表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あべこべ世界で~プロ棋士として生きる~  作者: 田中悠平
第2章 あべこべ世界で~奨励会と高校生活~
29/61

アイドル棋士

6月に入り三段リーグ戦も中盤戦に差し掛かった頃。

第7、8回戦が行われる将棋会館で聞こえて来る声。


「今回は上位人が勝ち星落とさないよね」

「確かに、前評判高かった人は勿論だけど意外と上位に食い込んでいる人も多いよね」

「今回の対局はその筆頭の対局だよね」

王子(おとこ)VSアイドル(男役)だよね」

「どっちが勝つかな?」



~第7回戦~


桐島歩は対局相手を見て少し戸惑う。

「男?」

この世界で見たどの人間よりもイケメンだ。

バシッと男物のスーツを着こなし、髪の毛もオールバックにセットされている。


「やぁ、君が話題の男性棋士だね。対局を心待ちしていたよ。今日は是非良い対局にしようじゃないか」


髪の毛をかきあげながら優雅に挨拶をしてくる。実際の男でこんなの居ないぞ……マンガのキャラか!


「はぁ」


困った様に返事をすると


「おっと、僕とした事が挨拶が遅れたね。僕は武者野ひかる。全国の女性たちに夢を与える使命を背負った者だよ」


(ヤバい人だ……)


対局が始まる


「さあ、ショータイムの始まりさ」


駒を指し方がいちいち派手だ。


戦法は、『女殺しドッカン向かい飛車』超マイナーな変態戦法だ。


(なんて戦法使うんだ……実戦で対局するの初めてだ……というか全く覚えてないぞ……どうする)


(ふっふっふ、貴方が定跡には強いけど自己流個性派を苦手にしてのは知っているのよ)


桐島歩が対局相手を見るとニヤニヤしている。


(俺の事対して知らない様な事言ってしっかりと対策してるじゃん。アイドルじゃなくて役者だろ!)


熱戦が続き106手目


「ありません」

「ありがとうございます」


「いやー、力戦も強いじゃないか」

「どうも、意外過ぎる戦法でした」

「勝てれば『男殺し』って名前付いたかもね」

「オリジナルの戦法でしたか?」

「改善の余地ありだったね」


オリジナルだった様だ。

今後も強敵になりそうだ。


午後の対局も勝利し、通算7勝1敗となった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