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68.数の暴力、個の限界

おはよう世界。

ということで顔を洗って朝ごはんを食べて出発。

昨日同様馬車に揺られながら進む。


やることがないのでリコリスと指スマや指を叩いて5本にするやつ(俺の通ってた小学校ではfinger5と呼んでた)を教えてそれをやる。

後半はだいぶ虚無だった。

しかもfinger5に関してはリコリスめちゃくちゃ強い。

しっかり先を読んでるって感じでボコボコにされた。

多分将棋とかやらせたら世界最強になってると思う。

ボコボコにされすぎてトラウマになったわ。

二度とやりたくない。


そんなことを考えていると、魔力探知にやばいのが引っかかる。


「ダンボさん!止まってください!」

「どうかしたのか?」

「前方に10、20…いや、それ以上の魔物の魔力を感じます…明らかにやばい」

「なら、引き返すか」

「問題がもうひとつ、それらが近づいてきています」

「なっ…!」


正確な数は分からないがとにかく大軍だ。

おそらくこっちに向かってきている。

そして、狙いはこの馬車の可能性が高い。

急いで引き返しても間に合わないだろう。


「できるだけ時間を稼ぎます。その間に距離を稼いでください」

「待ってくれ、そんな大量の魔物をひとりで相手できるのか?」

「あくまで時間稼ぎです。なので、大丈夫です」


魔力自体強いものは感じない。

おそらくゴブリンかコボルトの群れだ。

勝てるかと聞かれたらほぼ無理だろうが、時間なら稼げるはずだ。


「…わかった、無理はしないでくれ」


ダンボはそういうと馬車を引き返し始める。

さて、どこまでやれるだろうか。


ゆっくりと近づいていけばゴブリンの群れがいるのがわかる。

それらはこちらに向かってきている。


「ファイアアロー!」


先手必勝。

少しでも数を減らす。


魔力をため、弓を引き矢を放つように火の矢を穿つ。

それはゴブリンを数体貫き、地に伏せさせる。


あいつらはそこまで知性が高いわけじゃない。

どこから魔法が飛んできたかもまだわかっていない可能性が。

できるだけ数を減らすぞ。


そう考えていたが、他のゴブリンがこちらに向かってきた。

居場所がバレているようだった。

すかさず魔法剣を抜く。


すぐさま近くにあった木を斬り倒し、近づいてきたゴブリンを一網打尽にする。

約4体はこれで倒せた。


しかし、魔力探知には未だ大量の反応があり、実際目の前にはたくさんのゴブリンがいる。

斬り倒した木を乗り越え、ゴブリンがこちらに向かってくる。

魔法剣に魔力を込め、薙ぎ払う。


行ける、これならなんとかなる。

そう思った時だった。

火の弾が飛んできて、体勢が崩される。


ゴブリンシャーマン

HP: 101 MP:427 攻撃力:72 防御力:73 素早さ:91


あいつがこのゴブリン達を統率している長か。

MPに関しては俺よりも高い。

魔法も使ってくるのか。


体勢を立て直し、再び魔法剣に魔力を込める。


最初に狙うべきはゴブリンシャーマンだな。

ただ、他のゴブリンが邪魔すぎる。


「ファイアボール!」


ファイアアローは隙を晒しすぎる。

だからここは一旦ファイアボールで様子見だ。


そう思い放ったファイアボールはゴブリンシャーマンの魔法により相殺、その隙をつくように他のゴブリンが向かってくる。

魔法剣を弧を描くように振り、斬る。


そうすると今度はゴブリンシャーマンが魔法を放ってくる。

それの対処をしようとすればゴブリンが向かってくる。

状況不利で下がるしかない。


数が多すぎる。

それに、魔法の対処をしながらゴブリン処理は無理だ。

勝負に出るべきだな。


「ファイアバレット!」


今片手で出せる最大限の魔法を放つ。

しかし、それは他のゴブリンが盾となり、対処された。


統率取れすぎだろ。


ゴブリンに囲まれ、下がる場所もなくなる。

あれ、過去一ピンチじゃね?

とにかく数が多い分ゴブリンシャーマンを相手しながら倒すのは無理だ。


向かってくるゴブリンを斬り倒し、飛んでくる魔法を相殺する。

いつまでこれをやればいい。


魔力を魔法剣に込め、ゴブリンに向かって振る。

最初はスパスパ斬れていたが、時間が経つ事に避けられるようになる。


こいつらが早くなったんじゃない。

俺が疲れてきているんだ。


腕が痛い。

剣が重い。

いつまで剣を振るえばいい。


ゴブリンシャーマンの放つ魔法に向かって魔法を放ち、相殺する。

最初は反撃できていたが、今では相殺するので手一杯だ。


今一番危険なのはあいつだ。

魔法を喰らえばゴブリンに蹂躙される。


魔力の底が見えてきた。

相殺するのもやっとだ。

いつまで魔法を相殺すればいい。


突然、背中に衝撃が走る。

警戒はしていた。

でも、数が多すぎた。

後ろを見れば1体のゴブリンが体当たりをしてきていた。


「クソッ!」


体勢を立て直そうとしたところに魔法が飛んでくる。

火の弾は直撃し、痛みと熱さが伝わってくる。


早く体勢を立て直さないと。


そう思った時、ゴブリンに殴られる。

威力は大したことないはずだ。

なのに、痛い。

何度も殴り、蹴られる。


もう、ダメだな。

俺、異世界転生してゴブリンに殺されるのかよ。

神様マジで後悔してくれ。

俺にチートスキルくれなかったことを。


死を覚悟した。


「《■■■■》」


声が聞こえた。

それと同時に、ゴブリン達の攻撃が止む。

何が起きたのか、理解できなかった。


そして、ゴブリン達が一斉に自害しだした。

飛び散る血が、頬につく。

倒れ込むゴブリンを押し払い、周りを見る。

すると、ゴブリンシャーマン以外は全員死んでいた。

何が起きたかは分からない。

だが、やるなら今しかないと理解する。


「ファイアアロー!」


残りの魔力全てを込め、ゴブリンシャーマンに放つ。

周りのゴブリンが自死していく様子を見て戸惑っていたゴブリンシャーマンは反応に遅れ、相殺できずに貫かれる。


勝てた。

危なかった。

どうせゴブリンなら何体いても勝てると思って油断してた。

助けられなければ死んでいた。

一体、誰が助けてくれたんだ。


そう思い周囲を見渡そうとするが、視界がかすれる。


意識が朦朧としてきた。

多分魔力切れだ。

こんなゴブリンの血が撒き散らされた場所で気絶するのか。


足に力が入らず、その場に倒れ込む。

意識を失う直前、ある人が見てた。


それは、角の生えたリコリスだった。

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