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少し気になることがあるがいいか?〜ん?なんですか?〜

「とりあえず、こんな感じかな?」


「あ、ありがとうございます!」


「うんうん、だいぶ男らしくなったね!」


あらからリィウへの質問タイムが終わると雑談が始まり、いろんなことを話した

途中、イマイチよく分からない単語とかあったがスルーして続行

そして一段落がつき、狩りに行くことになった

この狩りは、リィウの力量を調べると同時にどの武器と相性がいいのか知るためである

だが、その前にリィウの髪の毛の長さが問題視された

とても綺麗な髪だが結構な量と長さがあり重そうに見える

同時に、これから狩りに行くので木々などに髪の毛が引っかかる可能性も高いのだ

本人も承諾し、ギアーナの手によって背中を全て覆い隠すほどあった髪は肩につくかつかないぐらいまでカットされた


「じゃぁ、俺とリィウは狩りをしながら罠を仕掛けた場所を回る」


「了解!じゃぁ僕達は、あの馬車を明るい雰囲気になるように魔改造しておくね」


「よし!早速、カーナビつけようか!」


後ろから不穏な単語やよく分からない単語が聞こえたが聞かなかったことにしてセアバルトと一緒に行った

出来るだけ気配を消しながら進んでいく

しばらく進むと、セアバルトが口を開いた


「少し気になることがあるがいいか?」


「ん?なんですか?」


「お前って、歩く…というか進むというか、移動することに慣れているのか?」


リィウが角が生えた雄の人魚だ

人間や獣のような足はなく、鱗に包まれた蛇のような魚のような下半身と沢山の鰭が対になっているだけである

これだけ見れば、泳ぐ事に特化しており地上で歩くことは困難を極めるだろう

しかし、奴隷オークションから逃げようとする時もそうだったが彼は地上で移動することに慣れているようだ

現在の彼も、セアバルトの歩行に合わせて滑るように進んでいる


「はい!住んでいた場所の近くに果物とかができる木があって、よくよく果物を取るために地上を歩くことがあったので」


「そうか、ちなみに進む時のコツってあるのか?」


「あー…、なんて言うか人魚共通なのかもしれないけど鱗が生えているところから粘液が出るので、それを使って滑って、鰭とかで速度を上げたり下げたり…ですかね?」


「とりあえず、粘液とやらを使って滑りながら鰭で微調整しているんだな」


「そんな感じです!あと、人魚のような下半身だけど木登りとかも出来ますよ!」


コイツ、人魚というより蛇に近いのでは?

セアバルトの心の中でひっそりと呟かれる

そんなことを知らないリィウは、セアバルトの後をついていく

途中、セアバルトから手のサインを教わりながら進むといきなり足を止めて周りを見渡した

そして、リィウの方を見ながら別の方向に指を指す

すると地面に伏せるかのようにリラックスしている兎がいた

しかし、普通の兎とは違い甲羅のような鱗のようなものついている

確か甲羅兎(コウラウサギ)というストレートな名前をもつモンスターだったことをリィウは思い出した

セアバルトはリィウが獲物の存在を見た事を確認し少し考えた後、声を出さず口をパクパクしながら身振り手振りでサインをする


ー武器なしで狩れ


どうやら、武器など必要ないと判断したらしい

甲羅兎は、命を落とすような爪や牙を持たず、ただ防御と逃げることに徹底した生き物

彼がどこまで気配を消して仕留められるのかが鍵となるのだ

そんな指示に一瞬驚き声が出そうになったが、セアバルトは口に人差し指を指を当てるサインを出した

静かにしろ、またはあまり音を出すなということなのだろう

少し冷静さを取り戻し、もう一度甲羅兎を確認

距離は大体5メートルか6メートルぐらい離れており、周りに沢山の木々や草などが生えている

どのよう狩るのか?少しだけイメージして、サインをだした


ー了解!


サインを出すとすぐさま甲羅兎の背後に近づく

出来るだけ気配を消して、音も出さないように、なるべく早く動く

その時、甲羅兎の耳が立つ

どうやら背後から何かが近づいて来ていることを察したようだ

しかし後ろ足でまだ立っていないだけマシだ

手首から、例の鋭い鰭が出現する

あとは小さな的を貫くだけ

ふと、兎は後ろ足で立とうとした

しかし背中から恐ろしく重い物が押し付けられる

正しくは捕食者の手によって押さえつけらてしまったのだ

すぐさまにもがき逃げようとするが捕食者はそんなことを許さない

鋭い一撃が甲羅兎の身体に走った


「おめでとう」


パチパチと拍手を送られてやっと我に帰る

先程まで生きていた甲羅兎は、鰭から流れた電流によって少々煙を上げながら横たわっていた

セアバルトは、ナイフを取り出すとリィウに解体のやり方を教えた

毛皮を脱がすかのように剥がし、甲羅兎から肉の塊へと変えていく

同時に血抜きという工程が必要らしいがセアバルトはそんなことをしなかった

いや、いつの間にかしていたのか捌いている途中から血がほとんど出ていなかったのだ

そんなリィウの疑問に応えるかのようにセアバルトは右手から赤いカードのようなものを取り出す


「俺は、血液とか色々と作り変えたり操ったりするのが得意だからな。こういう事も出来る」


その赤いカードが甲羅兎の血のから出来ていることにリィウはやっと気がついた

同時にバチバチと小さな電気を撒き散らしたかと思えば、赤いカードがあった手には紅のナイフが出現していた

よく見れば、そのナイフも赤いカードと同じ血のような色を持っている

思わず見とれているリィウにセアバルトは説明を続ける


「ちなみに、死体でも作り変えて使役することも可能だ」


「そんなことまで出来るんですか!?」


「まぁな。あと、新鮮で上質で素質のある死体をお前が手に入れた場合、いいものを作ってやる」


「いいもの…?あ、ゾンビとかスケルトンみたいな感じのものを?」


「答えは言わん。これから控える勝負の勝利報酬だからな」


「えー、そうですか…って僕って何か勝負するんですか!?」


一体、何と勝負させるつもりのか?

