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感想文
国語の読書感想文の授業だった。
好きな小説を1冊選んで、四百文字以上の感想文を書き上げる課題が出された。
課題図書じゃない分、だいぶ楽だがクラス中からブーイングが出た。
まぁ、感想文なんてめんどくさいしね。
私も嫌いだ。
大ッキライだ。
マラソンの次ぐらいには嫌いだ。
でも、今回はそうも言ってられない。
せっかく、彼に話しかけるチャンスをもらったんだ。
なんとかモノにしないと…………
「ねぇねぇ」
遠慮がちに肩を叩いて声を掛けると、大きく肩を揺らして振り向いた。
反応大きすぎないか??
「あの、オススメの本ってある??」
真っ直ぐに目を見て聞いた。
口をモゴモゴと動かすが、声は一切聞こえなかった。
喋るのを諦めた彼は本棚に行き、1冊の本を持ってきてくれた。
「ありがと」
うん、声は聞けなかったけど満足