86.到着、フローディア
この街も結構寒い気がする。
まぁ昨日ちらっと見たけど、フローディア方面雪降ってるっぽかったし当然か。
雪国だし当たり前か。
「ユージ、そろそろ出発するぞ」
「わかった。…ちなみに、リコリスは起きてるか?」
「寝てるよ」
なんでやねん。
俺に声かける前に起こすべきだろ…。
「てことで運んでやってくれ」
「俺なんだね…」
「俺がやると絵面がダメだろ?イリスはそんな力ないからな」
ごもっともすぎる。
ということで荷物が増えたわけなのですが、フローディアに向かうことになりました。
街を出てフローディアに向かう前にギルドに寄るとのこと。
ギルドでは護衛依頼、主に馬車系がないかを確認するらしい。
今回はなかったようだが、あった場合は請けると馬車で楽ができるから良いとの事。
国境を越え、雪が沢山降っている場所に出る。
雪が大地を覆い、一面が白くなっている。
ザ、雪国って感じだな。
「…寒い」
こいつ、俺の背中に乗ってるくせに何言ってんだ。
「これ着て」
イリスが以前買ってた服をリコリスに着させる。
モコモコしてるな。
というか起きてるなら歩いて欲しい。
「…ユージ、眠い」
「…乗るか?」
「…うん」
暖かい服を着て眠くなったリコリスを背負って再び旅路に就く。
というかエルダはなんでそんなに薄着なの?
「エルダは寒くないのか?」
「あんま寒さ感じんな、まだまだ現役ってこったな」
寒くないってすごいな。
筋肉の量が違うのかな。
道中特に何も無いのでフローディアについてちょっと聞いておくことに。
「まぁ雪国だな。魔物とかも毛皮が厚いやつばっかだし結構厄介なんだよなァ」
魔物たちは寒さに耐性をつけるために厚い毛皮を持ったり、脂肪を蓄えたりしているらしい。
そうなると必然的に寒さや熱に耐性を持つため氷系や火属性に強くなる。
当然厚い分打撃にも強くなるためめちゃくちゃ厄介らしい。
「ま、俺とイリスには関係ねぇがな」
頼もしすぎる。
てかなんでお前そっち側なんだよ。
エルダ一応俺と同じCランクだろ。
なんでそんな強いんだよ。
「なぁ、エルダのステータスって俺と大差ないよな。なんでそんな強いんだ?」
「そりゃお前…経験の差ってやつだろ」
「偽装でしょ、スキル」
偽装…ステータスを偽ることができるってことか。
鑑定遮断があったりするし、そりゃあるか。
「…俺、イリスに偽装スキル持ってるって言ったっけ?」
「言わなくてもわかる。強いもん」
「そうだよな、強いよな」
良かった不自然に思ったのは俺だけじゃなかった。
「まぁ偽装で正解だ。スキルに譲渡ってのがあってそれで前に渡されたんだよ」
昔色々やらかしてギルド本部に怒られたらしい。
その時にランクを降格させられて、その影響でステータス偽装を渡されたとの事。
何をやらかしたかはイリスがいるので聞かないでおいた。
多分、弟子を殺したってやつが関係してるんだろう。
というか降格とかあるんだな。
「本当はどんくらいのステータスなんだ?Bランクくらいか?」
「それはない。最低でもAランクはある。私より強い」
「イリスより強ぇはねぇが、元Aランクではあるな」
元Aランクって強すぎるだろ。
今このパーティのメンバーAランク2人、Cランク1人、魔族1人だぞ?
Aランク1人は降格してるとはいえだろ。
ていうかリコリスもやろうと思えば魔物と意思疎通できるし最強パーティだろ。
…俺だけ場違いだな。
「オンオフできるでしょ、偽装。見せてあげたら」
「え、オンオフ出来んのか?」
なんでお前が知らないんだよ。
ということでステータスを見せてもらう。
エルダ(55) 種族:人間
HP:891 MP:83 攻撃力:961 防御力:838 素早さ:126
MPを捨てた近接アタッカーみたいになってる。
素早さもちょっと低めなのか。
「強くね?」
「そりゃお前、若い時はブイブイ言わせてたからな。とは言っても、32で旅やめてフローディアに住んだんだがな」
16歳から旅を始め、16年間旅をした。
そしてある時を境に旅をやめてとある村に住んだらしい。
苦そうな顔をしてるからやめた理由が苦い思い出なんだろうな。
そんな感じで話しているとイリスの足がだんだん遅くなる。
「大丈夫か?」
「ちょっと…寒いかも…」
確かにかなり寒い。
俺はリコリスをおんぶしてる分筋トレみたいな感じで暑くなってるけど、小さい体だとすぐ冷えちゃうんだろう。
「そんなら、俺が運ぶぞ」
「えぇ…」
「文句言うなら自分で歩け」
「…じゃあ…お願い…」
めちゃくちゃ不服そうで草。
ということで俺とエルダがリコリスとイリスを運ぶ奇妙な状況になった。
「お前軽いなぁ。ちゃんと食ってんのか?」
「…やっぱ降りる」
エルダは一言余計だな。
とは言ってもかなり疲れてそうだし…。
「一旦休もう。次の街までどんくらいだっけ?」
「俺の時はあと2日くらいだな。2人の様子を見るにあと4日はかかりそうだが」
ということで休むことに。
2人は暖かいテントに入ってもらう。
「テント暖かいな」
「…寝袋」
「はいはい、暖かい飲み物も作るからちょっと待ってろ」
ということで買っておいた耐熱コップに牛乳を入れ、魔法の粉を入れながら加熱する。
「…お菓子ある」
「え?」
「…私のバッグ」
そう言われリコリスのバッグを漁って見るとお菓子が結構入っている。
どうやらイリスと買っていたらしい。
夜中に2人で食べるつもりだったんだろうな。
「じゃあこれも出すぞ」
ということで牛乳にココアパウダーっぽいのを入れた美味しい飲み物の完成。
あとはお菓子を出して完璧。
「ありがと。あと、ごめんね」
「寒さに慣れないのはしょうがないから、ゆっくりしてくれ。リコリスはあんまり迷惑かけるなよ」
ムッとした顔をしているリコリスにカードゲームの道具を渡してテントを出る。
…外寒いな。
ほかの用意をしてくれていたエルダも色々終わっているらしく、今は火に当たりながら空を眺めている。
隣に座り、エルダに話しかける。
「明日からどうする?」
「イリスが慣れてないだけで、慣れれば火属性の魔法の応用で何とかできるだろ。それまでゆっくりだな」
そんなことできるのか。
いや、イリスレベルなら可能なのか。
俺もいつかできるように…はならないな、うん。
「なら、しばらく俺たちで背負ってか」
「そうなんな。まぁ筋トレみたいなもんだ。気楽に行こうぜ」
ということでしばらくはゆっくり行くことに。




