87.雪山の違和感
とは言っても暇だな。
イリスがいないし、さっきの聞いてみるか
「そういえば、降格ってどんな感じだったんだ?」
「あー、まぁ主な理由はタフト…弟子の魔物化だろうな」
昔エルダが少し村を出てた時弟子は魔物化していたらしい。
どうして魔物になっていたかは分からないが、それを倒してから弟子だと気がついた。
その後、ギルド本部に事情聴取だったりをされ、最終的にCランクへの降格がくだされたらしい。
実力はあるから一般レベルのランク、ただしBランクなどの権力が一切ないレベルにされたとのこと。
権力というのはギルドマスターになる資格とからしい。
部下の責任は上司の責任みたいな感じなのだろう。
とはいえだいぶ可哀想だな。
知らなかったとはいえ弟子を自分の手で殺し、そのうえでCランクにさせられるなんて。
「別に後悔はしてねぇよ。俺には今、やるべきことがあるからな」
「やるべき事って?」
「イリスが立派な大人になるまで見守ることだ。それが俺のやるべき事だ」
保護者…というより、守護霊みたいな感じだな。
「囚われてないか?」
「囚われてるに決まってるだろ?それで罪を滅ぼせるならな」
覚悟決まってるなぁ。
じゃあ俺が言うことはないな。
ということで今日はこのまま野営。
とりあえず俺とエルダで見張り番をする。
雪が月明かりを反射してかなり明るいな。
それに、星がよく見える。
寒い地域とかって星がすげぇ綺麗に見えるよな。
空気が乾燥してるからだっけ?
中学生の頃の科学なんて覚えてねぇや。
そうしてエルダと交換しつつ見張り番をしていると朝になり、2人の様子を見に行く。
「大丈夫か?」
「大丈夫、私は。ごめんね、昨日は」
「…まだ寝る…」
「おいこらリコリス、早く起きなさい」
「…ママァ…」
「誰がママじゃい」
バカ娘を叩き起してご飯を食べる。
イリスは既にこの寒さに慣れたらしく、スキル雷身流の応用で体をあっためているらしい。
ちなみに雷身流とは雷を自身の体に流して素早さをあげたりするものらしい。
強くない?
それに、そういう技術の応用ができるのってすごいな。
ということで出発、今回はリコリスも歩くらしい。
少し歩いたところでリコリスがおんぶしてと言ってくる。
雪に足を取られるので歩きにくいのだろう。
まぁ昨日と変わらないしいいか。
「なんか、甘えん坊になってきたな」
「…ダメ?」
「ダメじゃないけど、知らない人とかについて行くなよ?」
「…わかってる」
娘を心配する親の気持ちってこんな感じなのかな。
「魔物、来てるよ」
「数は?」
「2、多分強い」
強い魔力が2つこちらに近づいているらしい。
てかイリスが強いって言うレベルなのヤバない?
俺とか足手まといとかいう次元じゃないでしょ。
そんなことを考えていると魔物の姿が見える。
白い姿をした獣、あれは一体なんなんだ。
「ウェンディゴだと?こんな浅い所にいやがんのか」
ウェンディゴ
HP:1512 MP:442 攻撃力:641 防御力:622 素早さ:397
強くね?
Bランクの魔物か。
確か、Bランクの魔物を単独で倒せるのはAランクだよな。
俺だけだったらほぼ確で死じゃん。
「安心して、私が守るから」
「ほんじゃ、俺が荒らすからイリスはサポート頼む」
そういうとエルダは前に出て大きな声で叫ぶ。
「テメェらの相手は俺だ!かかってこいやァ!」
エルダがそういうとウェンディゴ2体はそちらに向かって突進し始める。
相手の注意を自身に向ける…挑発か。
「ストーンエッジ」
イリスがそういうと雪の下から岩の柱が出てくる。
それが2体のウェンディゴの体を貫く。
それに合わせエルダが2体をぶん殴り、岩に深く突き刺す。
ウェンディゴ達は岩の根元を割り無理やり拘束を外すが、その隙をついてエルダの拳が体を貫く。
「ストーンゴーレム」
割れた岩をゴーレムに変え、それをウェンディゴに突撃させる。
その後ろで魔力を集中させているようだ。
「エルダ、避けてね」
「おう!全力で撃てよォ!」
エルダがウェンディゴを打ち上げる。
それをイリスが撃ち落とす。
「プロミネンス」
炎の鞭が空中に舞い上がったウェンディゴをバラバラにし、肉塊が辺りに散らばる。
…グロすぎ!
リコリスにこんなの見せられないって。
「やっぱ魔法って便利だなァ。ウェンディゴって俺ひとりだと結構苦戦するんだぜ?」
「おかしいでしょ、絶対。今の弱すぎ」
どうやらさっきのウェンディゴはかなり弱かったらしい。
「そもそも、こいつらがここら辺まできてんのがおかしいんだがな」
「どういうことだ?」
「ウェンディゴはこの国では強い方の魔物なんだが、強い魔物は真ん中の雪が深いところにいんだよ」
つまり本来強い魔物がいないはずの場所にいるってことか。
え、なんで?
「バラバラにしちゃったから、死骸。理由調べられない」
「ま、考えてもしゃあねぇだろ」
死骸を漁って魔石だけ回収。
断面が焼け焦げてるのやばいな。
プロミネンス半端ねぇ。
「とりあえず進むか」
ということで旅路に再び就いて、街を目指す。
ちなみにリコリスは寝てます。
エルダとイリスが戦ってる時もずっと寝てた。
この子神経図太すぎる。
特に魔物も追加で出ることなく夜になり、野営の準備を始める。
「リコリス、色々用意始めるから起きろー」
頬を突っつくが起きる気配がない。
晩御飯の用意俺がやるべきかな。
「イリス、リコリスのこと頼めるか?」
「わかった。ご飯よろしく」
「はいはい」
最近ご飯ちゃんと作り始めてもう慣れてきたな。
料理大会も俺が一人暮らしの時しっかり料理してたら優勝できたのかな。
まぁ後悔は置いといて、作るか。
ということで俺が作ったご飯をみんなで食べ、明日に備える。
明日また野営して、明後日着きそうだな。
今回は見張り番は俺とイリスとエルダで回したためかなり休めた。
朝になり、朝ごはんを出して食べたあと再び出発する。
「結構魔物少ないんだな」
「まぁこの寒さだからゴブリンとかの雑魚は生きれねぇからな。いねぇ分にはいいだろう」
ゴブリンの素材とかも結構金になるから出てくるなら嬉しいんだけどなぁ。
「近づいてこないね、結構いるけど」
「あ、いるにはいるんだ」
多分2人が強すぎて誰も近づいてこないんだろう。
で、強さすら分からない弱い魔物はいない。
そりゃ何も来ねぇわな。
ということで特に何も出てくることなく進んで行く。
特に何も出ない分にはまぁいいか。




