日傘(200文字小説)
猛暑日を想像して読んで頂けると幸いです。
「暑い……」
喫茶店から出た私は思わず溜め息を吐いた。全くこの強い日差しは一体何だろう?
「やれやれ……あっ! 日傘が無い!」
傘立てには私の物ではない傘が1つ。どうやら誰かが間違って持って行ってしまったらしい。
「あの……もしかして貴方の傘でしたか?」
「はい?」
声の方角を見ると、私の日傘を差している着物の女性が。
「プレゼントします!」
「えっ? ちょっと御待ちに……」
――済みません! 綺麗な女性には弱いんです!