ。


もう勝ちが届く所まで来ている。

間違いなく優勢だ。


前の世界では負けてプロ棋士に慣れなかったが、

この世界ではプロ棋士になる。


いや、前の世界とかこの世界とか関係ない。

もうそろそろ自分を信じて良い頃だ。

しっかりと自分と向き合えた。

神の気まぐれかもしれない、それでもここまで来れたのは自分の頑張りなのは間違いない。


実はあの日、トラックに轢かれて、病院のベッドで長い夢を見ていた。なんて夢オチだけは勘弁してくれよ。


「自分は強い」


いつもより速く脈打つ心臓。

それに反比例する思考。

もう完全に局面を支配した。


美しいぐらい静かな手つきで指される89手目。


対局相手はその手を見て静かに言葉を発する。


「参りました」

「ありがとうございました」


桐島あゆむは静かに天井を見る。


「あと1つ」


普段なら対局後検討するのだが気を使ってくれたのか、そっと席を外す。


他の対局はどうなっているだろう?


星野キララ三段と金城やまと三段の対局は?

秋田一二美三段と天王寺ひとみ三段は?



ほんの少しだがざわめきが起きる。

どちらかの対局が終わった様だ。







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