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8. スィートピィとウォーターボール

 街に着いたのはいいが、もう日が沈みそうだ。

街ごとにギルドに寄った方がいいのか?

そこら辺も聞けばよかった。


 とりあえず宿屋を探して、明日エルダの言っていた人を探してみよう。

この街にも当然宿屋はあって、イシュリアよりもちょっと大きめだ。

まぁ街自体もあっちより大きいし、冒険者も結構居そうだしな。

中に入ると見覚えのある人がいた。


「フロストさん?」


「ユージさん?先程ぶりですね。どうしたのですか…って、スィートピィの宿屋といえばここでしたね」


 当然ながら彼らも冒険者。

宿屋は複数あるが、被ることもあるだろう。

聞けば他のふたりもここに泊まるつもりらしいが、既に部屋で爆睡しているらしい。

フロストも疲れてるんじゃないのか?と思ったが、ギルドへ素材を出しに行くとのこと。

ついて行くか迷ったが、初めての野宿で疲れているし、遠慮しておくことにした。

フロストとその場で別れて宿泊する。

銅貨3枚、結構痛いな…。

明日は依頼を受けつつだな。




 窓の外から聞こえる小鳥のさえずりで目を覚ます。

窓の外を見れば日はそこまで高くなっておらず、早起き出来たとわかった。

とりあえず顔を洗って、ご飯を食べたらギルドに行こう。

そう思い食堂に行くと、見覚えのある顔ぶれがいた。


「あれ?ユージ、お前もここの宿だったんだな」


「言ってませんでしたっけ?」


 どうやら3人とも同じくらいの時間に目が覚めたらしい。

相席を失礼しつつ、3人と雑談をする。


 どうやらクレイブとリリアは防具やら武器やらの調達、フロストはギルドに行って薬草採取などの依頼を受けつつ、食糧の買い出しなどをするらしい。


 なんか一人だけ負担でかくね?


 とまぁご飯を食べ終え、俺もギルドに向かうからフロストと一緒に行動することとなった。

そこでギルドに行く途中、フロストにエルダの言っていた人のことを聞いてみた。

しかし、思い当たる人はいないらしい。

一応ギルドマスターがAランクの魔術師らしいが、さすがにそんなすごい人に頼むことは無いだろう。

だってエルダCランクだし。


 そんなこんなでギルドにつき、再びフロストと別れる。

俺はそのまま受付へと行った。


「すみません、エルダさんの紹介でとある人を探しているんですが…」


 と言っても、見た目について聞くのを忘れてた。

あ、手紙あったわ。


 その手紙を渡し、確認してもらう。

すると、受付の人は驚いた表情をしつつ慌て出す。

少し待ったあと奥の部屋へと案内された。


 …まさかな。

いや、さすがに違うだろ。


 高価そうなものが置かれている部屋で肩身の狭い思いをしながら待つこと数分、扉の外から足音が聞こえる。

それと同時に空気が重くなるのを感じる。


 なんだ?この感覚。

扉が開かれる、これはなんだ?

威圧?

覇気?

分からない、ただ、振り返れない。


「あなたがオジサンの手紙に書いてあったユージ?」


 少女の声が聞こえる。

振り返ると、1人の少女が立っていた。


「そう、です。ユージです」


「はじめまして、私はイリス─」


 少女とは思えない迫力、本人から魔力が漏れ出していると言われた方が納得ができるぞ。

それに、この圧…この人は…。


「─このギルドのギルドマスター」


 化け物だ。


 スタスタと歩いて正面に座るその少女は、持っていた手紙を机に置いてこちらに向き直る。


 こんな若い子がギルドマスター?

