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あべこべ世界で~プロ棋士として生きる~  作者: 田中悠平
第2章 あべこべ世界で~奨励会と高校生活~
34/61

お蕎麦屋

「嘘!金城さん午後の対局も負けたの!」

「ぼろ負けだったらしいよ」

「相手誰?」

「武者野さん」


桐島歩にまさかの時間切れ負けを喫した金城やまと三段は完全に自分を失ってしまっていた。


連敗を喫した金城以外の上位人は順当に勝ち星を重ねる。



秋田一二美  11勝1敗

天王寺ひとみ 11勝1敗

ミアワトソン 11勝1敗

星野キララ 11勝1敗

桐島 歩   11勝1敗

武者野ひかる  10勝2敗

金城 やまと 10勝2敗


「残り6戦で失速は辛いよね。金城さんっていつも昇段争いしてるけど終盤で失速しちゃってるよね」

「どれだけ豆腐メンタルなのよ」


エレベーターの前で10代の棋士達が馬鹿にしながら話している。


「ごめんね、ちょっと通してくれる」

「金城さん、すみません」


金城は何も言わずにエレベーターに乗り込む。


「聞こえちゃったかな?」

「大丈夫でしょ。それに聞こえてても、もうすぐ居なくなるんだし」

「確かに」


若い棋士が笑っている。


「ちょっと退いてくれる?」

「あゆむ様、いや桐島君おめでとう。良かったらさ今から私達と研究会しない?」

「しない」


あゆむは怒った様にエレベーターに乗り込む。


金城やまとを追いかける。聞きたい事がある、いや伝えたい事がある。


エレベーターが一階に着き扉が開くと丁度金城さんが将棋会館から出ていく所だ。


「金城さん!」


ボブカットでパンツスタイルのスーツを着た、格好いい女性が立ち止まる。


「桐島君?」


金城も呼び止められて少し驚いている様だ。


二人は棋士御用達の蕎麦屋『うみがそば』

二人で蕎麦を啜っている。


「あたし人生で初めてデートしちゃったよ』

「光栄です」


先程まで真剣勝負していた二人とは思えないぐらいの気の抜けた会話だ。


「傷付いたおばさんを励ましに来てくれたの?流石王子様ね」

「金城さんを励ます程、余裕無いですよ。どれくらいのダメージか敵情視察ですよ」

「なかなかエグい事するわね」


天ぷらを食べながら話は続く。

それにしても蕎麦屋の天ぷらは何であんなに美味しいのだろう。


「王子様、それで満足の情報は得られたかしら?」

「まぁまぁですかね」

「何よそれ」


外もそろそろ暗くなってきた。


「それじゃね。気をつけてね。ちゃんと男性専用車両に乗るのよ。」

「わかってますよ」

「桐島君、ありがとね」

「金城さん、俺……」

「桐島君、将棋って面白いよね。今日負けたあたしが言うんだから間違い無いよ」


そう言う金城さんは笑顔だった。

金城さんは大丈夫そうだ。プロになって欲しい、心から思う。

しかし俺も譲れない。

プロになれない辛さはもう充分だ。











サッカー小説強いですね。

それよりこの小説のあべこべ要素何処に行った……笑

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