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99.家族のような存在

朝弱い2人を放置して顔を洗いに外に来た。

2人が起きたら出発できるように荷物をまとめ、朝ごはんと顔を洗う水などを部屋に持っていっておく。

案の定寝起きがクソ悪かった。

あと着替えるから出て行けと追い出されてしまった。

俺の扱いが酷い。


ちなみに、次は温泉がある街ということでリアーシがウキウキしている。

正直俺は別にだが、リコリスもかなり楽しみらしい。


「さて、出発しますか」

「…抱っこ」

「化けの皮剥がれるの早いな」


そんなこんなでリコリスを抱っこして出発。


「やっぱり娘なんですか?」

「俺そんなおっさんに見える?」


そんなことを言い合いながら先へと進む。

荷物を持ってくれたりいい人ではあるんだけど、こいつは俺の事を舐め腐ってる。

前別れた時の好感度が悪い方に進んでる気がするな。


しばらく進んでいると魔物がいるとの事。

とりあえずリコリスを抱っこしているのもあり、全員で見に行く。

どうやら蟻のような魔物が列を成して進んでいるようだ。


…え、これやばくね?

いや、襲われないから安全面は大丈夫なんだけども。


「これどうやって先に進むんだ?」

「全部が通り過ぎるまで待機ですかね…空飛べるならそれでもいいと思いますよ。飛んでください」

「無茶言うな」


とはいえどうするか。

一旦この蟻のステータスを確認するか。


スワムアント

HP:317 MP:174 攻撃力:422 防御力:376 素早さ:154


うん、強すぎる。

1匹のステータスで俺と同じくらいだし、なんなら俺より強いだろ。

こいつら妨害するのはちょっと無理だな。


「倒せます?」

「1匹なら…」

「スワムアントは1000匹くらいの群れで行動しますよ」

「じゃあ今日はここで野営だな」

「えー」

「えーじゃありません」

「…えー」

「なんでリコリスも言うんだよ…」


ということで解決策を探すことに。


「確か俺の世界なら蟻は熱に弱いはずだが」

「スワムアントは熱に強いですよ」


ダメじゃん。

となると火属性の魔法でどかすのは無理だな。


「というか、この前のしりとりの時から思ったんですけどユージさんって転生してこっちの世界に来たんですね」

「あれ、言ってなかったっけ?」

「言ってませんよ」


全然話してたものだと思ってた。

そういえばゼファーノスまでの旅路の時は別に聞きたいと思わないって言われたんだっけ。

仲間感強すぎて普通にミスったな。


「まぁそれは置いといて、レモン汁とか効くんじゃないか?」

「置いとく話なんですかね…で、レモン汁ですか?」

「匂いが苦手みたいなのを聞いたことがあるが」

「それで襲われたら終わりじゃないですかね」

「確かに…」


結局野営しかなくね?

そんなことを思っていると、何故かスワムアントの列が止まっている。

その間にできた隙間をリコリスが通りながらこっちに手を振ってくる。


固有スキル使ったのか。

あんまりして欲しくないが、やっちゃったものは仕方ない。

急いで列の間を通り向こう側に行く。

リアーシは何が何だかわかってないようだった。


「リコリスさんって魔王ですか?」


わかってないことなかった。

バリバリに理解してた。


「そんなわけないじゃないですかヤダー」

「うざっ」


うざって言った?


