84.魔物の正体は元人間?
「どういうこと?」
さっきの魔物、あれが発してたのはリコリスが発してた言葉と同じ。
3回聞いてほとんど確信に変わった。
俺たちがするような発音とは違う言葉。
「リコリスが固有スキル使うの2人は見たことないもんな」
「うん、ない」
どう説明するか。
そもそも話していいものなのか。
いや、この2人になら大丈夫だろう。
「前に3回くらいリコリスが固有スキルを使うのを見たことがあるんだ。その時、あの魔物が発してた言葉と同じものを言ってたんだ」
「そいつがなんの関係があんだ?」
リコリスの発した言葉と魔物が発した言葉が同じ。
これらから導き出される答えは…。
「つまり、魔族特有の言葉を喋っていたってことかもしれない」
「魔族特有の言葉ってのは聞いた事ねぇな。他の種族も同じだ。神の加護で皆同じ言葉を使ってるからな」
なにそれ初耳なんだけど。
神の加護って何ぞや。
って思ったけど当然か。
大陸変わっても使ってる言語は同じだし、なんなら日本語使っても普通に通じてる時点でおかしいもんな。
ちなみに言語が統一されているのは神様が昔武力で喧嘩しないようにと言葉を授けたかららしい。
まぁ驚きはしない。
俺が転生した時に会ってるし。
「リコリスに見せてもらうのがいちばんだが…」
「無理させちゃダメ」
「まぁそうだよなァ」
リコリスは今ぐっすりらしい。
とりあえずイリスは戻ってリコリスと寝るとの事。
その後エルダと魔物について話す。
「…やっぱこいつァ俺の弟子と似てる」
「こんな事言うのあれかと思うんだが…エルダの弟子って悪魔かなにかなのか?」
「人間だぞ」
いやまぁそうだよな。
失礼だったかな。
「詳しくはわからねぇ。ただ、俺の弟子は人間で、知らない間にこいつみたいな姿になってやがった」
そういいながらエルダは魔物の顔を蹴る。
となると考えられることは…。
「こいつら、元人間か?」
「そうなるな」
違和感はあった。
鑑定した時、種族っていう場所があったりしたし。
以前こいつを見た時、他に2人の冒険者がいた。
おそらくあの2人と組んでいた冒険者が魔物化したんだろう。
一応ほかの人が魔物化して、それに2人が襲われた可能性もあるが、それだとあの弱い魔物に負けた理由が分からない。
ってことは仲間が魔物化して狼狽えたと考えるのが妥当だろう。
「…おかしいだろ、そうなると。こいつは誰が魔物化したんだ?」
「この山に来ていたヤツ…って考えるしかねぇだろ」
「なら周囲に元々の荷物があるかもしれないな。探してみるか?」
「そうすっかねぇ」
ということで周囲を探索することに。
しばらく探しているがそれらしき形跡は見当たらない。
俺の予想が外れたのかな。
「一旦戻るか。これ以上探しても何も出なさそうだし」
「そうだな…また明日、イリスが起きてる時話そう」
一旦テントのある方に戻る。
今はイリスの番だが、エルダが見張り番をしてくれるということで俺はテントに行く。
寝る前に情報を整理しておくか。
リアーシと共に見たあの魔物とさっき見た魔物は同じ魔物。
そして、さっき見た魔物のエルダの弟子も同じ魔物。
エルダの弟子は人間で、原因は分からないけど魔物化したらしい。
ということは俺が見た2体の魔物も元人間だろう。
…いや待て、そうなるとリコリスが話してた言葉が元人間の言葉になるぞ?
分からなくなってきたし寝るか。
おやすみなさい。
目を閉じ、夢の世界へと入っていく。
疲れていたのか気がついたら既に日が昇っており、朝になっていた。
ということで朝ごはんを用意して全員で食べる。
「昨日の魔物、あいつァ元人間だ」
「どういうこと?」
「昔、魔物になった人間を知っている。そいつと姿形が似てたんだよ」
弟子が魔物化したってところは隠す方針なのかな。
まぁイリスの親が魔物化したってことだもんなそれ。
話合わせとくか。
「俺も前に見たことあるが、多分元人間だと思う」
「条件は?魔物になる」
「それは…分からないけど…」
そうじゃん、魔物になる条件があるはずだ。
「なら、考えるだけ無駄だと思う」
「そういうの可能性があるで止めておくか」
そんな感じで一旦あの魔物については放置ということで。
というかあれだな、ギルド直属のあの人、ムバルトさんならなんか知ってるかもだな。
ギルドはなにか知ってるのか?
まぁ気にしないでおこう。
「よし、出発するか」
今日山を降りて、明日街に着く。
そしてその後フローディアに入るらしい。
フローディアからは街の感覚がめちゃくちゃ離れているらしく、街1個跨ぐ度に4日位はかかるとの事。
向こうについて、2つ街を進んだところでイリスとエルダとはお別れだ。
俺とリコリスはその後カカロジに向かう。
その間、2人はリコリスの生まれた故郷に行って待ってくれるらしい。
「俺もリコリスの生まれた街行ってみたいな」
「街なんて大層な場所じゃねぇよ。村だ村。それに、ちょっと遠回りになるぜ?」
「…行きたい」
リコリスも行きたいということで予定変更。
2つ街を進んだ後、その村まで行ってそこで一旦別れるという形になった。
前にその村も半壊したらしいが、今はもう復興しているらしい。
エルダはそこのギルドマスターと仲がいいようで前は文通もしていたのだとか。
ギルドマスターってAランクレベルの人がなるんだよな。
そんな人と文通するくらい仲良いってエルダマジで何者なんだ。
戦闘経験も圧倒的に違うし、なんなら強さもステータスに合わない。
この人マジで何者?
そんなことを考えながら進んでいると、イリスが魔物を見つけて処分していく。
Cランクレベルの魔物だとイリスの前だと赤子同然だな。
強い魔物が出てくるゾーンはもう超えたらしい。
本来は山頂に近いほど魔物が強いらしいのだが、俺たちが会ったのはイートカリーとあの魔物くらいだったな。
ちなみに、本来はもっとイートカリーが執着してくるため時間がかかる。
早めに出てきてくれたおかげで旅もめちゃくちゃ早まってくれた。
というかあれだな、リコリスにそれとなく聞いてみるか?
うーん、悩ましい。
まぁ聞かなくていいか。
カカロジに着いたらセラエムって人に聞けばいい。
ということでどんどん進んで行く。
しばらく進んでいると山の出口らしく、山を超えたことがわかる。
今日はこのまま野営をして、明日街に着くという計算だ。
ということでおやすみなさい。