いや、納得できる。

エルダとは違う猛者の雰囲気。

Aランクというのもうなずける。


「早速で悪いけど、魔法を教えるのは無理。ごめんね」


 そうだった、ここには魔法を教わりに来たんだった。

一応理由を聞くと今は街全体が少し忙しいとのこと。


「発見されたダンジョンが魔物の許容数をオーバーしてて、外に出ちゃってる。オークとか、オーガとか。だから、攻略しないとなの、ダンジョンを」


 ここは異世界、ダンジョンがあるのもうなずけるがまさか本当にあるとは。

それに、あのオーガはダンジョンの影響だったらしい。

あんなのが街とかに出るならダンジョンは本当に危険だな…。


「この街でいちばん強いのは私。だから、参加しないとなの、ダンジョン攻略に。だから忙しいの」


 そういうことなら仕方ない。

なら諦めるか…。


「火と水だよね、適性。だったら、水教えてくれる人紹介する。なんだっけ。フロントみたいな名前の人」


 フロスト、名前覚えられてないのか…。


 後で慰めておこう。

というか、紹介してくれるのか。

もしかしてこの子良い子?

イリスはそういうと席を立ち、背を向ける。

部屋を出る際、


「待ってて、呼んでくるから」


 と言っていた。


 しばらく待っているとまた足音が聞こえる。

今回は全然気圧されない。

多分フロストだろう。

ノックをした後入ってくる。


「失礼します…って、ユージさんでしたか。もしかしてあなたが?」


 なんかフロストとよく顔を合わせる気がする。


「まさかあなたが探していた人がギルドマスターだったとは…」


 それには正直俺も驚いている。

まじで先に言っとけよエルダ…。

まぁ最初の目的は達成できそうでよかった。

フロストの魔法の腕前は一緒に行動した俺はよく知っている。

とはいえ、氷で攻撃したり泥作ったりしてたのしか見てないから水も使えることにはちょっと驚いた。

3属性持ち…本当に俺特別じゃなかったんだ…。

落ち込むのはそこまでにして、ギルドの横にある訓練場のような場所に移る。


「まずは現状の扱える魔法を見せて貰ってもよろしいですか?」


 ふっ、俺の魔法を見せる時が来たか…。


 丸太に向けて手をかざす。


「ウォーター!」


 ちょろちょろと水が出る。

そりゃそうだ、生活魔法しか使えないんだもん。


「フッ」


 今こいつ鼻で笑った?


「失礼、なるほど。生活魔法しか使えない、といった感じですか」


 そういいながらフロストは隣に立ち、杖を丸太に向ける。


「ウォーターボール!」


 杖の先端に生成された水の弾が丸太に向かって飛び、弾ける。

その衝撃で丸太は倒れ、水しぶきが跳ねる。


「魔法の基本ですが、呪文を唱え、手や杖に魔力を込める。そしてそれを対象にかざし放つといった感じです」


 なるほど、つまり「ウォーター」だと生活魔法しか出ず、「ウォーターボール」だと初級魔法が出るということか。


 フロスト曰くギルドマスターのイリスだったりは呪文を省略することも出来るらしい。

そして杖は標準を定める目的と、魔力を込める手助けをしてくれるということらしい。


 杖を借り、丸太に向ける。


「ウォーターボール!」


 水の弾ができる。


 作れた!あとは放つだけだ!

と、思っていたが目の前でそれは弾けてしまった。

びしょびしょ…。


「まぁ初めはそんなものです。手元で維持しようとしてしまって、制御を失い弾けた、といった所でしょうか」


 確かに、フロストは生成してすぐに放ってた。

それを意識してもう一度…。


「ウォーターボール!」


 水の弾ができる、さっきより小さい気もするが。

そして、すぐに放つ!

水の弾はまっすぐと丸太に向かって飛び、見事命中!

…威力弱くね?


「おぉ!成功ですね!」


 なんか、思ってたより弱いな…。

まぁ初めてだし、できただけでも上々か?


「では、実戦でやってみますか?本来は動いている相手に当てるものですし、それに今のを見た感じできそうですしね」


 なるほど、確かに実戦の方がいいか。

俺はフロストの提案を受け入れ、討伐依頼を受けることにする。

さぁ、魔法使いユージの初陣だ!

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