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73.魔族とは

昼ということもあり、Cランク以上の冒険者たちはみんな外で待機している。

みんなから少し離れたところで風に当たりながらゼノンと話すことに。


「魔族についてからか?魔術についてからか?」

「じゃあ、先に魔術についてで。喉が痛そうだし、その対処がわかるかもだし」

「では魔術からだ」


魔術。

魔族が得意とする魔法の1種。

違う点があるとすれば本人の魔力を必要としないことだろう。

自然に存在する魔力を集め、それを取り込んで使うことで魔法として機能させる。

まぁ前聞いた通り魔力を必要としない魔法という認識でいいらしい。


しかし、先程リコリスが使ったのは魔術とはまた少し違うものらしい。


「あれはスキルに近い。固有スキル、とでも言うべきか」

「固有スキル?」


なんか知らん単語が出てきたな。


「ユージは船に乗る前、どこに行った」

「え?あー、ゼファーノスとかリンソウとか?」

「なら、カナリア家の者を知ってるか?」

「あぁ、ホタルとかルヒターだろ?」

「…まぁ誰かは置いといて、彼らは一家で受け継ぐスキルを持っていると聞く。…名前は忘れたが」


そんなの持ってたのか。

聞けばよかった。

まぁそれは一旦置いといて、つまるところ、その一族しか知らないスキルというものがあってもおかしくないということだ。

魔物に命令をするスキルか?

ただ、魔力自体は感じたし、魔術でもあるのか?

わっかんねぇ。

まぁとりあえずリコリスのあれは固有スキルということで認識しておこう。


固有スキルと魔術については以上か。

次は魔族についてだな。


「魔族は角や翼、しっぽなど魔物が持つ特徴がある種族だ」

「前にSランク冒険者のジオラスを見たが、あの角とは違うのか?」

「あいつの角は龍の角だ。あいつは竜族とエルフのハーフと聞く」


竜族なんているのか。

竜族とエルフのハーフか、だから角が生えて耳が尖ってるのか。


「数的にいえばどちらも少ない種族ではある。もっとも、魔族が今どれだけいるかは分からないが」


「1000年前の戦争に魔族が負けて、ランスデニックってところに移動したんだよな?」

「まぁ、大方あってるな」


大方あってる?

ちょっと違うのかな。

説明がめんどくさいらしく、この認識で問題ないと一旦次の話に行く。


「魔族には魔物同様に種類がある。獣人の中でも耳やしっぽに差があるようにな」


ミントとセニーは猫のような耳としっぽ、ホタルやリサ、ルヒターには馬のような耳やしっぽが生えていた。

それ以外にも、俺が見てきた獣人には様々な動物の特徴が見えた。

それと同様に魔族にも種類があるということだろう。


「まぁこのくらいか」

「教えてくれてありがとう。というか、詳しいんだな」

「旅をしていればいやでもわかるさ。知りたくないこともな」


何かあったのだろうか。

そういうゼノンの目は少し寂しそうにしていた。

みんな、何かを抱えているんだな。


「リコリス、喉大丈夫か?」

「…大丈夫」


固有スキルの反動か、喉にダメージが及んでいる。

そうなると、なるべく使わせたくないな。


「いいか、さっきのはもう使うな」

「...どうして?」

「体を大事にしてほしいのと、反動が大きいと俺が心配になるからだ。だから、もう使わないでほしい。ダメか?」

「...わかった」


少し叱りすぎたかな。

リコリスがやってくれなければ危なかったのは事実だ。

それに、良かれと思ってやってくれたことだ。


「それでも、さっきはありがとな」

「...うん」


少しドヤ顔をしているように見える。

褒めるのは良くないかもしれない。


そんな感じで過ごしていると日が傾いてくる。

夕日が海面に反射して2つの太陽があたりを照らす。

海の景色って綺麗だな。


「...眠い」

「そうか、ならそろそろ戻ろう。...俺って戻ってもいいのかな」

「俺がユージの分も働いてやる。その子の面倒を見てやれ」


ゼノン優しすぎる。

お言葉に甘えて中に戻るか。

昨日丸一日寝てなくて俺も疲れた。

ゆっくり休もう。


ということでおはようございます、ユージです。

今回は船旅2日目なのですが、あまり眠くなかったのか、船の上だとあんまり寝れない体質なのか、まだ外が暗いのに起きてしまった…。

とりあえず顔洗いたいな。


「…ユージ?」

「ごめん、起こしちゃった?」

「…大丈夫…」


だいぶ眠そうだけど、昨日たくさん寝た分寝れないのだろうか目が半開きになっている。

フードをしっかりと被らせ、話しかける。


「寝れないなら、日の出でも見に行くか?」

「…行く」


行くとは言ったものの動きたくはないのかこちらに手を広げて抱っこしろと言った感じのポーズをしている。

なんか図々しくなってない?

いやまぁいいけど。

年の離れた妹ってこんな感じなのかな。


リコリスを抱っこして外に出る。

まだ日が昇っておらず辺りは暗い。

警戒態勢はまだ解かれていないようで何人かの冒険者は外で見張りをしている。

ゼノンもまだ外にいるようだ。


「おはよう、ずっと見張りしてたのか?」

「俺は寝なくてもいいからな」


ハーデンが持ってたスキルみたいな感じなのか。

不眠って便利そうだけど、持ちたいとは思わないよな。


「朝日一緒に見るか?」

「遠慮しておく。朝日は眩しすぎる。空腹だと酔うんだよな?朝飯食ってくる…なにか食べ物ないか?」

「あー…これでいいか?」

「助かる」


そういうとゼノンは船の中へと戻って行った。

どこか朝日を見るのにいい場所ないかな。

そんなことを考えながら歩いている。

するとアメリアも朝日を見るために出てきているようだった。


「おはようございます、アメリアさん」

「おう、ユージとその子供か」

「…俺の子供じゃないですからね?」

「どっちでもいいんだよ、そんなことは」


どっちでも良くないけどな…。

そう思いつつ日の出を見る。

見るのは2回目か。

日が昇り始める。

夕日とは違い、さらに眩しく見える。

世界の始まりを告げているようだ。


「…眩しい」


いや朝日を見に来たんだからね?

眩しいじゃないからね?


「リコリスも見た方がいいぞ。綺麗だから」

「…もう見た」

「嘘つけ…」

「いいじゃねぇか、子供は寝るのが仕事だ。この景色は、大人の特権だよ」


そうかな。

そうかも。


こうして船旅2日目が始まった。

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