挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

ブックマークする場合はログインしてください。

永遠を誓う

作者:桜宮 雨

 多くの人が、一生に一度きり。愛を誓いあうセレモニー、結婚式。

 そんな晴れの式を終えた深夜、今日から妻となる女性が、ふと呟いた。

 「永遠の愛なんて、ニセモノだよね。」

 俺は咄嗟に意味がわからなかった。ほんの数時間前、白いチャペルの神父の前で、その「永遠の愛」を誓った唇から零れ出た言葉だとは思えなかったから。

 でも、その唇は更に言葉を紡ぐ。

 「季節も、植物も、空も。移り変わるからこそ美しいのに。人は全てが朽ち果てることを知っている。だからこそ、その過程に美を見出すのでしょう?」

 果たして、独り言なのか問いかけなのかわからない。でも、どちらにせよ俺は何も言えなかった。

 「それなのに、どうして人間の感情だけが、変わらないことこそ素晴らしい、みたいに言われるのかな?」

 そこまでを紡いだ唇は動きを止め、代わりに射るような瞳が俺を見つめる。

 俺は、目の前の女性が、誰だかわからなくなった気がした。確かに、俺の愛している女性の形をしているのだが、紡ぎ出される言葉が一切理解出来ない。
昨日まで、こんなことはなかったのに。

 真っすぐな瞳が答えを期待しているのに気が付いて、俺は、何とか絞るように音を紡ぎ出す。

 「じゃあ、お前は俺を愛していないのか?」

 その自分の声を聞きながら、何となく上っ面の言葉だな、と感じて虚しくなる。多分、彼女が期待しているのはこんな言葉ではないだろう。

 しかし、彼女は笑った。

 昨日までの彼女と同じ、優しく、満ち足りた笑みで。しかし同時に、どこか蠱惑的な匂いさえ感じさせる表情だった。

 「愛してるよ。」

 空気を振動させるだけの言の葉が、思考を奪っていく。

 「今この瞬間、私の全存在を以って、この世で一番あなたを愛している。」

 その言葉が、今まで聞いた彼女の言葉のどれよりも「真実」であることを直感して、少しかなしくなった。


 永遠を誓う
 (上っ面の言葉を紡いでいるのはどちら?)

評価や感想は作者の原動力となります。
読了後の評価にご協力をお願いします。 ⇒評価システムについて

文法・文章評価


物語(ストーリー)評価
※評価するにはログインしてください。
感想を書く場合はログインしてください。
お薦めレビューを書く場合はログインしてください。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