そう思うとリィウは、少しだけ頭がくらくらしそうになった

体に緊張が走り体が硬直したが、同時に勝利報酬というものも気になる

とりあえず、セアバルトによって作られた生き物が勝利報酬となることだけリィウは理解した


「安心しろ。すぐじゃないはずだ、たぶん」


「そんな曖昧な…」


無事に解体が終わり、罠を仕掛けた場所に向かう

その間、セアバルトから数種類の武器が渡された

剣、片手斧、杖などなど、素材からして初心者専用の武器だ

この中から、相性の良い武器を選び後に店で買うか迷宮(ダンジョン)でドロップしやすいところで攻略して手に入れるらしい

1つ目の罠には茨角鹿(エピスボワ)という茨の様に鋭い棘が生えた角を持つ鹿がかかっていた

一生懸命、逃げようとしているが後ろの左足が罠によって拘束されて逃げ出すことができない

自身の運命を知ったからだろうか?

目の前で剣を構える一匹の人魚に対して、今にも心臓をえぐり出してしまうような角を向けて威嚇している

そんな姿に少し驚きつつも人魚は武器をもう一度握りしめ、首の骨を叩き斬るかのように振り下ろした


もう一つの罠に向かう間も武器を色々と変えて狩りをしていくうちにセアバルトはリィウがどんな武器と相性がいいのか理解してきた

一番相性が良かった武器は、以外にも片手斧である

証拠に新緑蜘蛛(シンリョクグモ)という全身に蔦や葉っぱなどが生えている巨大蜘蛛の脚や胴体を切ったのだ

もちろん虫なので外骨格などを斬るのに苦戦する相手だが、彼の場合は、程よい重さを持つ斧を利用して脚や頭部に向かって全力で叩きつけて終了

ちなみに、剣も相性は悪くなかったがリィウの戦い方からして斧の方がピッタリだった

その次に相性が良かった武器はクロスボウだ

初めて触ったからだろうか?

少々扱いに苦戦したが使い方を理解すると矢に電気をまとわせて発射させたりして琥珀狼(アンバーウルフ)という黄色い瞳をもつ狼を仕留めたりした

他にも狼は、居たのだが一匹の狼を射抜いたあとはセアバルトによって全ての狼が一瞬で拘束されたのだ

とはいえ全部逃がすわけでもなく、一匹づつリィウと戦わせられる事になったが

ちなみに、二つ目の罠に掛かっていた獲物は狼達によって食べられていた


「とりあえず、今日はこれぐらいにするか」


「…」


最後の狼を倒し、解体を終え一声かけようと後ろを振り返った時、リィウは倒れていた

もちろん、襲われたとか出血量が多くて倒れたのではない

普通に疲れて寝ていたのだ

残りの狼の解体をしている間に休憩させていたので、その間に眠ってしまったのだろう

証拠に、あの角が力なしに垂れており寝返りの阻害にならないようになっている


「…こいつ、本当に"角が生えた人魚"なのか?」


垂れた角を触りながらボソリと呟いた

硬かった角は、毛糸玉のような柔らかな感触だ


「むしろ、こちら側の世界の生き物じゃないのか?お前の場合」


完全に深い眠りについてしまっているリィウは、セアバルトの問いに答えることはない

今まで狩って解体したものが一瞬で消えた

正しくは、収納箱(ボックス)の中に入れたのだ

そして、リィウを担いでキャンプ場まで歩いて行った


・・・


「セアバルト、おかえり」


「ただいま、ホンジュア。とりあえず実力だけ見た」


「わかった。あと奴隷馬車の改造終わったよ」


セアバルトの目に入ったのは、恐ろしく生まれ変わった馬車だ

重々しい雰囲気が異界の雰囲気になり、色合いも明るくなっているためにある意味人の視線が集まりそうな馬車になった

よくよくみれば、車輪が大型タイヤに変わっている

まるで凸凹した山道でも外れることがなく、むしろ飛び跳ねる勢いで進みそうだ


「…派手すぎじゃないか?」


「そうだよね?ギアーナが言うにはこれぐらいでいいらしいけど」


「あと、そのタイヤ…まさかホンジュアがつけたのか?」


「あ、それ私です」


「リロラ、お前か」


セアバルトは、思わず額に手を当てた

この馬車自体はきっと自動車みたいになっているだろう

それだけならまだいいが、大型タイヤや他の機能がついていたら正直困る

ホンジュアの運転は恐ろしく荒すぎるのだ

決して下手ではないのだが、敵に突っ込んだり、崖と崖との間を飛び越えたりと結構アクション的なやり方をしてくるのだ

そして、今回つけられた大口のタイヤは山道の凸凹どころか道中の飛び跳ねやすさが増した

ホンジュアに運転を任せたら派手なカーチェイスをすることが目に見えてしまう

そんなセアバルトの心配を察したのか、ギアーナは声をかけた


「大丈夫、そんな事もあろうかと空を飛ぶ機能とか水の上でも走れる機能もつけといたから」


「悪化しているじゃねーか!」



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