誕生日
7月に自宅にて日付が変わり、その瞬間。
「お兄ちゃんお誕生日おめでとう」
「あっくんおめでとう」
「二人ともありがとう」
桐島歩が16歳の誕生日を迎えた。
この世界に来て10ヶ月程経ちようやく慣れてきた模様。
「お兄ちゃん、このケーキ私が作ったの!食べてみて」
「これ手作りなんだ。綺麗だから売り物と思ったよ」
一つ年下の妹が手作りケーキを作ってくれた様だ。
「うん。美味しい」
「本当に!」
「本当だよ」
「実はね、私将来パティシエになろうと思うの」
「そうなんだ。とても良い夢じゃない」
「私ね、お兄ちゃんが将棋始めて少し私も将棋勉強したの。そうしたらお菓子タイムとかあるじゃない?」
「そうだね。脳は糖分を必要とするからね」
「だから、少しでもお兄ちゃんの役に立ちたくって始めたの」
もじもじしながら上目遣いで見てくる。
「ありがとう。でも自分のやりたい事やった方がいいよ」
「勿論、最初はお兄ちゃんの為だったけど、今では自分の夢だもん」
「そっか。良かったね。応援するよ」
「ありがとう。で、お母さんさっきから何ニヤニヤしているの?」
「あっくんの兄妹愛に見とれていたのよ」
「私は!?」
「ん?もう遅いから寝ようっと」
「年寄りは早くも寝なさい」
「誰が年寄りよ!」
~学校にて~
「はい、皆さん注目!今日は桐島歩君の誕生日です。で・す・が
プレゼントを渡すのは禁止とします」
「「ええ~!!!」」
「気持ちは死ぬほどわかります。ワタシダッテ」
「そんな神は死んだ……」
「折角アルマーヌのスーツ勝ったのに……」
「ロラックスの時計買ったのに……」
「マンション買ったのに……」
所処怖い声が聞こえて来る……
~昼休み~
「桐島君……今日誕生日だよね?」
「はい。そうです」
「これなんだけど……良かったら貰ってくれる?」
「これって……時計?ふふふ」
「ごめん!変だったよね。好みじゃないよね」
「いえ、めぐみさん。これどうぞ」
そう言ってあゆむは小さい綺麗に包装された包みを渡す。
「これって?」
「お誕生日おめでとうございます。めぐみさんも今日誕生日ですよね?」
「知ってたの!?」
「勿論です」
「ありがとう。開けても良い?」
めぐみが包みを開けると。
「これって……」
「被っちゃいました」
あゆむからのプレゼントも時計だった。
「ありがとう。一生大事にするね」
「安物なので一生は無理かも……」
ちなみに二人は将棋部として、空いている教室を部室として使って居るので幸い死人は出なかった様だ。




