80.登山と魔物
山の入口には看板が建てられている。
『この先危険』
…行く気失せるって。
「よし、行くか」
なんでそんな躊躇なく行けるの?
バカなの?
「…考えても、仕方ない」
俺の考えが見透かされてるのかリコリスに励まされる。
へっぴり腰の俺が情けない。
まぁ大丈夫か。
最悪イリスにお願いしよう。
ということで山に入る。
結構緩やかな斜面だな。
「なぁ、イートカリーってどんな見た目なんだ?」
「あいつは人形の魔物で、ゴブリンシャーマンがもってる骸骨に近い頭を持ってるな」
あれか。
あの角が2本生えて顎がめっちゃ外れてるあの…。
会いたくねぇ。
記憶を読み取って幻影を見せてくるって怖いよ。
元の世界の友達とか出てきたら泣くんだけど。
ということで山に入っていく。
雰囲気が怖い。
「…嫌な場所。通らないとなの?こんなとこ」
「大きく回ってく道もあるぞ。そっちは2ヶ月くらいかかるかもだかな。諦めて頑張っていくぞォ」
イリスが嫌な場所といったのは瘴気がうざったらしいからとの事。
俺はそこまで感じないな。
リコリスの方を見るがそこまで気にしていない様子。
まぁ気にしても仕方ないということで進むことに。
登山は火山で1回やったことあるけど、あんまりなれないものだな。
「上、来るよ」
そう言われ上を見れば木々の間からなにかが旋回しているのが見える。
スパリデス
HP:614 MP:175 攻撃力:221 防御力:717 素早さ:188
HPと防御高くね?
俺1対1で勝てる気しないんだけど。
「スパリデスは鋼の羽をつけた鳥だ。主に鉱石や硬貨を狙ってくる。だから、人間に襲いかかってくる」
エルダはそういいながらこちらに真っ直ぐ飛んでくるスパリデスを一撃で粉砕する。
落ちてくるその羽は固く、頬を傷つける。
これを一撃で粉砕したのやばくね?
なんかスキル使ってるのかな。
そんなことを考えていると1体がこちらに飛んでくる。
イリスが先程バカでかい雷を飛ばしていたが、運良く避けたやつだろう。
剣に魔力を込めて迎え撃つ。
スパリデスの羽とぶつかり、金属音が響く。
魔力により斬れ味が上がった剣でもその羽を斬ることはできなかった。
「プロミネンス」
炎の鞭が目の前のそれを粉々にする。
イリスが助けに入ってくれたようだ。
相性もあるかもだが、俺1人だと負けてたな。
先にゼファーノス向かう判断してよかった。
「大丈夫?下がってて、私が全部対処するから」
「ではお言葉に甘えて…」
16歳の少女の背中に隠れる一般成人男性。
世が世なら警察のお世話になりそう。
ちなみにリコリスも一緒に後ろで丸くなってる。
まぁ俺と違って固有スキルを使えば魔物を追い払うことができるだろうけど。
「終わったよ」
「ふぅ、疲れた疲れた。結構大きめの群れだったなァ。大丈夫かユージ」
「俺はずっと守られてただけなんで…」
ちなみにスパリデスの羽は熱に強いらしい。
火を纏わせた魔法剣で斬れなかったのもそういうことらしい。
…なんで拳で粉砕したり火属性の魔法で粉々にできるの?
こいつら化け物じゃん。
そんなこんなでしばらく歩いていると既に周りは暗くなってきている。
山の形状のせいで暗くなるのが早いらしい。
「ここら辺で野営するか」
「…賛成」
「じゃあテントとかやるから、リコリスたちは飯の準備頼むぜ。さっきの鶏肉もあるから使ってくれや」
ということでリコリスの料理を手伝うが、この子まじで料理上手いな。
「なぁ、料理教えてくれないか?朝ごはん俺が用意しないとだし、覚えておきたいんだ」
「…いいよ。じゃあ最初から教えるね…」
ということで料理を教わった。
まぁ1回で覚えられるほど容量は良くないので毎晩教わることにするか。
明日の朝用も作って準備オッケー。
晩御飯を食べて就寝する。
自分の番で起きて、見張りをして交代する。
そんなこんなで気がつけば日が昇り始めていた。
日が昇るのが少し早い気がする。
最初に起きたのはエルダで、その後にイリス、そしてみんながご飯を食べるギリギリでリコリスがやっと起きてくる。
「リコリス、こぼれてるぞ。目覚ませ」
「…起きてる…」
「嘘つけ半分寝てるだろ」
「…ママうるさい…」
「誰がママじゃい」
漫才を繰り広げたあと、結局リコリスをおんぶして進むことになる。
山登りに慣れていないのだろう。
まぁしょうがないか。
「私が背負うよ」
そういいながらおんぶしようとするイリス。
どう考えても辛そうだ。
「しゃあねぇなァ、俺がおんぶしてやるよ」
「キモイよ、エルダ」
「さすがにそれは…」
ということで俺がおんぶすることになる。
エルダがちょっと可哀想だった。
しばらくおんぶしたまま進んでいくが、これ体力かなり消耗するな。
荷物はエルダが持ってくれてるとはいえ辛い。
「リコリス、大丈夫か?」
「…うん…」
最初はふざけているのかと思ったが、少し体調が悪そうだったため引き続きおんぶしていく。
結構標高も高くなってきたしそういうのも関係するのかな。
「一旦休憩しようぜ。俺ァ疲れた」
「…そうだね。しよう、休憩」
俺が疲れてるのを察してか一旦休憩ということになる。
ありがたい。
リコリスの体調は程々に悪そう。
体が冷えているかもということでイリスが汗を拭いたり、水分不足かもということで水分補給をさせたりする。
とりあえず大丈夫そうだが、一旦止まろうとなり、今日はここで野営をすることに。
「ご飯作ったから、ゆっくり食べてくれ」
ご飯を食べさせ寝てもらう。
まぁ大丈夫だろう。
下山した方がいいかと思ったが、リコリスを教会に連れていくことはできない。
ということで明日からまた進むことに。
何事もなく夜になり、俺とエルダの2人で見張りを交代でやる。
朝日が昇り、リコリスの体調は良くなったようだ。
「…ごめん」
「大丈夫だ。体調優先だからな。またおぶってこうか?」
「…それはちょっと…」
大丈夫そうだな。
嫌そうな顔になるのだけはやめてくれ。




