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70.追われる立場

夜が明け、再び旅路につく。

昨日はゴブリンにボコられた記憶しかない。

昨日聞き忘れたけど、リコリスが助けてくれた時に言ってたのは一体何だったんだろう。


昨日同様馬車に揺られながらゆったりする。


「天気がいいなー」


話すことがまじで思いつかないので天気がいいねと話しかけることにする。

無難すぎるし、俺が言われた立場だったら反応に困る。


「...雲、いっぱい」


全然曇りだった。

どこがいい天気だよ。

俺の目腐ってるのかよ。


「...曇ってるなぁ」

「ユージ、気を抜かずに魔力探知していてくれよ」

「魔力探知はしているんですけど、暇なものは暇なんですよ」

「昨日リコリスが魔術を使った。だから追っ手が来るかもしれない」

「追っ手?」


どうやらリコリスを狙っている輩がいるらしい。

なんで?と思ったが、魔族は高価なもので貴族が好んで飼うこともあるらしい。

いい貴族を知ってるからあれだけど、やっぱり金と権力に溺れたカスはどの世界にもいる。

そういった奴らから逃げていたが、魔術を使用したから場所がバレているかもしれないとのこと。


「一個質問なんですけど、魔術ってなんですか?魔法となにか違うんですか?」

「あまり詳しく知っている訳では無いのだが…根本的な違いとして、魔術はスキルに近しいものだ。魔力を必要とせず、魔力に干渉できると聞く。まぁ、本当かどうかは分からないが…」


…つまりどういうこと?

魔力を使わない魔法?

魔力に干渉するスキル?

いまいちわからないな。

ただ、今はそういうことができると今は理解して納得しよう。

いつか詳しい人がいた時に聞けばいい。

そもそも、あの子にはなるべく頼らないようにしないとだし。


「まぁそういうことだ。気は抜かないでくれ」

「了解です」


ということで警戒しつつ前に進む。

特にこちらに向かってくる魔物や進行路に魔物の魔力を感じるなどもなく、順調に進んでいく。

と思っていた矢先、魔物がいるな。


「ダンボさん、前方に魔物がいます。何かと戦闘しているようです」

「なら、先に行って様子を見てきてくれないか?追っ手の可能性も捨てきれない」

「わかりました。今回はリコリスは連れていきませんよ」

「あぁ、わかってる」


ということで先に向かうことに。

近づいてみると1人の冒険者が魔物、ジャッカロープと戦闘しているようだった。

冒険者が優勢だし、加勢する必要は無いな。


そう思っていると推測通り、冒険者側がジャッカロープに剣を刺し、仕留めた。

話しかけた方がいいのか、戻るべきか。

いや、ここは話しかけた方がいいな。

危険な人物だったら引き返すべきだし。


そう思い、わざと物音を立てる。


「誰だ!」

「あ、すみません…魔物と戦ってる人がいるようだったので様子を見に…」

「…お前は…あの時の冒険者か?」

「え?…あ、あのワイバーンに襲われてた…」


前にゼファーノスに向かう時にあったことがある人だ。

確か、盗賊を捕まえようとしてワイバーンに襲われて死にかけてた。


「あの時は助けてくれてありがとう」

「助けたのは俺じゃなくてリアーシ…シスターですよ」

「そうかもだが、その仲間である君にも感謝を伝えたいんだ」


いい人だ。

まぁ前会った時も警告もしてくれたし、いい人だと思っていたがね。

本当に思ってたぞ、うん。


「君は港に行くとこなのか?」

「そうですよ。護衛の依頼で馬車を港まで護衛するって感じです」

「なら、早く戻った方がいいんじゃないか?」

「依頼主がかなり警戒心の強い人で、知らない人とかがいるなら行きたくないって感じなんですよ…」


まぁ嘘はついてない。

追っ手の可能性があるなら会いたくないだろうし。

この人が追っ手の可能性…はないだろうけど、それでも不確定要素は消しておきたい。


「そうか。俺はこっちの道に行くから安心してくれ。あとひとつアドバイスだが、最初から敬語は使わない方がいい。特に冒険者同士ならな」


そういうと彼は別の道へと行ってしまった。


たしかに初対面の相手にはほとんど敬語で話してたな。

明らかに年下とかは別として、4歳年下とかでも敬語使ってたし…。

舐められないようにタメ口は意識した方がいいかもな。

まぁ明らかに目上の人には敬語がいいだろうけど。


そんなことを考えながら馬車の方へと戻る。

そして、違和感を感じる。

馬車もこちらに向かってきているはず。

それなのに、俺がこっちに来た時と同じくらいの距離を歩いている。

足止めを喰らってるのか?


そう思い歩を早める。

馬車が見え始めた。

無事ではあるらしい。

どうやら誰か2人とダンボが話しているようだ。


「だから、積荷を見せろって言ってんだろ」

「断ると言っている。それに、信用ならん。ギルド直属の冒険者だと?誰がそんな嘘を信じる」

「テメェ!舐めてんのか!」


だいぶ揉めてるな。

荷物を見たがってる…いや追っ手だろあいつら。

どうするか。

俺がそのまま行っても状況は変わらないだろうし。

…ギルド直属の冒険者?

なら、あれで行ってみるか。


「おい、何をしている」

「あ?誰だお前」

「俺はユージ、その馬車の護衛依頼を請けている者だ」


高圧的に、舐められないように。

俺が舐められたらおそらくこいつらは調子に乗る。

だから、強気に。


「ならちょうどいい、こいつが積荷を見せねぇんだよ。お前からも見せるように言ってくれ」

「無理だな」

「はぁ?」

「それは依頼の内容に含まれていない。それに、お前たちが見たがる理由もわからん」

「俺たちはギルド直属の冒険者だぞ!危険がないか見るのは当たり前だろ!」


絶対こいつら嘘ついてる。

ギルド直属の冒険者、ムバルトを見たことがあるからわかるが、こいつらはあの人とはまるで違う知性のない猿みたいな感じが漂ってくる。

だから、見せちゃダメだな。


「俺はムバルトさんとも知り合いだ。だからそもそもの話、お前たちがギルド直属の冒険者ということが嘘なのではないか?と疑ってる訳だが…」

「...っ!おい、こいつ本当のこと言ってるぞ…」


2人はコソコソ話したあと、逃げるように去っていった。

おそらく嘘を言っていたんだろう。

ちなみにムバルトと知り合いというのは一方的に知っているという意味だ。

嘘では無いからな!


「ありがとう、助かった」

「いいんですよ。それより、早く行きましょう。アイツらが追っ手ならすぐに俺の嘘に気づいて戻ってきます」

「わかった、先を急ごう」


今日は野営をせず、そのまま港へ向かうことに。

寝ずにこのまま行けば明日には着く。

大陸が変われば追ってくるのも難しくなるはずとの事。

なら先に急ごう。

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