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偏食家  作者: 池田圭


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自宅豚丼

 人間は必ず腹が減る。

 そして、腹が減ったら食事をしなくてはいけない。

 そうしないと、死んでしまうからだ。

 しかし人間は、その食事を作る行為である、料理を出来ない者も存在する。

 人間は必ず食事をしなくては生きていけないのに、人は必ずしも料理が出来る訳ではない。

 その原因は、料理を作れる人が、飲食点を経営し、そこで料理を提供してくれるからだろう。

 そんな事を考えていた仕事帰りの夜、俺は自身の家の中にいた。

 いつも仕事帰りの日は、外食で済ませることの多い俺だが、その仕事が大して忙しく無く、自身の体に元気がまだ有り余っている時は、外食をせず、家に帰り自炊をするようにしている。

 その為、腹がペコペコになっていた俺は、フライパンを用意し、料理をする準備をしていた。

 まず、俺はフライパンに油を引き、その中に今日買ったスーパーの豚こま肉、130グラムをブチ込んだ。

 その後、俺はコンロの火を中火にし、肉にコショウをかけ、炒めた。

 肉に良い焼き色がつくくらい、焼き終わった頃、俺はコンロの火を弱火にし、調味料を用意した。

 そして、用意した調味料である、砂糖を小さじ1杯、普段飲まない安い日本酒を大さじ1杯、醤油を大さじ1杯、フライパンの中にブチ入れ、その調味料たちを肉にあえるように、弱火で焼いた。

 ある程度、肉に調味料の色がついたら、俺はコンロの火を消し、器にご飯を盛った。

 その後、俺はそのご飯の上に、フライパンの中に入っているものを、余すことなく全て入れた。

 そして、肉とご飯が入っている器の中に、仕上げとして、コショウと、アウトドアスパイスとか言われている、1本800円ぐらいする塩をサッサとかけた。

 こうして俺は、今回の夕食、自宅豚丼を完成させたのである。

 俺は、その豚丼をひとくち喰った。

 うまい。

 ひとくち喰った感想がそれだった。

 この前食べた牛丼屋の牛丼も最高だったが、俺が作った豚丼も我ながら良い出来である。

 特に、この豚丼の美味しさを支えているのは、800円くらいする塩と醤油だろう。

 塩は800円ぐらいするのだから、性能面で美味しいのは当たり前ではあるが、この醤油は、一般的な醤油とあまり値段の変わらない物を使っている。

 しかし、俺が料理で使っている醤油は、普通のスーパーのものでは無い。

 俺が使っているこの醤油は、わざわざ、秋田のご当地スーパーにしか売っていない醤油を使っている。

 その理由は何故か?

 それは、この醤油が他の醤油とは味が違うからだ。

 秋田や九州といったところの醤油は、通常使われている醤油より甘みがある。

 当時、大学生であった俺は、ゼミの飲み会で同い年の子がそんなことを言っていたのを、聞いていた。

 しかし、当時の俺はその話を全く信じていなかった。何故なら俺は、醤油はただしょっぱい汁だと、幼少期の頃からずっと思っていたからでおり、醤油が甘いなんて話は、当時の俺からしたら、ありえないものでしか無かった。

 その為、俺は会社の有給を使って、秋田に旅行で訪れた時、事の真相を確かめるべく、秋田のご当地スーパーで、醤油と刺身を買い、旅館で試してみることにした。

 結果、秋田の醤油は甘みがあった。

 それどころか、普段使う醤油よりも格段に、秋田の醤油の方が美味しかった。

 その美味しさは、この醤油を使った後では、いつも使っていた醤油を使えなくなるほどの美味しさだった。

 その結果、俺はその旅行で沢山の醤油を手土産に帰ることとなり、それ以降、うちの醤油は秋田の醤油しか使わなくなっていた。

 もし、秋田や九州の醤油を使ったことが無い人がいたら、是非試してみて欲しい。きっと、醤油という調味料の概念が変わること、間違い無しだろう。

 そんな事を考えながら、豚丼をガブガブ喰っていたら、いつの間にか豚丼は無くなってしまった。

 俺は、喰い終わった豚丼が入っていた器を、食器用洗剤で洗い、電気を消し、ベットの中に入った。

 その中で俺は、人間の中で料理をしない者が一定数いる理由について、もう少し考えることにした。

 人間が料理をしない理由は、先程話した理由以外にも、いくつかあると思う。

 その中で俺は、料理をするハードルが高いから、料理をしないという人も一定数いるのでは無いかと思った。

 料理というのは、サブスクの動画やテレビ等を見ていると、どうしても、難しいものだと感じてしまう。

 かくいう俺も、そう思っていた時期があり、高校生の時に、料理を全くしていなかった。

 しかし、俺が大学生の頃、たまたま見た動画の一言で、俺自身の考えが変わった。

「料理は喰う為に行うものであって、別に華やかでなくても良い。」

 そんな台詞を言っていたその人は、手の込んだ料理を作る人であったが、それと同時に手の込んでいない簡単な料理も作る人だった。

 その彼の台詞から、俺は料理が手間のかかるモノという認識から、手間がかからないモノでも喰えるモンを作れれば料理、という認識に変わった。

 だから極端な話、カップラーメンを作るというのも、料理をしたという事になるのだ。

 そのような認識をするようになってから、俺は料理をする事のハードルが落ちていき、次第に料理をするようになった。

 まだまだ手の込んだ料理を作ることはできない俺だが、もし料理をする事にハードルがあると感じている人は、まずカップラーメンから作ってみると良い。

 アレを作るのを、料理として認識すると、手間がかからず美味しいものを自分の手で作れることに感動するだろう。

 すると、どうだろう?料理というのは意外に簡単だったんだと思える筈だ。

 そう思えると、あとは簡単で、今日俺が作った豚丼もチョチョイのチョイで作ることが出来るだろう。

 そんな考え事をしていた俺は、次第に睡魔に襲われ、今日も眠りに着くのであった。

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