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幻獣達に流されるままに迎えた3月14日の夜。
ハレの外れの鬱蒼とした「」森で口論しているのは普段から仲がいいとは言えない空を翔る黒馬と真っ白なユニコーン。
「処女厨にシナを載せられるわけがないでしょう?
大人しくどきなさいなユニコーン」
「黙りなよこの年増。空を駆けている途中で疲れて落ちちゃうんじゃないの?」
「若造、幻獣は年を経るごとに力や能力が上がるのよ
そんなことも知らないようじゃまだまだね」
サラサラとした尻尾を揺らしながら空を翔る黒馬がシナの前にくるとシナは軽々と空を翔る黒馬に跨った。
「ユニコーンは荷物を運ぶ係だってー」
「頑張れユニコーン!」
そうピクシー達ははやし立てるとシナの周りをくるくると飛び回り紺の生地に銀の刺繍糸で美しく飾られたワンピースにキラキラとした粉を振りまいていく。
「この粉は?」
「シナ、それはねー幸運を呼び寄せる粉だよ!」
「ありがとう!ピクシー
乗せてくれてありがとう空を翔る黒馬に、ユニコーン」
「ええ、どういたしまして」
「こんな荷物お安い御用さ!」
「じゃあ俺たちは先にボルマギアスに行って待っている」
「いつもよりもオシャレだものね。キャットシー」
「それを言うならドラゴンだって鱗がピカピカじゃないか」
「わふわふ!」
そう言いながら現れたのは霧の犬。きりになれるからこの名前なんだそうだ。
誰かがポツリとそろそろ月の時間になる。と言った。
その瞬間月はぼんやりと白く光っていたのからハッキリとした銀に変わった。
「行くわよ?」
そう空を翔る黒馬が言うと黒馬は軽く走り出した。
後ろをちらりと振り向くと私が知っている幻獣たちが揃って手を振っている。ピクシーに精霊、 ドワーフに九尾の狐、スライムに幽霊など様々だ。
ふわりと浮き上がったかと思うと空を翔る黒馬は名前の通り空を走っていた。
それにゆったりと付いてくるのはユニコーン。
「ぎゅっと首を抱きしめてね?」
そう言うや否や私達は月にむかって一直線に進み出した。キラキラと輝く星を感じながらしがみついていると月はだいぶ大きくなっていた。
スピードが早くなったかと思うと月にポカリと空いている穴に入った。
なぜこのような穴が空いていることに気がつかなかったのかとても不思議。そう思いながら下を見るとそこは大きな建物が立ち並びピカピカと光っている。
こんな所、ハレには無かった。ポツリと呟くとユニコーンが
「ここはボルマギアスがある街。水球や、他の世界からくる人達を歓迎している街だよ!とっても楽しいんだ!」
「さぁ、ボルマギアスに行きましょうか」
辿り着いたボルマギアスは一つの街のようだった。その校門の前にたどり着くと
「ピクシーがいる!」
「何言ってるのよ!シナ
先に行ってるっていったじゃない!」
ピクシーはぷくぅと頬をふくらませるとちょっと待っててね!と言って飛んでいってしまった。
2、3分だろうか少し待っていると空間がチャックを開けるような音がしたかと思うと開いた。
「これでええやろ?ピクシーはん」
そう言いながら最初に出てきたのはドワーフ。それに続いて出てきたのは歌うマンドラゴラ。そのあとに来たのはテディベア。
ぞろぞろと出てくるがドラゴンが一旦ストップをかけた。
「九尾の狐と、私で受付に行くわ。それ以外の幻獣はまたシナの部屋にいってから出てきたほうがいいんじゃないかしら」
ぶぅぶぅと文句の声は出たが最終的には皆納得して空間のチャックを開けるとまた中に入っていった。
ドラゴンと九尾の狐は人の姿になると歩きだした。
ドラゴンはローブ姿の眦が程よくつり上がった美青年に、九尾の狐は着物姿の絶世の美女になった。
それに急いでついていきながら振り返ると空を翔る黒馬とユニコーンもチャックを開けて異空間に吸い込まれていくのが見えた。




