意外といじられキャラ?
前夜祭の翌日。時刻は午前8:45分、緊張感が漂うホテルの一室で将棋盤を挟み下座に座る桐島銀子竜玉、着物姿でいつもとは違う空気を醸し出している。
時刻は午前8:47分、天王寺美佐玉座が入室する、こちらも着物姿だ。
対局は9:00からだ。
「てんちゃんよ、昨日は良く眠れたかの~?」
「どうして、今さらそんな事を聞くの?もう若手のヒヨッコと違ってタイトル戦も慣れたものよ」
「いやいや、私も今さらてんちゃんが緊張しているなんて思ってないさ~、ただ手塩をかけて育ててきた可愛い孫っ子が、男に負けてショックで塞ぎ込んでいると心配したのさー」
「あの子は強いから大丈夫よ……」
「なら、良かったさー」
「銀ちゃんもしかして、この時の為に孫達を対局させたのかい?」
「何の事かわからんね、ひっひっひ」
「こんにゃろ、『銀色の鬼』め」
「ひっひっひ。今日は『天からの一撃』を喰らわんさ~」
『銀色の鬼、桐島銀子』『天からの一撃 天王寺美佐』
二人を表す二つ名だ。
「では時間になりましたので、桐島竜王の先手でお願いします」
立会人の一声で対局が始まる。
初手を指すとパシパシと写真が撮られる。
そこで記者達は退室する。ここからが本当の対局だ。
対局前に心理戦を仕掛けた桐島竜玉。
勝負師だ汚くは無い。将棋は心理の状態がかなり影響する。
過去の対局成績はほぼ互角の二人、勝負師のプライドがぶつかる。
~検討室~
別室で数人のプロ棋士と記者が対局を見ながら検討している。ネットで配信する時に記者がプロに今どちらが優勢など教えて貰い配信したりしているのだ。
「それにしても昨日の前夜祭凄かったね」
「確かにいきなりのイケメン君の登場だもんね」
「いやー、それにしても早指しとはいえ、めぐみちゃんが負けちゃうんだもん、わざとじゃないよね」
「勿論です。将棋の神様に誓ってわざとじゃ無いです……」
「強かったんだ?」
「はい、それに強さだけじゃなくなんて言うか……何か強い意思を感じたと言うか何と言うか……」
「何よそれ」
「間違いなく、また対戦することになると思います」
「初の男のプロってこと?」
「はい」
先輩棋士に昨日の対局の事を聞かれている、勿論先輩達も本気でめぐみがわざと負けたなんて思っていない。
すると顔見知りの記者が、
「天王寺めぐみ四段、桐島歩君にベタぼれっと」
「ちょっと井上さん!何書いてるんですか!」
「送~信」
「させるかーー!!!」
「なんてね」
天王寺めぐみちゃんが空を飛ぶが……空振る
「天王寺さんって意外といじられキャラなんだね」
「私も知らなかった」
「全然違う……し……」
桐島歩と秋田一二美も丁度検討室にやって来た所だった。




