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閑話〜Meaningless1〜

「じゃぁ、今回のことについてまとめるよ!」


あれからリィウを寝床におろしながら、セアバルトが麻酔を打ち完全に起きないようにして4人だけの話し合いが始まった

内容は、今回の計画(シナリオ)で重要となる魔王についてだ

魔王とは絶対的に世界を脅かす存在である

同時にそのために相応しいほどの力をつけなければならないのだが、この計画(シナリオ)にはひとつ大きな欠点がある

自分達も脅かすま存在になってしまう可能性があるということだ

この計画(シナリオ)は過去に何度か実行されたが2、3回ぐらいしか成功してない


「今回でやっと魔王になる存在が手に入ったな」


「長かった、めっちゃ長かったよ…」


「えぇ、そうですね。本当は、元々いる魔王をこの計画(シナリオ)に利用するつもりでしたが…」


「あー、そんなこともあったね。魔王を倒す為に生まれてきた人達には申し訳ないことをしたけど」


彼らは初めてこの計画(シナリオ)をやったがかなり難しく、元々いた魔王―正しくは悪魔を従えている上級悪魔―をスカウトして本格的な魔王に仕立て上げようと交渉しようとした

もちろん失礼のないように事前にアポを取ったうえで手土産であるお菓子を持って行ったのだが交渉は失敗

プライドが高い魔王だったので少々馬鹿にされたが、彼らもダメ元での交渉だった為に仕方がないと潔く諦め魔王城に出ようとした

だが、魔王は彼らを外に出させない

むしろ逆にスカウトされたが丁寧に断った


ここで魔王が大人しく引き下がり彼らに何もせず外に出せば、きっとなにもなかっただろう


しかし魔王は武力行使で無理矢理引き入れようとしたのである

魔王は、半分彼らの存在が通常とは違うことはわかっていた

実力はともかく、未知に包まれた技術や情報などを知っているはずだと考えたための行動である

その技術などを使えば誰にでも負けない武器が出来上がるかもしれない、大量生産が可能になればもっも美味しいことだ

それに相手は、非弱な生き物だと考えた上で行動


しかし、魔王は彼らの実力を見間違えていた


彼らも相手が武力行使してきたので正当防衛として反撃したり、貴重なものや金目のものや役立つ物、素材、武器などを頂いた

特に城の床に使われている【星空海の大理石】はまるで生きているかのようにゆっくりと模様が変わり、触れる水紋が浮かぶ仕組みなので、今後の素材や魔王城建築の時に役立ちそうだ

他にも、【獄炎悪魔の黒心臓】や【闇水晶の王冠】や隷属化させる道具などが手に入った


「今思えば、正当防衛どころか過剰攻撃していた気が…」


「そうですかね?ホンジュア」


「まさにそうだよ。そのお蔭で、魔王がこの世から居なくなってしまったじゃないか」


「うんうん半年前の出来事とはいえ懐かしいね。…じゃなくて、まとめ!話ずれちゃってる!!」


ギアーナの一声によって、話の軸は戻される

今回は、あくまでもリィウについて情報を出し合いまとめるのだ


「んじゃ、俺から報告。知っていることかもしれないが、リィウは生命結晶(レベーン・コア)を持っていた」


生命結晶(レベーン・コア)、通称コアと呼ばれるもの

本来ならば、ギアーナ達のような存在の体内にあるものである

コアは、自身の肉体の状態異常や怪我などを"修復"という形で出来るだけ早く傷口を塞いだり、状態異常軽減をしたりしてくれる素晴らしい代物

たとえ、致命傷を負っても脳みそがぶちまかれるような怪我もしても直してしまう

また、そのコアを持つ者は多様多種な能力を使い、自身の身体の作りを変えたりなども色んな機能つきだ

例え、コア自体は壊そうとしても壊れることなんてほぼ不可能だ

ほぼ完全に近い不死身が手に入る代物だが、これには少し弱点がある

ただ"死なない"だけだということだ

コアは、体内にあるからこそ肉体を回復させたりするが、もしもそのコアが体外に出たら?それとも回復が追いつかないほどの大怪我を受けたらどうなるのか?

