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69.魔族と任務

「…ジ…ユージ!大丈夫か!」


目が覚めると目の前にはダンボがいた。

どうやらほかの冒険者を連れてこちらに戻ってきてくれたらしい。

連れてこられた冒険者はこの状況を見てゴブリンの死骸の後始末をしてくれたとのこと。


ちなみに報酬めちゃくちゃ貰えた。

死にかけたけど、これならまぁ…納得か?

死にかけてるのに納得もクソもないが。


というか、それよりも気になることがある。

でも先に言うべきことがあるな。


「リコリス、助けてくれてありがとう」


そういうと、リコリスはフードを深く被る。

気絶する前に見たのはリコリスだろう。

なぜ角が生えていたか、放った言葉は一体何なのか、聞きたいことは山積みだ。

だが、まずは命を救ってもらったことに感謝しよう。


「…見たのか」

「角のことを言うなら、はい」


リコリスには角が生えていた。

この世界に来てから角が生えている人は1度だけ見たことがある。

Sランク冒険者のジオラスだ。

しかし、それとはまた違う角。

ジオラスの角が龍の角だとすれば、この子の角は悪魔の角だ。


「…少し、進みながら話そう」


馬車に乗り、進みながら話す。

今回はダンボの隣に座る。


「君の予想通り、彼女は魔族だ」


え、魔族まじ?

魔族ってとある大陸にいるみたいな話じゃなかった?

この大陸にいるの?

てか予想通りって何?

全く予想してなかったんだけど。

まぁカッコつけとくか。


「…そうだと思いました」

「闇市で売られていたというのも嘘だ、すまない。俺はとある任務で来ている。商人というのは本当だが…」


ダンボは商人でありながらとある任務を請けている。

依頼人はセラエム、Sランク冒険者だ。

最初の依頼は魔道具の使用感を商人に試して欲しいというものだったらしい。

そして、その途中にリコリスを見つけた。


ダンボ自体は魔族に嫌悪感を抱いたりはしない。

だが、少なくとも他の人はきっと嫌悪感を抱き、迫害するだろう。

どうするか迷っていた時、セラエムへ定期連絡を送らなければならなかった。

その時、リコリスのことも書いたらしい。

そして、セラエムはこちらにその子を連れてきてくれと返事をした。


「今、あの子をカカロジに連れて行くところだ」

「なるほど」

「…本当にすまない」

「何がですか?」

「魔族を連れているということは、狙われる可能性があるということでもある。俺はセラエムさんに恩がある。だが、君はただの護衛だろう?だから、謝らせて欲しい」


魔族だから狙われるってあるのか?

まぁ異世界転生してきた俺よりはダンボの方が詳しいだろうし、そうなんだろう。


「大丈夫ですよ。それに、今回のゴブリンは狙われてるとか関係ありませんでしたしね。助けられてるからむしろ感謝したいレベルです」

「…ありがとう」


ということで依頼は続行。

俺は馬車の後ろに回り、リコリスと話すことに。


俺が来たのに気がついたリコリスは気まずそうにフードを深く被る。


「話はダンボから聞いたよ」


そういえばさらに気まずそうにする。

いや、少し怯えたようにも見える。

魔族ということがバレたことに対して怯えているのだろう。


「あと、もう一度言わせてくれ。あの時、助けてくれてありがとう」

「…怖く、ないの?」

「助けてもらったんだ。怯えるのは失礼だろ?それに、別に種族でどうこうとか言うつもりないからさ」


リコリスは少し驚いているようにも見えるし、安心したようにも見えた。

まだ聞きたいことはあったけど、それを知りたがるのは俺の身勝手だ。


そう思い、リコリスとはたわいもない話をする。

きっと今まで誰かと仲良くするってことは少なかったはずだ。

少しでも今が楽しくあるように。


しばらく話していると馬車が止まり、昨日同様ダンボがここで野営をすると伝えてくる。

馬車をおりて用意をしつつ、ダンボと話す。


「ユージは魔族を嫌ったりとかあんまりしないんだな」

「え?どうしてですか?」

「人間は魔族と長いこと争ってきたからな。本能として嫌いという感情を持ってることも多い」


いやー俺この世界の人じゃないしな。

魔族のことほとんど知らないし。


「正直、魔族のことあんまり知らないんですよね。とある大陸に種族で固まっているってのは知ってるんですけど…」

「なら、俺の知ってることを話そう」


歴史館で知ったのは、この世界の全ての戦争が終わったのは約500年前。

しかし、人間と魔族の戦争が終わったのは約1000年前だ。

魔王が討たれ、長を失った魔族は逃げるようにとある大陸、ランスデニックに住み着いた。

魔素の濃いその地に他の種族は住み着くことなく、魔族だけがいる土地となる。


ここで俺はとある疑問が浮かぶ。


「なぜ、そのランスデニックという大陸に移ったのにリコリスはこの大陸で見つかったんだ?」


おかしな話だ。

種族で固まっているならその場所で生まれるはず。

この場所で見つかって保護されるなどありえない。


「それは…」


何かあるようだな。

まだ隠さないといけないことがあるのだろうか。

うーむ、聞いておきたい気持ちはあるんだよな。

あの子の正体が分からないと、こちらも少し困る…ことはないか。


「言いにくいなら、言わなくてもいいですよ。知らなきゃ嫌だ!って訳では無いので」

「…すまない」


リコリスについてはなるべく聞かない方がいいのかな。

言いにくいことがかなりありそうだし。


準備も終わり、とりあえずご飯を食べることに。


「リコリスが一緒に食べなかったのは、角を見られないようにするためですか?」

「そうだ。食べる時フードを外したら角が見えてしまうから、1人別の場所で食べてもらってた」

「なら、今日から一緒に食べましょう。ひとりで食べるのは寂しいですから」


ご飯を運び、3人で食べる。

改めてリコリスの角を見たがやはりこの前見たデーモンロードの角に似ている。


ご飯中は特に喋ることなく黙々と食べる。

ご飯を食べ終え、片付けをする。


3人で食べたほうがいいって言ったけど、これはちょっと気まずかったかな。


「...ありがとう」


ぼそっとそう言うリコリスの声を聞き逃すことはなく、しっかり聞こえた。

そう言われると良かったと思える。

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