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あべこべ世界で~プロ棋士として生きる~  作者: 田中悠平
第2章 あべこべ世界で~奨励会と高校生活~
35/61

女は度胸

本格的に夏に突入した8月の某日の将棋会館。


~三段リーグ13回戦~


将棋盤の前で攻める手と守りの手に迷う一人の棋士、金城やまと。


難しい選択だが選んだ手は


「女は度胸よ」


前節、いやここ数年踏み込め無かった一歩を踏み込む。

数手が進み89手目


「ありません」

「ありがとうございました」


連敗を2で止めてホッとした金城は隣で指す棋士を見る。

棋士()は自軍を見ている。

どうやら攻め込まれている様だ。

守りを壊されもう玉が危険に晒されている。


その隣で対局していた小学生(星野キララ)は既に対局を終えて桐島歩()の対局を食い入る様に見ている。


あたしの感情は複雑だ。

彼には勝って欲しい、どうしてだか彼としか分かち合えない将棋の感情がある。

しかし昇段を争う直接のライバルだ。負けて欲しいと刹那に思う。


三段リーグ13回戦終了時


秋田一二美  12勝1敗

天王寺ひとみ 12勝1敗

星野キララ 12勝1敗

桐島 歩 12勝1敗

金城やまと 11勝2敗

ミアワトソン 11勝2敗

武者野ひかる 10勝3敗


13回戦と14回戦の間のお昼休憩控え室


「王子、美味しそうな物食べているね」

「妹の手作りのお菓子なんですよ。金城さんもどうですか?」

「一つ貰うよ。……うん美味しいね」

「将来パティシエになりたいみたいで」

「へぇ~、良い妹を持ったね」

「普段は元気過ぎて困ってますけどね」


元気過ぎるのはもう一人居ているが……



「金城さん連敗脱出おめでとうございます」

「ありがとう、王子も粘り勝ちだったね」

「お兄様の受け最高でした」

「カッチカチだったね」

「あっ、一二美君もこんなに堂々とセクハラするんだ」

「ちっ、違います!」

「一二美さん……」

「本当に違うよ。もう対局始まるね、先に行くね」


顔を真っ赤にしながら対局室に向かう。


「しっしっし、これで一敗だな」

「ですね」

「二人とも悪い顔です。でもそんな表情のお兄様も素敵です」



昼休憩が終わり三段リーグ14回戦が始まる。


桐島歩 対 天王寺ひとみ

秋田一二美 対 武者野ひかる

星野キララ 対 ミアワトソン

金城やまと 対 愛媛五月
















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