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60.世界の守り人

目が覚める。

森の中、葉の間から日が差す。

ここはどこだろうか。


《こっちに》


何か、声が聞こえる。

誰の声だろう。


身を起こし、周囲を見る。

昨日寝た場所じゃない。

そもそも、今日はテントで寝たはずだ。

じゃあ、ここはどこだ?


《こっちに来なさい》


脳に響く声。

耳から聞こえてる訳じゃない。

でも、どこから聞こえてくるかはわかる。


声のする方に歩いていく。

耳には木々がザワザワと鳴く声と、ひとつの足音だけが聞こえてくる。


しばらく歩いていると、ひとつの祠の前に出た。

昨日ミントが言っていたものだろうか。


《君は、ユージであってるかい?》

「あってますよ。ユージです」


暖かい声だ。

今まで聞いたどの声よりも暖かい。

お母さんの子供を寝かしつける時のような声だ。


《この世界は、楽しいかい?》

「楽しい、と思います。まだ命のやり取りとかは慣れてませんけどね」

《君はまだ、誰も殺していない》

「そうですね。魔物は結構倒してきた気がしますけど、まだ人は殺したことないと思います」

《君はいつか、人を殺さないといけなくなる》

「それは…そうかもですね」

《君にその覚悟は、あるかい?》


人を殺す覚悟…。

ファンレンの花を狙った時、確実に殺意はあったと思う。

けど、あれで殺せる訳がないとどこかで理解していたのかもしれない。

今の俺に、本当に人を殺す覚悟はあるのだろうか。


《君は分岐点だ。この世界の分岐点》

「その分岐点ってなんなんですか?」

《世界が終わるか、存続するかを決める重要な存在だ》


俺の役割重すぎるだろ。

どうなってんだよ神様、だったらチート能力くれよ。


《君は2度、この世界を変えることになる。その1度目が近づいている》

「えっと…どんな感じなんですかね?」

《それは言えない》


言えないんかーい。

なんか全体的にふわふわしてるな。

まぁ言ったら運命が変わるみたいなことだろう。

バタフライエフェクトだっけ?


《私はこの世界を少々気に入っている》

「左様ですか…」

《主の意向はわからない。だが、君が選ばれた。それだけが事実であり、結果である》

「と、言いますと…?」

《君には、期待しているということだ》


なんか期待されてるな。

モミジにも言われたけど分岐点ってなんなんだろう。

ジオラスも転生には意味があるみたいなこと言ってた気がするし、俺の役割まじで大事っぽいな。

それなのにチート能力もないと…。


「俺期待されるほど強い力持ってないんですけど…」

《…そのようだな》


そのようだなマジか。

哀れみの目でこっちを見ないでくれ。


《君は君の信じる道を、進むといい》


その言葉が聞こえたあと、一瞬目の前に真っ白で大きなオオカミが現れた気がした。

あの時、歴史館で見たフェンリルに似た何か。

それはこちらを見た後、消えていった。


…え、これだけ?

神の天啓とかないの?

今の絶対フェンリルでしょ。


そんなことを考えていると、視界がぼやけてくる。

一体今のはなんだったのか。

それは、知る由もないことかもしれない。


「…ジ、ユージ、ユージ!」


名前を呼ぶ声が聞こえる。

体を揺さぶられているようだ。


「あ、起きた」

「もう、ユージ寝すぎ。早く行くよ!」


外に出れば日がかなり高く登っている。

どうやら寝坊したようだ。


最近は時間で起きれるようになってた気がしたんだけどな…。


ということで野営道具を片付けていざ祠へ。


「長い夢見てたみたいだけど、何見てたの?」

「え?」

「寝言すごい言ってたよ?神ふざけんなーみたいな」


寝言ですごいこと言ってるな俺。

何見たっけ俺…。


「なんかすごいのみた気がするけど、覚えてないや」

「夢ってなんか覚えてないよねー」

「そうだよねー」

「何この脳死の会話…」


そんな脳死会話を続けていると祠っぽいのが見えてきた。

なんかどっかで見た気がする。


「着いたわね。とりあえず掃除しましょっか」

「はーい」


ウォーターで水を出し、持ってきた手拭いを濡らして祠を拭く。

そもそもあんまり汚れていないのか、軽く拭くだけですぐに綺麗になった。


「これがフェンリル?」

「そんなわけないでしょ…これはただの祠よ。お供え物を置いたりするためにある場所」


そりゃそうか。

フェンリルって狼っぽい見た目してたよな。

歴史館で見たのはこの場所なのかな。

…覚えてないけどそれっぽい気がする。


「よし、じゃあお供え物しよっか」


ということでお供え物をすることに。

ミントとセニーは食べ物や魔石などを置いている。

俺は何置こうかな。


…高価なのだとデーモンロードの魔石と魔法剣くらいか。

魔法剣は置いていけないし、デーモンロードの魔石置くか?


「それ置くの?」

「あー置くのないし、これにしようかなって」


ということでデーモンロードの魔石を置くことに。

これで何かいいご利益をください!


という欲望丸出しの願いをしてこの場を去ることに。

というかなにかお願いするのって良かったのかな。


強欲だからお前は死ね!とかで殺されたらどうしよう。


「じゃあ帰りましょっか」

「帰るまでが遠足だからな」

「これ遠足じゃないから…」


来た道を戻る。

なかなか神秘的な場所だった気もするし、ただの森だった気もする。


Sランクの魔物かぁ。

会ったらステータスを見てみたいな。

まぁ鑑定遮断とかあるだろうけど。


1回の野営を経てリンソウまで帰ってきた。


「2人ともありがとう。私のわがままに付き合ってもらっちゃって」

「俺は泊まらせてもらった恩があるから、当然のことしただけだよ」

「私だって友達でしょ?なら、当然のことだよ」


日がだいぶ沈みかけてきたこともあり、今日はミントの家に泊まり、明日出発することに。


「今日は私も泊まるから」


セニーがそう言い残し、一旦自分の家に帰っていく。


「ミントは旅に出る時、セニーと一緒に行きたいって思わなかったのか?」


暇になったためミントに話しかける。

もちろん、セニーが家を継ぐ関係で旅に出れないことは知ってる。

それを抜きにしてミントの気持ちを知りたかった。


「もちろん、一緒に行きたかったよ。でも、家を継ぐって決めたのはセニーだから。…一緒に旅したかったなぁ」


うーん、地雷だったかもしれない。

俺は喋るのが下手くそだ。


「戻ったわよ。さ、晩御飯にしましょ」


セニーの晩御飯を食べ、ソファーに横になる。

この後はどうしようか。

一旦ゼファーノスに戻って、その後港に行ったあとスィートピィに戻ろう。

イリスはもう準備とか終わってるかな。


そんなことを思いながら眠りにつくのであった。

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