90.2人の眠る墓
色々聞いて満足したのかビーネスはホクホクしている。
それに比べて俺はマジで覚えてないのも聞かれてくたびれてる。
そんなこんなで夜になり、野営の準備を始める。
「ご飯は私が作りますよ」
「…手伝う」
ご飯が作れる人がいるのはマジで嬉しい。
俺も最近できるようになってきたが、どう考えてもこの2人が作ったやつの方が美味しいっていう。
その後いつも通りテントで寝るが、どうやらリコリスとイリスとビーネスで寝ているらしい。
いや、羨ましいということではないが俺は1人なんだよな。
とはいえエルダと寝るのはちょっと…。
ということでおはようございます。
見張り番は俺とエルダとイリスで回していたが、特に魔物も出ることなく朝になってよかった。
ちなみにリコリスはいつも通り寝ぼけていたため俺がご飯を作るのを手伝った。
「すごいな、それ魔道具か?」
「そうですよ。材料を入れるとある程度簡単な料理なら自動で作ってくれるっていう魔道具です」
すごい便利な魔道具だな。
動力は魔力か。
それなら実質的に無限に使えるくね?
「そんな便利なのがあるんだな」
「便利ですけど数がものすごく少ないものなんですよね。私はお父さんから譲ってもらったのであれですけど、確か金貨何十枚とかするはずです」
高すぎだろ!
そんなの買えるわけないだろ…。
そりゃたしかに便利なわけだわ。
そんなこんなでご飯を食べ、再び村に向かって出発していく。
特に何事もなく進んでいくのだが、やっぱり雪に足を取られてかなり体力を使う。
フローディアの奥の方に進んできたからかなり雪が深い。
「ユージ、大丈夫か?」
「あ、あぁ…結構足がやばい」
「ビーネス、もう1人乗るのってできねぇのか?」
「無理ですね…あ、私の隣なら」
運転席みたいな場所か。
座っていいならかなりありがたい。
「じゃあお言葉に甘えて…」
というか、馬ってこの雪の中歩けるのか?
「雪って犬ゾリの方がイメージあるけど、馬でも大丈夫なんだな」
「魔道具で脚を補強してるんですよ。寒さにも強いようになってるし、雪にも足を取られることはないんです」
魔道具便利すぎるだろ。
俺の足も補強してくれ。
ちなみに犬…というか、狼を使役することはあんまりないらしい。
一応テイマーと呼ばれる人たちがいるらしいのだが、魔物との契約だったりはかなり条件が厳しいらしい。
「そもそも、一般的に魔物は敵ですからね。テイマーになりたいという人はほとんどいませんよ」
テイマーは基本的に自分より弱い魔物しか使役できない。
自分より強い魔物を使役する場合は条件が複雑らしい。
そして、格下を操るくらいなら自分で戦った方がいいだろというものもあるらしい。
「魔物ならなんでも使役できるのか?」
「ゴブリンとかも使役できるとは聞きますね」
ゴブリンも魔物だしそりゃそうか。
でもゴブリンとか使役したらただの害悪になっちゃうし、そこら辺難しいんだろうな。
そんなこんなで夜になり、再び野営をする。
そういえば荷台に乗ってる2人は暇してないのかなと思ったが、ずっと遊んでいたらしい。
「リコリスに付き合ってもらってありがとな」
「ううん、むしろ嬉しい。遊ぶこと無かったから、私」
「そうなのか?」
「ずっと研究してたから、魔法の。だから、誰かと遊ぶのは楽しいね」
16歳の少女だもんな、イリスも。
同年代…とはちょっと離れてるかもだけど、歳の近めの女の子と遊ぶことはあんまなかったんだろう。
お姉ちゃんと妹みたいな感じがしたけど、案外お友達みたいな感じなんだろうな。
「それでも、仲良くしてあげてくれてありがとな」
娘の友達に挨拶するお父さんみたいなことをしてしまった。
俺まだ22歳なのに。
というかこの世界の日付とかってどうなってるんかな。
鑑定で見た時出てくる数字に年齢あるし、一応1年365日とかなのかな。
まぁあんま関係ないか。
知りたくなったら自分を鑑定すればいいし。
そんなこんなで夜も明け、再び旅路に就く。
今まで俺の歩くスピードに合わせてくれていたのか、進むスピードが全然早くなっている。
何度かの野営を挟み、だいぶ進んだなと思っていたところ家が点々と見えてくる。
「あそこだな。やっと着いたぜ」
「なんでこんな辺境の地にギルドを作ったんですかね…」
「そりゃ…なんでだろうな」
ということで村に到着!…したのだが。
「…結構廃れてるな」
「まぁな。俺がここを出る前に半壊してたしこんなもんだろ。それに、俺の知り合いは全員寿命で逝ってるだろうし」
縁起でもないこと言わないでくれ。
ちなみに村民はマジで少ない。
老人が7、8人と若い人…40代後半の人が数人いるだけだ。
とりあえずギルドに向かう。
「リアム、いるかー」
エルダがそういいながらドアを開けて入っていく。
しかし、中には誰もいないようだった。
その上かなり使われていないようでホコリや蜘蛛の巣があったりする。
「いないね、人」
「ここも使われなくなっちまったんかァ。まぁもう15年くらい前の話だしな」
前まではリアムというAランク冒険者の人がギルドマスターをしていたらしい。
しかし、現在はいないようでギルドもほぼほぼ機能していないようだった。
「私は村の人に物資を支給してきますね」
「俺はここの掃除でもしてるか。寝る場所って多分ここくらいしかないもんな」
「そうだなぁ。まぁここ使って寝袋で寝るしかねぇな…よし、片付けるか」
4人でギルドの掃除をする。
ビーネスは仕事に行ってたが、終わったあと合流して手伝ってくれた。
今回はエルダの風属性の魔法がかなり役に立っていた。
こういう時は風属性便利だよな。
「よし、じゃあ墓参り行ってくるわ」
「俺も行くよ」
「じゃあ、私も行く」
「私はご飯の用意をしていますね。リコリスちゃん、手伝ってくれませんか?」
「…わかった」
ということで俺とエルダとイリスで墓参りへ。
村の端の方に行くと十字になってる気のようなものがいくつも刺さってる場所があった。
そのうちの2つの場所にエルダは行き、雪を払う。
様子を見るに、これらがイリスの両親の墓なのだろう。
「…久しぶりだな、タフト、ナズナ。イリスはこんな立派に成長したぜ」
「この2人が?」
「…あぁ、そうだ。連れてこなくて悪かったな」
「いいよ、別に」
墓参りを終え、ギルドにもどる。
ビーネスとリコリスが用意してくれたご飯を食べ、今日は寝ることに。
明日すぐにカカロジに出発するということでエルダとイリスとはお別れだ。
そのためリコリスはイリスと夜更かしするらしい。
まぁ好きにさせてあげよう。
ということでおやすみなさい。




