タイトル戦前夜祭って聞いてない……
車に乗せられホテルに到着する。
ホテルの入り口には『第66期玉座戦』と大きな看板が
「第66期玉座戦?天王寺玉座 対 挑戦者桐島竜玉……ええ~!!」
何と、ばあちゃんこと、桐島銀子竜玉は明日からタイトル戦を戦う様だ。今日は前夜祭だろう。
「いや……ばあちゃ……桐島先生、聞いてないのですが……」
「そうかい、忘れておったの~」
そうしているとカメラを持った関係がやって来た。
「桐島先生お疲れ様です。打ち合わせしたいので宜しくお願いしま……えっ?先生!もしかしてそちら男性の方ですか。ですよね!」
歩を見つけた記者が詰め寄る。
「そうじゃよ、私の孫で弟子のあっくんじゃ」
「初めまして、桐島歩です。宜しくお願いします」
一拍置いて……
「「「可愛い~!!!」」
もはや誰の声かもわからない、いや全て人だった。
関係者に案内されて控え室に通される。
「イッシッシ思った通りの反応じゃったの」
「先生イタズラ好きですもんね。絶対にこうなるってわかるじゃないですか?」
「桐島先生……」
トントントン
扉がノックされて誰かが訪れたようだ。
「銀ちゃーん、今日は宜しくね」
ばあちゃんと年齢が同じぐらい女の人が入って来た。その後ろに15.16歳ぐらいの女の子も居る。
「はっ!銀ちゃん、その男の子誰よ!もしかして誘拐したの?」
なかなかパワフルな人だ。
「相変わらず、てんちゃんは変わらないさねー」
てんちゃん?仲が良さそうな事は伝わる。
「それで、それで誰なの?」
「孫のあっくんだわさ」
「へぇー、この子があの自慢しまくっていたあっくんか~」
「初めまして、桐島歩です」
「可愛い~」
既にテンプレになっている。
「へぇ~、で、何であっきゅんがここに居るの?自慢?自慢?」
「あっくんはこの度私の弟子になりました」
「ええー!!!」
後ろに居た女の子が声を上げる。
「ほうほう、噂の革命児、天王寺めぐみ四段だね~」
「大きな声を出して失礼しました。お初にお目にかかります、天王寺めぐみです。祖母の天王寺美佐がいつもお世話になってます」
「ほえー、しっかりした子だね~」
「そうでしょ。ちょっと堅すぎて男受けが心配なのよ」
「おばあ……天王寺先生!」
この子もおばあちゃんの弟子をやっている様だ。
(天王寺……?対局相手じゃないか)




