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偏食家  作者: 池田圭


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豚骨醤油ラーメン

 人間という者は、腹が減る。

 それは人が生きている上ではどうしようの無いものだ。

 そして、それを1番実感できるのは、仕事で残業をしてクタクタになっている時である。

 そんな事を思いながら、俺は夜の街を歩いていた。

 本当は疲れて歩きたくもないのだが、歩かなくてはバスや、電車等の交通機関に乗ることはできない。車の免許を俺は持っているのだから、こういう時の為に、車を持っていた方が良いのだろうが、生憎俺は、車の維持費に金をかけるくらいなら、その分、食事に金を使いたいと思うたちなので、車を買うことはしていなかった。バスや電車よりも金がかかるタクシーを使うと言うのは、もはや論外である。

 要するに、残業でクタクタに疲れている俺が、夜の街を歩く羽目になっているのは俺自身のせいである。

 残業でクタクタになって、尚且つ、自分自身を勝手なプライドのようなもので、追い込んでいる時に無性に喰いたくなるものが、俺にはある。

 それはラーメンだ。日本発祥のくせに、中華料理を名乗っている不届き者のような存在だが、味は格別。特にこういった疲れてる時には二郎系ラーメンとか言われる、量爆盛りラーメンが食べたい。

 だがしかし、俺が歩いているところの近くに、二郎系ラーメンの店など無い!

 その為、俺は自身の職場に近い(歩いて10分くらいのところにある)、漢字四文字の店名のラーメン屋へと足を運んだ。

 店内に入ると、店員の「いらっしゃいませ」の声と、ラーメンの良い匂いが鼻の中に自然と入ってきて、気分が上がる。

 この店は、食券で注文する形式であった為、店の入口付近には券売機があったが、これも趣があって良い。

 俺は、券売機に1000円を入れ、ラーメンのボタンと麺増しのボタンを押し、券売機に出された、券2枚とお釣りを握りしめ、カウンター席に座った。

 カウンターに座ると、1人の店員が俺の券を受け取り、味の濃さと麺の硬さについて聞いてきた。

 俺は、味の濃さと麺の硬さが選べる時、絶対に味の濃さは普通で、麺の硬さは硬めにしている。

 俺がこのような選び方にしているのは理由がある。

 ただし、味の濃さについてはそこまでの理由は無い。味を濃くすると、塩分の取りすぎで体に悪く、かと言って、味を薄くするとラーメンの美味しさが半減するという結果、消去法で普通になっているだけである。

 まぁそもそも、味が濃いラーメン何てものを食べてる時点で、体に悪いのだから、健康を気にするなら、ラーメンを喰うなという話になるが、それでも俺はラーメンを喰いたくなるのだ。

 それはさておき、重要なのは、麺の硬さを硬めにしていることである。この麺の硬さを硬めにするというのは、単に硬い麺が喰いたいからしているのでは無い。

 俺が麺を硬めにする理由、それはラーメンを伸びづらくする為である。

 俺は幼い頃から猫舌で、熱いものを食う時は、いつも時間が掛かっていた。そうなると、次第にラーメンの麺は時間が経てば経つ程伸びて、美味しさをなくしていってしまう。そういうことを防ぐ為、俺はいつも麺は、硬めで頼んでいるのだ。

 もし、猫舌の人がラーメンを食べる時に困っているならば、麺を硬めにすると良いだろう。そうすることで、麺がのびづらくなり、ゆったりと麺の美味しさを楽しむことが出来るからだ。

 そんな事を思いながら、俺は店員に券2枚を渡し、ラーメンが来るのを待っていた。

 待っている中、俺はこの前行った牛丼屋の事を思い出しながら、やはり、牛丼の出されるスピードは異常だと感じた。

 サッとすぐ出てきて、アツアツで美味しく、しかも安いとかいう3点セットは、現代を生きる人達には、有難いものである。コスパを考えるのであれば、外食時は毎日牛丼というのもアリかもしれない。

 しかし、食に拘りのある俺からすれば、毎日牛丼というのは、飽きるし、面白みが無い。

 せっかく、日本人が美味しいものをたくさん生み出しているのだから、様々なものを食わないと損だろう。

 だがしかし、そんな事を言っている俺自体、食べ物の好き嫌いが激しい人間である。

 そんな考え事をしている内に、出されたラーメンを見た俺は、そのことを深々と実感した。

 さて、ここで問題である。

 ここのラーメンは、普通のラーメン屋には必ず入っていると言っても過言では無いものが入っていない。

 それは、一体、何か?

 正解はメンマだ。

 ラーメンにメンマが入ってないというだけで、人によっては度し難いと感じる人もいるだろう。

 だが、俺はメンマが嫌いである。

 そもそも、たけのこ自体好きじゃない。

 このコリコリ食感と味のマッチが俺的には合わず、自分の体が拒否反応を起こしているのだ。

 しかし、ここの店ではメンマは入っておらず、その代わりにほうれん草が入っている。

 このシナシナのほうれん草と一緒に、麺を啜った時の、食感というのは言葉に表せないくらい、美味い。

 啜れば啜るほど、美味しさが際立っている気がする。

 更に、ここの店では嬉しい事に、トッピングに生姜と、生の刻み玉ねぎを入れることが出来る。

 しかも、無料で。

 俺は麺を半分食べたあたりで、テーブルに備え付けられている、生姜と刻み玉ねぎをラーメンの中にブチ入れた。

 すると、どうだろう。このコッテリ豚骨醤油味のラーメンは、フレッシュな生姜を入れることにより、見事なサッパリ感を生み出し、良い味変となる。

 更に、そこにシャキシャキの刻み玉ねぎを入れることで、ラーメンの食感すらも変えることとなり、ラーメンを喰う手や、口はもう止まることを出来ない。

 そうこうしているうちに、俺はラーメンを喰い終わり、そこのラーメン店を出た。

 まさしく、至福の一杯。

 今日、残業したことがチャラになったが如く幸せな時を得た気分だった。

 しかし、俺はここのラーメンを喰った後、しまったと思った。

 それは、ラーメンに生の刻み玉ねぎを入れすぎたことだ。

 明日、俺は仕事がある為、ラーメンにニンニクを入れることはしなかったのだが、生の刻み玉ねぎは、ドバッと入れてしまった。

 すると、どうなるか?

 腹の弱い俺は、確実に明日、腹を下すだろう。

 残業のストレスを喰うことで発散していた為、気にせず喰い続けてしまった。

 だがしかし、もう喰ってしまったものはしょうがない。

 そんな事を思いながら、俺は歩いて10分ほどの場所にある最寄り駅に向かうのだった。

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