答えは簡単、肉体が壊れて使えなくなるのだ

だが元の肉体が使えなくなっても一定の量以上の新鮮な血肉の塊に置けば、すぐ元の肉体が作られる

もちろん肉体が壊れた衝撃で記憶がなくなることも少なく、リハビリなどの必要性もない

しかし言い方を変えれば、コアのままの状態では新鮮な血肉の塊に置かない限り復活することなんてできず、仮死状態(シャットダウン)になってしまうのだ


「やっぱり、それが一番の問題だね。正直、コア持ちの存在には関わりたくなかったけど…仕方ないか」


「もしも、彼がこちらに反する場合の処分方法を考えなければなりませんね」


本来ならばコアというものは一部例外を除いて、この世界には存在しないものである

逆に存在するとしたら、生命結晶(レベーン・コア)よりも核という形で非常に格下で劣化しており大量生産しやすいコアがあるぐらいだ

同時にスライムや人形(ゴーレム)などがこの核を持つ

逆に例外としてコアを持つものは一部の上位種や生態系的に頂点に君臨している存在だ

例えば、一匹だけで小さな国一つを滅ぼしたり、神獣も呼ばれるのに相応しい実力や姿を持つものなど超越した存在が大半を占める

同時にこの世界の【カミサマ】という存在もコアを体内に持つ


「えーと、ホンジュアのゲーム的な知識が正しければボス級の存在がコアを持っているんでしょ?」


「ゲーム的知識って…、あくまでも世界がそれっぽいからそうなんじゃないかな?って思っているだけであって、信用するようなことじゃないんだけど…」


ちなみに、なぜ彼らがリィウの体内にコアがある事を知っているのかというと、セアバルトがリィウの身体を少しだけ解剖したからである

そもそも、魔王になると不老不死の加護が与えられる事を実行するために強めの麻酔を使いながら切り開いたのだ

コアそのものは核に比べて生産が遅いものの人工的に作り出すこと可能

そして、生きている存在に埋め込めれば不老不死となり作動する仕組み

しかしリィウはその必要性がなく、既にコアが体内に埋め込まれていた

取り出して、観察するとプレシャスオパールみたいにキラキラとした破片が散りばめられていたのだ


「ちなみに、そのキラキラとした奴をよく見たら核の破片だったな」


「ということは、下位の生き物の核の破片が集まって偶然にもコアを作り出したみたいな感じですね」


「そういえば、偶然で思い出したんだけど、僕とセアバルトがそれぞれの魔王候補が同じだったんだよ」


「確か、ギアーナは事前に調べて上で奴隷という形で手に入れようとしていて、セアバルトは目玉商品の奴隷の噂を聞きつけて回収したんだったかな?」


「そうそう、そんな感じ。魔王候補が無断売買された時はちょっと焦ったけどセアバルトが手に入れたから、まぁいいかな?って思った矢先のことだったからね」


これは本当に偶然のこと

まさか、それぞれの狙い先が同じだとは思わなかったのだ 

ホンジュアは、先程の話を聞いて少しだけ考え込んだあと口を開いた


「あの、リィウの住んでいた場所調べたんだけどさ」


「どうだった?」


「場所がね、秘境というより…神聖な場所とか神隠しされる場所とかで入ることが殆どない場所なんだ」

 

「うーん、コア持ちだから納得としか言えない場所だ」


「でもさ、秘境であまりよろしくない噂が沢山ある場所に人はわざわざ入るかい?」


「…あ」


この時、ホンジュアが言いたいことを理解した

リィウが住んでいた場所は秘境であるがために人魚の存在が出てくるなんておかしいということだ

例え、曰くつきの館などが身近にあったら度胸試しとして入るかもしれないが、道などが整備されていない秘境にわざわざ度胸試しのような気軽さで向かう者なんていない

盗賊のような存在なら身を隠すためにいるのかもしれないが、自身の居場所を晒すような情報なんて流しはしない


「いや、でもリィウが言っていた"先生"なら可能なのでは…?」


「そういえばそうだった!すっかり忘れていたよ!」


リィウの言う"先生"ならば可能なのかもしれない

人間だという確証はないものの、人の文化や人の言葉を話すような者ならおかしくない

少なくとも先生という存在は人の文化を知っているとしたら、割と交流が広いのかもしれない


「これ以上話し込むとややこしくなりそうだから、話題を変えるけど【黒の病】について何かわかった?」


「こっちは収穫なしですね」


「残念ながらこちらも」


「俺は、ヒントになりそうな情報なら入手した」


「え?なになに?」


「こっちは、これから《クライン》という街に向かい【禁書・記録】を入手する。もしかしたらヒントでもあるかもしれない」


「了解、まかせたよ!んじゃ、これでまとめは終わり!」


話し合いが終わり、空を見れば暗くなってしまっている

それぞれは、寝床の準備や明日の計画を確認した

ギアーナは、一人で馬車から離れて行く

暫くして、歩みを止めて空を見れば美しい星空が広がっている

闇と光がくっきりとわかれているみたいだ


「馬鹿だな、僕は。【黒の病】の真実を知っても何も解決しないのに、何も元に戻らないのに」


そんな言葉さえも誰にも聞こえることなんてなく、星空の下で寂しく響いた


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