黄金株
手野産業は、その歴史から、黄金株と呼ばれる極めて特殊な株式を発行している。
手野財閥の頃から、その宗家である砂賀家と、財閥当主である手野家は特別な存在であった。
彼らを中心として、手野財閥はまとまっていた。
財閥解体後も、海外の協力家系で、春雷会会員でもあるグッディ家とテック・カバナー家の2家系とともに手野グループを作り上げた。
これらの中心となった手野家、砂賀家にはグループ全体を統括し、方針を決定するということが求められていた。
さらに言えば、のちに設立される事業持株会社の手野産業についても、必要なことを決定しなければならない立場にあった。
このことから、手のグループにおいては、黄金株それぞれの当主に0.5株、合わせて1株発行している。
この黄金株により、すべての議決を覆せる権限を、手野家、砂賀家は持つこととなった。
ただし制限もある。
1株になって初めて効力を生じるため、0.5株ずつでは意味がないのだ。
これは片方だけで判断せずに、互いが合意しなければ発動することができないことを意味している。
手野財閥の頃からの掟である合議を守るためである。
そして、今の時点でこの権限が発動されたことはない。