三段リーグは鬼の住み処
「桐島君好きです付き合って下さい」
「ごめんなさい」
入学してから1ヶ月既に100人以上の女が撃沈がしてしまっている。
「相変わらずモテるね」
「天王寺さん!?」
「高校生活は慣れた?」
「お陰様で」
「それで将棋の方は?」
「まぁ、やることはやりましたので後はやるだけです」
「思ってたより気負いは無さそうね」
「まぁ」
「でも気をつけなさいよ。なんてったて三段リーグはなんて呼ばれてるか知ってる?」
「【鬼の住み処】ですよね」
「そうよ、みんな鬼になるのよ」
「知ってます」
「ん?」
「いえ、こっちの話です」
三段リーグを抜けるのはどれだけ大変なのかは良く知っている。
三段リーグを抜けるというのは四段になること、つまりプロ棋士になるということだ。
三段リーグとは約半年間で18局対局し、その成績上位2名が四段になれるのだ。
(三段リーグ……この世界に来る直前の成績は7勝11敗だったな四段に上がるボーダーラインは恐らく12~13勝だろうな)
「今週末が初戦でしょ?頑張ってね」
「ありがとうございます。それじゃ」
「あ、あの桐島君」
「はい?」
「これ」
「?」
天王寺めぐみがポケットから何かを取り出す。
「これ、御守りなんだけど結構効くの……よかったらだけど」
「ありがとうございます。じゃあこれどうぞ」
「?」
「御守りです。天王寺さんも週末MHK杯ですよね?頑張って下さい」
「ありがとう」
~天王寺宅~
「ヨッシャー!」
天王寺めぐみが御守りを手に雄叫びを上げる。
「頑張った私!」
自分を誉めている。
「あゆむ君に御守りを渡せただけじゃなく、御守りを貰えるなんて、ああもう誰にも負ける気がしないわ名人でも竜玉でもかかって来なさい」
無敵モード突入してしまっている、恋の力は絶大の様だ。