「いや、言いにくいならあれですけど…状況的に考えて魔王じゃないんですか?角生えてますし魔族なのは確定でしょうけど」


そう言いながらリアーシはリコリスの頭を撫でる。

頭撫でたらそりゃ角生えてるってわかるわな。

俺が甘かった。


「いや…そうとは限らないじゃんね…」

「喋り方キモくなってますよ」

「辛辣じゃない?」

「別に魔王だからどうこうとか言うつもりないですから、安心してください」


リアーシはそういう人だろうな。

でもそれはそれとして俺が言うべきことじゃないんだよなぁ。


「…私は、私だよ?」


撫でられながらそういうリコリス。

魔王とか、ラジアータとか、そういうしがらみはあるだろう。

それでも、リコリスはリコリスだという芯がある。

それを今、確認できてよかった。


「そうだな。リコリスはリコリスだ」

「そうですね、すみませんでした」


めちゃくちゃ撫でてるな。

そんなこんなで進んでいき、ようやく街に着く。

野営の途中シザービートルに囲まれる事件があったが、こちらは思い出さないことにする。


ということで旅館まで来た。

前回泊まったとこと同じところだけど、今回は少し空いてるな。

前回は魔物がこっちに向かってきてる影響で冒険者が多かったらしい。


「個別の温泉付きの部屋にしましょうか」


ということで個別の温泉付きの部屋をとることに。

普通の料金の2倍して腰抜けた。

料金が俺持ちなのは納得いかない。

せめて割り勘であってくれよ。

と思いつつも口に出すことは出来ないので泣きながら財布を軽くした。


「なんで個別の温泉付きにしたんだ?」

「なんでって…リコリスさんが入れないからに決まってるじゃないですか」


そういえば前回は温泉は我慢してもらったんだった。

そう考えたら悪いことしてしまったな。


「まぁ温泉楽しんでくれ。俺は最後にはいるから」

「…一緒にじゃないの?」


いやいやいや、さすがにダメでしょ。

絵面的には成人男性と小学生女児だからな。


「リアーシと一緒に入ってもらえ」

「…3人がいい…」


もっとダメで草。


「それはリアーシに迷惑だからダメだな…」

「別にいいですよ」

「ほら…え?」


はい、温泉に来ました。

横にはタオル1枚のリコリスとリアーシがいます。

これはどういう状況なの?


「…髪、洗って」

「あ、あぁ…わかった」


髪意外と長いな。

切る機会がなかったんだろうな。

でも綺麗だし、そのままでいいんだろうか。


「私のもお願いします」

「えぇ…」


ということで2人分の髪を洗った。

初めてこんな髪触ったわ。

長い髪洗うのって結構ダルいんだな。

これを乾かす手間も考えたらめちゃくちゃ面倒だ。


「はい、じゃあ背中流しますよ」

「え、いや、いいよ」

「こういう時はしてもらえばいいんですよ。ほらさっさと座れ」


俺の扱い雑になりすぎだろ。

さっさと座れってなんだよ。


そんなこんなで湯に浸かる。

暖かい。


「こらリコリス、100数えてから出なさい」

「…むー」

「のぼせてもあれですし、上がりますか?」

「…もうちょっと入る…1、2、3…」


言われた通り100数え始めるのいい子すぎる。

…揺れてるの見て思ったけど、やっぱ大きいな。


「…視線もうバレてるからって開き直ってません?」

「まぁ…こっそり見てバレるならガン見しないと損かなーって」

「ぶん殴りますよ?」


はい、温泉は気持ちよかったです。

温泉を出たあと買っておいた牛乳を飲む。

そして腰に手を当て一気飲み。

やっぱ温泉といえばこれだよな。

初めてやったけど。


「そういやドライヤーとかってないのか」

「ありますよ。魔力を流したら風が出るっていう魔道具ですね。火属性のも組み込まれてるので暖かい風も出せます」


そりゃあるか。

あの化け物がいるんだし。


「ほら、髪乾かすから」

「…うん」

「それ終わったら私のもお願いします」

「えぇ…」


何となく、この髪の毛を乾かす時間は良いものな気がする。

めんどくさいけど。


「はい、乾かせたぞ。リアーシの髪乾かしてるから、眠かったら寝てていいからな」

「…うん」


そんなこんなでリアーシの髪も乾かし、寝る準備をする。

明日もこの街でゆっくりする予定なので夜更かししてもいいが、リコリスはもう寝てしまったので寝るか。

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