62.再び王都へ
かなり歩いたな。
なんか、ひとりの旅って仲間もいないし結構寂しいものなんだな。
出会いもあれば別れもあるとは言うけれど、出会いも別れもない旅ってこんなに虚しいものなのか。
そんなことを考えながら進んでいると王都ゼファーノスが見えてきた。
ちなみに倒したラバーピードはかなり高値で売れた。
外殻に傷もなく、綺麗な状態だったから高く売れたらしい。
一旦それは置いといて、無事にゼファーノスに着いた訳だが…宿屋どうするか。
またあそこにしようかな。
日が沈みかけていることもあり、とりあえず宿屋へ直行する。
「すみません、部屋空いてますか?」
「あるよ…って、この前の兄ちゃんか」
「ご無沙汰してます」
以前泊まらせてもらったイカつい…じゃなくて、気前のいい兄ちゃんがやっている居酒屋兼宿屋。
朝晩ついてきてまじでおすすめ。
前回はほぼ無料だったからマジでありがたかったな。
「今回は何泊くらいするんだ?」
「そうですね…3、4泊くらいですかね。実家のような安心感があってゆっくり休んでからまた出発しようかなって」
「嬉しいこと言ってくれるな。ほれ、鍵だ。ゆっくり休めよ」
ということで無事部屋を借りれた。
ルビアはもう学校始まってるのかな。
ホタルは…まぁ仕事があるだろうし。
とりあえず明日ギルドに行ってみるか。
チュンチュン
チュンチュン
はい、おはよう。
ここのベッドって結構いいの使ってそうだよね。
ということで朝ごはんを食べていざギルドへ。
とりあえず依頼でも請けようかな。
今の俺のステータスならCランク昇格試験やれそうな気がする。
ということで請けたのがこちら!
「Cランク昇格試験ってありますか?」
確かEとDは推薦、CとBとAは試験があると言っていた気がする。
ということは昇格試験があるはずだ。
「えーっと、まず昇格試験についての説明を始めますね。EランクとDランクへの昇格の方法は知ってますか?」
「上のランクの方からの推薦ですよね」
「その通りです。次にCランク以上の昇格の仕方なのですが、こちらは推薦者と共に依頼を請けてもらう形になるんです」
「と、いうことは?」
「推薦者がいないと依頼を請けれないってことです」
終わった。
Cランクなれないじゃん。
とりあえず普通の依頼を請けて推薦してくれそうな人を探そう。
ということで請けたのはこちらのジャッカロープ討伐。
角を集めつつ、肉を売る。
簡単な依頼だが、ぶっちゃけあの兎が嫌いすぎる。
ゼファーノスから少し離れた草原でジャッカロープを探す。
会いたくなかった時は出てくるくせに、探してる時は出てこないのが腹立つ。
と思っていると遠くでガサゴソと草むらが揺れたように見えた。
ゆっくりと近づき、背後をとる。
剣を構え、振り下ろす。
ということで1体目討伐!
このままサクサク行こう!
ザクザクザクと5体目を斬り伏せたところで依頼数達成。
ギルドにもどるとするか。
…なんか遠くの方で草むらが揺れてるな。
魔力に余裕もあるし、もう1体討伐しとくか。
ゆっくり近づき、ギリギリまで近づく。
剣を振り下ろす直前、見覚えのある後ろ姿が目に入る。
「え、ホタル?」
「ユージか。久しぶりだな…って、なんで剣を構えてるんだ?」
「ジャッカロープかと思って…」
「大層な挨拶だな」
こんなところで何をしているのか聞いてみれば、どうやら薬草採取をしていたらしい。
薬草採取は安全なものもあれば危険なものもあり、地味で人気もないので定期的にやっているとの事。
「そんなことまで聖騎士団がやってるんだな」
「いや、これは聖騎士団の仕事では無い。私は聖騎士団兼冒険者でもあるからな。冒険者としての仕事さ」
そんなのできるのか。
と思ったが、どうやら母が聖騎士団長、父がギルドマスターということで両方に籍を置いているらしい。
本業は聖騎士団だが、冒険者として依頼を請けることも。
「今日は仕事がなかったからな、誰かがやらなければならない仕事があるなら優先してやるさ」
聖人すぎる。
俺だったら絶対やらないもん。
「この後ギルドに戻るんだけど、一緒に行く?」
「薬草も依頼分集められたし、ご一緒しよう」
ということでホタルとギルドに向かうことに。
道中少し話をする。
「火山地帯の方に行ったんだよな。どうだった?」
「どうだったか…あ、紅竜と会ったよ」
「…よく生きてたな…」
それはそう。
紅竜が賢くて助かった。
まぁ俺が助けた訳じゃないから、ぶっちゃけ襲われてても文句言えないけど。
「あとはツービスに行ったよ」
「どうだった?」
「知り合いがいたから、楽しかったよ。フェンリルにお供え物もしたし」
「楽しめたのか?」
ホタルはどうやらツービスにいる獣人からの目がどうだったか気にしているようだ。
まぁホタルも獣人だから気になるのでろう。
「まぁ周りの人の視線は冷たかったけど、仲良くなれた人もいたよ?」
「そうか…すまない」
「ホタルが謝ることじゃないよ。それに、楽しかったからさ」
同じ獣人として思うところはあるのだろう。
貴族だとしても、獣人だからということで虐げられたこともあるだろうし。
まぁ関係ない話ではないが、必要ない話ではある。
「そういえば、ルビアってもう学校再開してるのか?」
「女性といる時に他の女性の話をするのか?」
「えっ、いや、そういう訳では…」
「軽い冗談さ」
場を和ませようとしてくれたっぽいが、ホタルが言うとあんまり冗談に聞こえないのが怖い。
「魔法学校は休み期間が終わって再開しているよ。とはいえ、会いに行くのはあまりオススメしない。貴族の私でも正式な手続きが必要な程に厳重な場所だからな」
そんなに厳重な場所なのか。
まぁ貴族とか才能ある人達が集まってる場所だもんな。
俺みたいなやつが行くことは不可能だろう。
「ところで、ユージはここにどれくらい滞在する予定なんだ?」
「あー…3、4日くらいかな。特にやることはないから、ゆっくり休んだら出発って感じで」
「観光…は、もうルビアとしたのだったな。なら、私と一緒に依頼でも請けるか?」
ありよりのあり。
結局ひとりで暇なら誰かといる方が楽しいし、ホタルなら心強すぎる。
「じゃあお願いしようかな」
「なら早速昼を食べたあと依頼を請けよう。ちょうどいいのがあったはずだ」
まずはギルドに行き、依頼達成の報告をする。
「こちらが依頼分の薬草だ」
「ありがとうございます!Fランクの依頼なんですけど請けてくれる人がいなくて…Bランクなのに請けてくださって本当に助かってます!」
チラッと聞こえたのだが、もしかしてホタルBランクなのか?
となると推薦してもらえたりしないか?
いや、さすがに図々しい気がする。
「ジャッカロープの素材です」
「はい、依頼達成ですね。はい、確認できました。こちら報酬です」
ということで報酬確保。
Dランクの俺が請けれるラインがここだから、ぶっちゃけホタルと依頼するのはかなり肩身が狭い気がする。
「では、ご飯を食べに行こうか」
今回はホタルのおすすめの料理屋があるらしい。
どんな感じなのか楽しみだ。




